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【鈴木福×アオイヤマダ】「何者かになりたい」を模索する10代へ。[大手町の森]で、ふたり。

【鈴木福×アオイヤマダ】「何者かになりたい」を模索する10代へ。[大手町の森]で、ふたり。

東京の都心、38階建ての高層ビル「大手町タワー」に作られた「大手町の森」。広さ約3600㎡にも及ぶ本物の森には、200種以上の植物をはじめ、希少種も含む多様な生物が暮らしています。都市に住む人々にも、自然にとっても心地よく住みやすい場所をめざす「大手町の森」は、ただ歩くだけでも気持ちがほぐれていく空間です。

意外なふたりが、意外な場所で出会うと、あたらしいなにかが生まれる。そんな期待を込めた、Steenzの新しいビジュアルトークセッション企画“[     ]で、ふたり”。

記念すべき第1回目 “[大手町の森]で、ふたり。” のゲストは、2021年には東京オリンピックの閉会式でソロパフォーマンスをおこない、ダンサーやモデル、表現者として活躍するアオイヤマダさん(24)。そして、1歳で芸能界デビューし、20歳となった現在も俳優・タレントとして精力的に活動されている鈴木福さん(20)です。

「大手町の森」を手がける東京建物株式会社の協力で実現した、この対談。いくつかの共通点や表現者としての交流をもちながらも、全く異なる人生を歩んでいるふたりですが、森に囲まれているせいか、だんだんと心がオープンに。対談はそれぞれの悩みや葛藤、ありたい姿など、深い話にまで発展しました。

活動を始めたきっかけ、ダンスやお芝居の魅力

鈴木福:こんな大手町駅の駅近でビルに囲まれているのに、すごい森ですね。

アオイヤマダ:いろんな種類の木がありますよね。最近は毎朝1時間くらい、何も持たずに近所の公園を散歩するんですけど、木を見ている時間がすごく好きで。

わたし、長野県生まれなんです。だから、東京の自然って、自然じゃないだろって思っていて。でもよく見てみると、都会の中にもちゃんと生態系があるんですよね。ちゃんと生きてるんだって意識するようになって、東京生活がすごく豊かになったんです。最近は、木にいろいろ教えてもらうことが多いかな。

鈴木:僕も最近、木に学ぶというか、自然から季節を感じることが多くて。温暖化とかの影響もあって、すごく今年も暑かったじゃないですか。そんな中で、葉が落ちていたり、赤くなってきていたり、そういうところで季節の変化を感じた1年だったなって思います。

20歳になってますます活躍の幅を広げている鈴木福。「福くんって呼んでください!と気さくに話してくれる。

アオイ:落ち葉って面白いよね。この前、落ち葉を題材にしたパフォーマンスをつくったんです。もし自分が葉っぱだったら、3本となりの木の枝の葉っぱに恋したときにどうなるんだろうって思って。

道を歩いていると、落ち葉とか、それが粉々になったものとか、たくさん落ちているじゃないですか。そういうのを見て、もし自分が葉っぱだったら、落ちたり、そのあと分解されたりして、3本となりの木の枝の葉っぱとも出会えるかもしれない。そういうのを表現するパフォーマンスをしたんです。最近はそういった形でも、木に教えてもらうことが多いです。

鈴木:そもそも、ダンスをはじめたきっかけは何だったんですか。

アオイ:幼いころは、人と話すのが苦手だったんです。そんなとき、母がダンスをすすめてくれて。踊っているときに「言葉を使わずに、こんなに自分を表現できるものがあるんだ」って、新しい言語を獲得したみたいな気持ちになったんです。

福くんは、子どものころから言葉を扱う仕事だったんですよね。

鈴木:現場には、遊んでもらいに行くって感覚が強かったですね。いまみたいに「みんなで何かひとつのものを作る」って感覚はそこまでなかったんですけど、人と話すのが好きだったので、やるべきことをやりながら、共演者の方とかスタッフの方に遊んでもらったり、おしゃべりしたりするのが楽しくて現場に行くような感覚でした。

仕事としての実感をもちながらやるようになったのは、中学生とか……。アオイさんは、ダンスを仕事としてやろうと思ったきっかけってありましたか。

アオイ:わたしは15歳から上京して、ダンスの学校に通っていたんです。そこでいまのマネージャーと出会って、ミュージックビデオに出演したのがきっかけでした。最初は、仕事だけど、本番で学ばせてもらう、みたいな、学びの場でもありました。いまもその延長線上にいるのかも。

いまもそうですけど、お金を稼ぐためっていうより、やりたい気持ちとか、好きな監督さんのために何かを捧げたいとか、そういう気持ちが大きいですね。あと、わたし、野菜とか料理が好きなんです。そしたら、周りにも野菜好きの方や料理の先生が集まってきて、お仕事にもつながったことがあって。そういうふうに、好きなことをずっとやり続けているって感じです。

「好き」を仕事にするって難しい?それぞれの悩み、葛藤

鈴木:本当に「好き」の気持ちだけでやれるときと、そうじゃない、仕事として考えなきゃいけないときもあるじゃないですか。そういう落としどころの付け方って、難しくないですか。

アオイ:もちろんありますね。仕事か仕事じゃないかっていうより「自分は社会のために、何かできているのか」っていうのとぶつかったときがありました。22歳のときですね。

表現者として世界から注目されるアオイヤマダ。インタビューの合間はベンチで横になり森と光を感じる一幕も。

わたしは大学には行かず、好きなことばかりしているけど、本当にこれって誰かのためになっているのかなって悩んでいて。そこで、一回全部休んで、受験勉強をしたんです。塾にも通って。でも、あるとき壁にぶち当たって……。努力すれば何でもできるって思っていたのに、いくら頑張ってもできないことがあるって知ったとき、この悩んでいる時間を、自分が好きなこと、やりたいことに使って、それで目の前の人や見てくれた人が元気になってくれたら良いじゃんって考え方にシフトして。受験はやめて、パフォーマンスの方に戻ってきました。

福くんは以前、YouTubeで「大学に通う中で、ひとつひとつのことに集中したいけど、お仕事もあるし、お芝居もやりたいし、いろんな方向に向かっていて。その状況に悩んでいる」って話していましたね。その気持ち、いまはどうですか。

鈴木:いまでもそう思うことはありますね。仕事とか大学の勉強とか、自分がやりたい趣味とかにも120%や200%の力をかけて、満足いくまで取り組めたら、って想像することがあって。満足できるときなんて、ないだろうなって思ってもいるんですけど。

アオイさんは、表現において満足できることってありますか。

アオイ:これで良いんだろうかっていう気持ちはずっとあるかな。満足できるものができたら良いんだけど、それってゴールになっちゃう。だから、自分の中であえてゴールを作らないようにしている部分もあります。苦しいときもあるけどね。

わたしはお客さんが目の前にいて、反応が返ってくることが多いけど、福くんの場合は、それがお客さんではなくて、カメラじゃないですか。でも、そのカメラを通した先にはたくさんの人がいるわけで。その気持ちのギャップが大変そうだなって、以前、俳優の仕事をしたときに思いました。カメラの前と人前じゃ、表現の仕方が全然違いますよね。

鈴木:たしかに。舞台でお芝居をするときはちゃんと反応が見えるので、それを見て次の公演に活かせるけど、映像の仕事はOKが出たらそこで終わっちゃう。もちろん、自分が満足できるように日々成長していきたいとは思っているものの、その作品でのマックスはそこでしかないので、すごくもどかしい気持ちもあります。

「何者かになりたい」気持ちとの向き合い方

アオイ:わたしの場合、お芝居は、自分じゃない何かになれる瞬間が好きなんですけど、福くんはどういったところにお芝居の魅力を感じますか。

鈴木:自分じゃない何かを演じたり、自分にないものを発したりする、そういう心地悪さと心地よさを繰り返す感じも面白いですし、ひとつの作品を皆で作っている感覚もすごく好きですね。楽しみにしながら現場に行ける喜びとか、見てくれる人が感想をくれることとか、モチベーションはいろいろあります。

あと、長くこの業界にいる割に、この仕事に対する憧れみたいなものがいまだに強くて。「すごい人になりたいな」って思いながら、続けていますね。

アオイ:それってすごく良いね。長くいると、慣れてきちゃって、いろんなフィルターがかかっちゃう人が多いけど、ずっと憧れの気持ちがあるっていうのは素晴らしいと思う。

鈴木:アオイさんには何か、ありたい姿みたいなものはありますか。

アオイ:実はあんまりなくて(笑)目の前の人が喜んでくれたら嬉しい。目標とか立てなきゃって思うけど、いまは、自分で野菜を育てて食べられるようになるっていうのが、プライベートな目標かな。

 

東京に憧れて長野県から上京したけど、10代のころ、プレッシャーとか、何者かになりたいけどなりきれない自分、っていうので苦しくなってしまって。そんなとき、長野に帰って畑仕事を手伝ったんですよね。そしたら、土が全部吸収してくれたような気がして。感覚が戻ってきた、これだ! と思ったんです。そこから、野菜とか食べものを作る人へのリスペクトというか、憧れが強くなって。だから、将来は自分が食べるものを自分で作れる人生っていうのにすごく憧れています。

10代へのメッセージ

––ご自身の10代を振り返った上で、10代に対するメッセージをお願いします。

気さくなふたりの活躍に今後も期待です!

鈴木:『マルモのおきて』が6歳で、そこからいろんなお仕事をさせてもらって。お芝居とかバラエティもそうだし、大好きな野球の仕事もさせてもらえて、いろんな出会いがあった、濃い10代でした。特に19歳から20歳の1年間は本当に変化の年で、自分にとってすごく大事な1年間だったなって思いますね。

アオイ:わたしも、19歳から20歳の間って、いちばん悩んだ!自分の取扱説明書がほしかったくらい。何者かになりたい、でも何をしたらいいかわからないっていう……。でも、自分ひとりじゃ何にもなれないんですよね。

赤ちゃんだって、親や周りの大人がいて成長していくわけで。だから、いろんな人と出会う中で、何かを吸収して育っていくんだから、何者かになろうとしなくても良いんだ、木が自然と育つみたいに、わたしも自然と育っていくものなんだって思うようになって、気持ちが落ち着きました。だからいま10代の人たちも、木が育つみたいに、自然に身を委ねて、周りに影響されながら育っていくのが良いんじゃないかな。

鈴木:僕はこの5年間、「やりたいことのために、やれることをやる」っていうのを頑張ってきました。「できること」と「やりたいこと」を両立するのは難しいけど、やるしかないんですよね。そこに存在しているっていうだけで、何者かになっている状態だと思いたいんですけど……何かになろうと思って頑張っていたり、自分にできることをやろうとしている人って、その時点ですごく輝いていて。その先にきっと、腑に落ちる瞬間があるんだろうなって思います。

動画で [ 大手町の森 ]で、ふたり。

Steenzの新しいビジュアルトークセッション企画“[     ]で、ふたり”は、YouTubeで対談の様子を配信しています。記事には入り切らなかったふたりのトークが盛りだくさん。ぜひご覧ください!

アオイヤマダ

2000年生まれ長野県出身。東京2020オリンピック閉会式ソロパフォーマンス。舞台はもちろん、ドラマやMVなどの映像作品の出演の他、楽曲制作や振り付けなど幅広く活動中のアーティスト。

鈴木福

2004年6月17日生まれ。2013年「The FantasticFest 2013 GUTBUSTER COMEDY FEATURES部門」主演男優賞(映画『コドモ警察』)のほか、受賞歴多数。ドラマ、映画、舞台など出演作品多数。

Photo:Hiyori Fujimura
Text:Kyoko Onishi

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Kyoko Onishi

エディター

呉服屋、事務職、大学・専門学校のパンフレット制作を経て、現在はフリーランスのライター兼エディターとして活動中。過去には、趣味である温浴・サウナ関連のWEB記事やエッセイ、書籍の執筆にも携わる。

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