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どんな人も必ず誰かの力になれる。小児がんのきょうだい児支援にコミットする高校生【土井颯大・16歳】

どんな人も必ず誰かの力になれる。小児がんのきょうだい児支援にコミットする高校生【土井颯大・16歳】

「気になる10代名鑑」の885人目は、土井颯大さん(16)。自身がきょうだい児であったときの経験を原点に、きょうだい児支援の活動に取り組みながら、子どもの未来を支えるさまざまなプロジェクトにも参画しています。そんな土井さんに、活動の中で感じる悩みや、今後の展望をくわしく聞いてみました。

土井颯大を知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。

小児がんや、小児がんのきょうだいを持つ、“きょうだい児”に向けた支援を行う団体「Pilina」を立ち上げました。最近では、きょうだい児たちでレモネードを売って、そのお金を小児がんの研究や施設に寄付するという『レモネードスタンド』のイベントの企画と運営をしました。当日には、5歳くらいの小さな子もお店を手伝ってくれて。楽しかった、という声も聞けて、やりがいを感じました。

何かやってみたいという気持ちを無駄にせず、自信を持って、やりたいことをやれる場所を作りたいという気持ちがあって。ほかにも、学校の探求学習に関するプロジェクトなどにも積極的にチャレンジしています」

Q2. 活動を始めたきっかけはなんですか?

ぼく自身が、きょうだい児の当事者だったことです。3歳下の弟の小児がんが4年前に再発して、闘病生活が始まりました。母は弟につきっきりで世話をしていて、ぼくは祖父母と暮らしていました。母や弟と会えない寂しさはありましたが、それよりも、ときどき家に帰ってくる弟と過ごしていると『ぼくは何不自由なく遊んでいるのに、弟のためにはなにもできていない……』と、申し訳なさを感じて。

そんな時、学校で自分のやってみたいことを企画するという授業があり、何か自分にできないかと考え、レモネードスタンドを計画しました。

ちょうど計画の実行の5日前に弟はお空に行ってしまったのですが、小児がんの子どもたちや家族の為にもっとできることがしたい、また、何かしたいけど動け出せない無力感を抱える人の為に動けたらと強く思うようになりました

 

 

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Q3. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

高校生活との両立です。やってみたいこと、やらなければいけないことが多くて、時間もキャパも足りなくなってしまうんです。

通っている学校では、地元企業などの外部の方と事業をおこなう課題解決型プログラムがあって。そうした学校の探求活動にも、時間を費やして取り組んでいます。今年の冬休みには、学校の友達と協力して、小中学生向けに勉強を教える自習室型の支援塾を開催しました。

レモネードスタンドのときも、手探りで交渉をしたり、試験期間に追われながらイベント準備をしたりと、正直大変なことはたくさんありました。活動の幅を広げながらも、やってよかったと自分も参加者も思えるように、ひとつひとつ実現していきたいです」

Q4. これまでの活動の中で、影響を受けた出来事はありますか?

中学3年生の時の夏休みにバングラデシュに行き、仲間と社会問題解決に向けて、支援活動を行ったことです。訪れた際に、現地の子どもに『夢はなに?』と聞いても答えられない子ばかりだったことに衝撃を受けて。貧しい生活の中では職業の選択肢も与えられないから、夢を持てないのだと気づいて、がくぜんとしました。

現地の子どもたちに、社会にはいろいろな職業があることを知ってほしいし、これをきっかけに夢を持ってほしい。そのために、クラウドファンディングを立ち上げ、職業ツアーを計画し、実現しました。これをきっかけに自分で行動することの大切さを実感して、自分でも一歩踏み出すことができるんだと自信になりました」

Q5. 将来の展望は?

『Pilina』の活動を広げていきたいです。

大阪ではまだ小児がんの支援をしている団体は少なく、地元でもレモネードスタンド活動はほとんど知られていません。また、最近は、きょうだい児が闘病中のきょうだいのためにぬいぐるみを作り、プレゼントするという企画を進めています。ぬいぐるみは、がんと戦うこどもに寄り添ってくれる存在になるし、住んでいる場所に関わらずどこからでも参加できると思ったんです。

レモネードスタンドを通して、活動はしたいけど、はじめの一歩を踏み出すのが難しいと感じている人がたくさんいることがわかりました。だからこそ、簡単にアクセスできて、自分は無力じゃないんだと思える、そんな『参加してみることに価値がある』ようなプロジェクトをこれからもしていきたいです

土井颯大のプロフィール

年齢:16歳
出身:大阪府豊中市
所属:西大和学園高等学校、きょうだい児支援Pilina、学生団体 受験応援!まちたん、BDre:amers
趣味:VTuberの推し活、旅行
特技:デザイン、サックス演奏
大切にしている言葉:日々全力

Photo:Nanako Araie
Text:Chihiro Bandome

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Chihiro Bandome

ライター

2003年生まれ、埼玉県出身。上智大学文学部新聞学科在学。自分の目で現場を見て、自分の言葉で人と話して、世界を知っていきたい。大学では、主にニュース記事の執筆を学んでいる。2023年より、ライターとして「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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