
「気になる10代名鑑」の880人目は、タイガさん(19)。若者への社会課題の啓蒙につなげようと、缶入りのミネラルウォーターを開発・販売する会社を立ち上げました。海外展開も視野に入れるなど、熱い思いをもつタイガさんに活動について詳しく伺いました。
タイガを知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「『株式会社No.Service』を設立し、アルミ缶入りの飲料水を作る活動をしています。
『水はサービスじゃない』をブランドメッセージとして、イベント会場やライブハウス、ホテルなどで、アルミ缶に入ったミネラルウォーターを販売していく予定です。水は、静岡県焼津市で採取したミネラルウォーターを使用しました。プラスチックリサイクルの問題点などにも着目し、容器はSOT(ステイオンタブ)式のタブが付いているアルミ缶を採用するなどの工夫をしています。
売上の一部を発展途上国の水の支援に充てたり、社会問題に関することをアルミ缶のパッケージに記載したりと、環境問題や社会問題にも取り組めるブランドでありたいと考えています。身近にある水を通して、社会課題と向き合うきっかけを作っていきたいです」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「高校2年生のとき、キャリア教育を勉強して、不登校支援や教育関係の会社を起業しました。学校に行けていない学生と接する中で、日本には、社会問題に興味関心がある若者って少ないのかもしれないと感じたんです。それから、普通に生活をしながら自然と社会問題に触れられるようにするためにはどうしたらいいだろう、と考えるようになりました。
そこで思いついたのが、普段当たり前に近くにある“水”を通じて、社会問題と向き合うきっかけを作ることです。自分たちが何気なく口にしている水から、社会に対する行動への一歩目を作れるかもしれないと思って、この活動をはじめました」
Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?
「去年の2月、大学の友達に『水から社会課題へ向き合うきっかけを作れないかな』と話してみるところからのスタートでした。
その後、缶入り飲料水の構想が固まったら、工場探しに奔走しました。缶に水を入れる補充ラインを確保している工場は少なくて、20件くらい電話してほとんど断られてしまって。ただ、粘り強く相談していたら、唯一ビジョンに共感して、熱意をかってくれる飲料メーカーさんと出会えたんです。『缶の水を始めてみたいと思っていた』と話してくださって、お願いすることができました。
缶のデザインにもこだわっていて、RADWIMPSやヨルシカなど、さまざまなアーティストを手がける、アートディレクターの永戸鉄也さんにデザインしていただきました。『かっこいいだけではなく、水を飲むだけで社会問題に触れられるようなデザインがいい』と、個展に出向いて直接お話をしに行きました。若者の心に響くパッケージにするため、影響力のあるアーティストの方にお願いしたくて。商品は、今年の夏にリリース予定です」
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Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「起業や活動以外にも、若いときにしかできない経験もあると思うと、葛藤も生まれます。
起業に没頭することで、大学生活で出会えていたはずの人を失う可能性もある。もしサークルに入って、バイトやインターン、就活とかをしていたら、また違った学生生活を送っていたのかもしれないって考えるときもあって。友だちのInstagramを見て、キラキラして見える大学生に憧れちゃう自分もいるんです。
ただ、いまこの活動を自分の手でやることに大きな意義があると感じているので、信じて続けていきたいです」
Q5. 将来の展望は?
「いまのブランドを『ソーシャルグッドなかっこよさと、見た目のかっこよさ』を兼ね備えた、唯一無二の飲料ブランドにしていきたいと思っています。ゆくゆくは、海外レベルにまで展開するのが目標です。
海外に住んでいた経験もあって、国をまたいで仕事をすること、自分が作ったプロダクトを世界に届けることに憧れがあって。やりたいことにどんどん挑戦して、モノづくりを通してワクワクし続けていたいんです。
自分のなかで大切にしている『無神経ほど強いものはない』という言葉を胸に、これからも頑張っていきたいです」
タイガのプロフィール
年齢:19歳
出身地:東京都新宿区
所属:慶應義塾大学 SFC総合政策学部、株式会社No.Service 代表取締役CEO、高校生SDGs会議
趣味:野球観戦、アニメ、新大久保巡り、渋谷でのゴミ拾い
特技:初対面の人と話し続けること
大切にしている言葉:世の中に無神経程強いものはない
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Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano