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同性愛が禁じられるケニア。LGBTQ+を取り巻く環境はどうなっている?【Steenz Breaking News】

同性愛が禁じられるケニア。LGBTQ+を取り巻く環境はどうなっている?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、ケニアのLGBTQ+を取り巻く環境と、差別に立ち向かう人々を紹介します。

ケニアのLGBTQ+活動家の殺害により懸念される当事者の人権

近年では多くの国で、LGBTQ+に関する法律や制度の整備が進んでいますが、アフリカの多くの国では、同性愛は犯罪とされ、禁じられています。

2023年1月、ケニアで、LGBTQ+活動家の若手デザイナー、エドウィン・チロバ氏が殺害され、金属箱に遺体を放置されていた事件が発生。2024年12月、元同居人が有罪判決を受けました。チロバ氏がLGBTQ+活動家として著名な人物であったことや、個人のセクシュアリティが起因となった可能性が高かったことから、世界各国で報道されました。

 

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国際人権団体、アムネスティ・インターナショナルによると、アフリカでは現在、31カ国が同意の上での同性愛行為を違法としており、ケニアもそのうちのひとつです。ケニアでは、同性同士の性行為は違法とされ、最長14年の懲役刑に処せられます。隣国のウガンダでは反同性愛法によって、少なくとも55人が逮捕され、3人が死刑となり、202人が暴力や脅迫を受けていると言われています。

こうした背景で、アフリカに住む性的マイノリティの当事者は居場所を失い、差別にさらされているのです。

「教会は誰もが癒される場であるべき」

そんな中、ケニアではこの10年間で、LGBTQ+の当事者を歓迎する動きも静かに広がっているようです。

ケニアは人口の約86%がキリスト教徒であり、多くの教会がLGBTQ+への反対を表明しています。実際にナイロビに住む筆者の友人のケニア人も、「性的マイノリティの人々は教会に通わなくなることがほとんどで、大抵の人は家族や友人に性自認を隠している」と語っていました。

しかし、一部の教会では、性的マイノリティであることを理由に破門されたり、コミュニティから追い出されたり、暴行を受けたりしてきた人々を歓迎しています。

例えば、ケニアの首都であるナイロビに拠点を置くリルタ・ホープ・コミュニティ教会では、性的マイノリティのキリスト教信者の受け入れを積極的におこなっています。同教会のマコカ牧師は、以前は学校の教員でしたが、彼の学校の生徒が性的マイノリティであることを理由に学校を追い出され、自死したことをきっかけに、この活動を始めました。マコカ牧師は性自認に関する教育セミナーも運営しており、教会が誰にとっても癒しの場になるよう活動しています。

また、同じくナイロビに拠点を置くコスモポリタンアファミング教会では、ソーシャルメディアやポッドキャストを通して、LGBTQ+当事者の人権を守る活動などもしています。

 

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ケニアにあるLGBTQ+を歓迎する教会は、これまで攻撃や差別、保護を理由に賄賂を求める警察などに直面してきましたが、安全を確保するために教会の場所を開示せず、場所を変えながら運営しているそうです。これらの活動によって、いままで自分の性自認を隠すしかなかった人々が、本来の自分であれる環境を見つけることができています。現地の報道では、現在は200人以上のメンバーを抱えている教会もあると言います。

厳しい社会の目に立ち向かうケニアの性的マイノリティ

いまもなお、性的マイノリティであることを理由に、多くの人々が差別や迫害を受けているケニア。そんな環境でも、厳しい社会の目に逆らって、彼らの人権を守ろうとする活動家がいます。今後、アフリカではどう社会が変化していくのか注目です。

References:
AMNESTY INTERNATIONAL「Africa: Barrage of discriminatory laws stocking hate against LGBTI persons」
Human Dignity Trust「Kenya」
AMNESTY INTERNATIONAL「Uganda: Court fails to repeal callous anti-LGBTI law, puts people at risk」
Statskenya「Christians in Kenya by County and Denomination」
SCROLLA「Kenya’s underground church for the LGBTQI+」
CAC「ABOUT US」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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