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あきらめないで声をあげよう。いのちの躍動感と平和への願いに満ちた一曲、中島りん×よしだ かなう「証明」

あきらめないで声をあげよう。いのちの躍動感と平和への願いに満ちた一曲、中島りん×よしだ かなう「証明」

“00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』。今回は、このプロジェクトから12月4日に楽曲をリリースした、シンガーの中島りんさん、コンポーザーのよしだ かなうさんがペアで登場してくれました。プロジェクトの思い出や新曲『証明』に込めた想いをくわしく聴いてみました。

それぞれの「らしさ」を引き出すのが目標、これからの音楽人生にもつながる曲に

コンポーザーよしだ かなう

―さっそくですが、普段の音楽活動について教えてください。

中島りん:音楽大学に通う大学1年生です。SNSで動画を投稿したり、コンサートに出たりして発信活動もがんばっています。以前、Hulu配信の「歌姫ファイトクラブ!!」というオーディション番組にも出場して、最終候補候補者にもなりました。

小学校のころ、音楽のテストで歌を歌った時に、友達に「りんちゃんの歌声を聴いていたら元気が出る」って言ってもらって。「私の歌で人の心を動かすことができるんだ」って嬉しくて、歌手を志すようになったんです。

よしだ かなう:音楽が好きな仲間に囲まれて「慰安旅行」という3人組の音楽ユニットの作曲・プロデューサーをしている大学4年生です。いま美大に通っているので、ビジュアル面のプロデュースに携わることもありますね。少しだけギターをやっていましたが、発想次第で、いろいろな方向に自分で料理できる役割で音楽を奏でるのが楽しく、いまの活動を続けています。

―では、今回のプロジェクト「from00」に参加を決めたときのお気持ちを聞かせてください。

中島りん:いままでの音楽活動の中では、自分ひとりで歌う機会が多かったので、みんなで集まって音楽をやろうという経験はあまりなくて。曲をかいてもらって、一緒につくるっていうこのプロジェクトは初めての挑戦で、楽しみでした。制作にも向き合っていくうちに、わたしたち00年代が反戦歌を歌う意味を考えて、生半可では歌えないと、責任感を持つようになりました。

よしだ かなう:ぼくは、前回のfrom00から知っていて、毎週更新される曲も楽しみに追いかけていた 、いちリスナーでした。同年代のアーティストたちが、いちから全部組み立ていくその過程がみえるのが面白くて。だから、今度は自分がやる番だとは思ってもみなくて、びっくりしましたし、嬉しかったですね。一緒に組むペアの方の魅力を最大限に引き出せる曲にしたいなとも思いました。

―その後、ペアが決まって、お互いどのように歩み寄って制作を行っていったのでしょうか?

よしだ かなう:中島さんの歌を初めて耳にして、やっぱり、中島さんの声にしかないパワーをどう生かすか、に集中してつくろうと思いました。歌いやすくて、かつ特徴が出やすいような音程やメロディをいろいろ考えましたね。

中島りん:最初、「慰安旅行」さんの曲を聞いて、エレクトロニックでもありポップでもあるような、複雑な音楽ジャンルに「聞いたことない音楽!」と驚かされましたね。よしださんらしさがありながら、わたしの歌声をたくさん研究してくださった曲になってとても感謝していますし、嬉しいです。今回よしださんの曲のおかげで自分がレベルアップできたような気がしますね。

よしだ:テーマをしっかり伝えつつも、今回の曲が、中島さんの“ポートフォリオ”になればいいなと思いながら作ったんですよ。たとえば、AメロとBメロはマイナー調ですが、サビでは一気に曲調を変えてコントラストを出す。ブロックごとにいろいろなテイストの歌声を使ってもらうようにもしたんです。こうすることで、中島さんのパワフルさと歌声の幅広さをより強調して見せました。

―制作の中で大変だった思い出はありますか?

中島りん:レコーディングのときはサビに少し苦戦しましたね。いつもは声を発散させる感じで、歯切り良く歌うけど、今回は歌詞をかみしめて、深く届けていくことも意識したくて。意図しないところで自分の癖が出てしまい、何度かリテイクしてしまいました。

よしだ かなう:そうはいっても、レコーディングはすごく順調でしたよ(笑)。中島さんらしいパワフルな声を生で聴いて、やっぱりすごいなあと思いましたね。作詞は簡単ではなかったですが、なぎさん(担当A&R)たちに案を見せるたびにいつもリアクションをくださって、それがモチベーションになっていました。いままでは、音楽性を重視していたので、じっくり言葉と向き合う機会にもなり、新しく挑戦できた気がします。

中島りん:一つの作品にするために、テーマの解釈をみんなで合わせていくことも必要でした。その話し合いの中で、まだまだ自分の考えが浅いな……って痛感することも多かったですが、なぎさんがちゃんと噛み砕いて話してくださったのもありがたかったです。

「今しかないよ」あふれだすエネルギーを持って行動することが平和への一歩

シンガー中島りん

―今回の楽曲について教えてください。「証明」はどんな曲になりましたか?

中島りん:ストレートに戦争はダメだって伝えるのではなく、周りを巻き込んで一緒に声をあげよう、未来のために動こうって呼びかける一曲です。戦争のことを話すことがなんとなくタブーという同調圧力も感じるような世の中だけど、話さなければ伝わらない……。そんな現状を変えていこうっていう気持ちを届けたいんです。

よしだ かなう:自分から先導して、思わず体が動いてしまうイメージや、疾走感を大事にしたイントロとアウトロのカットも工夫どころでした。曲調も希望を込めた明るい感じで。ぼくたちらしい反戦歌はシリアスよりも、厳しいことも明るく強く駆け抜けるように伝えるほうが似合うんじゃないかと思ったんです。

平和のためには、脈々とした生活の営みを守ること、ちゃんと肉体を動かして今を一生懸命生きることが大事なんだと思っています。そうやって生きる自分たちの存在を残しておく意味を込めて、タイトルは「証明」に決めました。

―「青き、あきらめ」というコンセプトをどのように解釈して表現しましたか?

よしだ かなう:なぎさんが説明してくれたように、「あきらめ」は仏教用語でポジティブな意味合いもあることを理解して。だけど、そこからまた動き出さなければ、結局何も変わらないんだっていうことを伝えないと、と思いました。「今しかないよ じっとしていられない」という歌詞にその想いを込めています。曲を聴いて、反戦のためになにかできることはないか? 知るべきことは何か? を考えてもらいたいです。

中島りん:「◯◯だからやらないほうがいい」みたいに、自分で判断する前に選択肢が投げつけられて、自分の気持ちを伝えられない経験って、同世代のみんなにもあるんじゃないかなって。なにより、わたしにも同調する空気に負けてしまって、「それやめようよ」と言えずに後悔した経験があったんですよね。何に対しても、「勝手に諦めないで、言いたいことは言おう!」というメッセージがみんなに伝わるといいなと思っています。

―最後に、注目ポイントを教えてください!

中島りん:2番のサビの部分は、いちばん自分の感情を解放して、気持ちを込めてパワフルに歌い上げました。わたしらしい歌声を存分に聴ける部分なので、注目してほしいです。先ほどよしださんがテンションの違いで引き立てる工夫について言ってくれたように、その前の間奏部分は落ち着きがあって綺麗なメロディに仕上がっているので、前後も含めて聴いてみてください。

よしだ かなう:「汗かく意を込めて」から始まるブロックは、自分を起点にして周りの人を動かしているような、人数感が感じられるコーラスを重ねました。“いのちに対する讃美歌のイメージ”というのをはじめから考えていて、それが実現できました。曲全体に流れている、走り出すようなエネルギーを感じてほしいなと思います。

この曲はアルバムの中で最後の曲ですが、ぼくたちの曲を聴いた後にでも、またアルバム全体を通して聴いて、反戦について考える時間にしてくれたら嬉しいですね。

―ありがとうございました!

 

12/4リリース。「証明」

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@from00_ 大学生4人が、同年代の音楽家とともに 自分たちの反戦歌を作るプロジェクト、from00始動。 争いの終幕を信じて、僕ら00年代が届ける反戦歌。 この歌を、一緒に歌ってくれませんか。 #大学生 #反戦 #nowar #from00 #04 #03 #05 #fyp ♬ suara asli – Evxyn – ム O X 口

配信情報

10月30日リリース from00,悠稀。,三栖 / 家路
11月6日リリース from00,おと(CARAMEL CANDiD),Ruliea / 我々贅沢品
11月13日リリース from00,Siglinen,FILEIN / k0t0nakare
11月20日リリース from00,万優子,Terutomo Nakashima / Sphenoid’s Noise
11月27日リリース from00,高松力都,はなつばめ / 夢をみてた
12月4日リリース from00,中島りん,よしだ かなう / 証明
12月11日リリース from00 / アルバム「Blue Truth」

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Chihiro Bandome

ライター

2003年生まれ、埼玉県出身。上智大学文学部新聞学科在学。自分の目で現場を見て、自分の言葉で人と話して、世界を知っていきたい。大学では、主にニュース記事の執筆を学んでいる。2023年より、ライターとして「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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