Steenz Breaking News

最近、なに読んだ?秋の夜長に楽しみたい話題の受賞作3選【Steenz Breaking News】

最近、なに読んだ?秋の夜長に楽しみたい話題の受賞作3選【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、読書の秋にチェックしておきたい書籍をご紹介します。

本を片手に秋の夜長を過ごすって、ちょっとおしゃれかも?

秋の夜長は、読書にぴったり。「読書の秋」がやってきました。ただ、最近では、まったく本を読まない人も多い様子。

「スタディチェーン編集部」が全国47都道府県の10代~50代を対象におこなった「世代別全国読書調査2024年版」(1,450名回答)によると、10代では60%が、20代では45%が「まったく読書をしない」と回答しています。一方で、「全国学校図書館協議会」が小学生から高校生を対象におこなっている「第68回学校読書調査」では、中学生・高校生で本を読まない「不読者」の割合が、前年度より減少しているという結果も。「読書離れ」と言われながらも、徐々に回復してきてもいるようですね。

本を読むことで、知識が増える、読解力が上がる、といったメリットもありますが、ありえないような非日常な設定から、日々の生活についての共感できる物語まで、いろいろな体験ができるのが、読書の大きな魅力ではないでしょうか。

そこで今回は、2024年の秋に読みたい本を、今年おこなわれたさまざまなアワードの受賞作からご紹介します。

家から出たら、それは「旅」!『どこでもいいからどこかへ行きたい』

『どこでもいいからどこかへ行きたい』(pha 著、幻冬舎)

旅に出かけたい、現実逃避をしたい、ここではないどこかへ行きたい! と、そんな気分のときに読みたいのが『どこでもいいからどこかへ行きたい』(pha 著、幻冬舎)です。

筆者のphaさんもそのひとり。まさに「どこでもいいからどこかへ行きたい」気持ちがつのって、家を出ます。カプセルホテルやネットカフェに泊まり、名物などではなく、どこにでもあるチェーン店でご飯を食べる。たったそれだけでも、日常から解き放たれて、気分が変わると説く筆者。旅と呼ぶには簡素な、でも、旅の効用である非日常空間への移動で気分転換ができる「どこか」への移動のすすめが書かれています。

本書は「第15回エキナカ書店大賞」という、駅の中の書店が主催しているアワードの大賞を受賞しました。書店での売り上げとSNSでの「いいね」による投票で決まったこの受賞。駅といえば、多くの人が「旅」に出るときに通る場所です。そんな場所でのアワードを受賞したということは、観光地や名物に心を躍らせない、もっと気軽な旅があってもいいのでは? という筆者のすすめに、多くの旅人の心が動いたということかもしれません。

虚実交じり合う江戸の歌舞伎をめぐるエンタメ小説『万両役者の扇』

『万両役者の扇』(蝉谷めぐ実 著、新潮社)

次におすすめしたいのは、歌舞伎役者がアイドルのように扱われていた江戸時代を描く『万両役者の扇』(蝉谷めぐ実 著、新潮社)。江戸森田座気鋭の役者・今村扇五郎と、その妻を巡る物語です。芸を追求してやまない扇五郎に魅せられた大店おおだな(大規模な商売をする店)の娘や、菓子屋の主人、衣装の仕立て師などが人生の歯車を狂わせていく様子を、独特の文体でつづります。

こちらは「第15回山田風太郎賞」を受賞した作品です。選考委員の恩田陸さんによると「ぶっちぎり、満場一致」での受賞だったそう。山田風太郎賞は、大衆小説家である故・山田風太郎氏への敬意を礎に、有望な作家の作品を発掘するために創設されました。ジャンルを問わず「もっとも面白い」とされる作品に贈られ、毎年、エンターテインメント性の高い作品がノミネートされています。『アルプス席の母』(早見和真 著、小学館)や、『1947』(長浦京 著、光文社)など、選に漏れた候補作品も面白い作品ばかり。ぜひ、受賞作とあわせて、読んでみてくださいね。

行動力の鬼にしびれる!『成瀬は天下を取りにいく』

『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈 著、新潮社)

2023年に発売され、すでに各所で話題になっている『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈 著、新潮社)。未読であれば、今年中にぜひ読んでおきたい作品です。主人公の成瀬あかりが、中学2年生から高校3年生までの期間を出来事ごとにつづる短編で構成されていて、普段あまり本を読まない方でも読みやすい作りになっています。

滋賀県大津市生まれの成瀬は、何でもできてしまうがゆえに、常にスケールの大きなことを言い出します。中継に映りたい! という思いでコロナ禍に閉店を控えるデパートに毎日通い、さらにはお笑いの賞レースに挑み、坊主頭にしたかと思えば、200歳まで生きると堂々宣言。 なんでもない日々が、成瀬の行動力によって動かされていきます。必ずしも成功だけが楽しさではないと思えるような作品です。

こちらは、オーディオブック配信サービス「audiobook.jp」を運営する株式会社オトバンクによる「オーディオブック大賞2024」にて、聴き放題部門大賞を受賞した作品です。ナレーターや声優が本を朗読する「聴く本」であるオーディオブックは、文字を読むのが難しい方はもちろん、ランニング中、電車やバスでの移動時間、暗い場所などでも読書を楽しめるツール。スキマ時間で本を読みたい!という多忙な10代にもおすすめの、便利なサービスです。

物語の世界にショートトリップしよう!

今回は、いま話題の3つの作品を紹介しました。だんだんと夜が長くなっていくこの季節。ぜひ、ゆっくりとページをめくって、物語の世界へのショートトリップを楽しんでみてください。

References:
スタディチェーン「全国読書調査2024」
全国学校図書館協議会「第68回学校読書調査」

TextItsuki Tanaka

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Itsuki Tanaka

ライター

フリーランスのライター。食、農、環境領域 /博物館好き/コーヒー、アイス、チョコも好き。

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