
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、近年さまざまな分野で広がっている廃プラスチックのアップサイクルについてご紹介します。
ドイツ・イグス本社の廃プラスチック製自転車『igus:bike』が16カ国を巡る
廃プラスチックが多様な方法で生まれ変わり、使われるようになった昨今。最近では、廃プラスチック素材を含む製品を活用した、ユニークな企画も誕生しています。そのひとつが、ドイツに本社を置き、樹脂製の機械部品の開発・製造・販売をおこなうイグス株式会社です。同社は、廃プラスチック素材を含む自転車『igus:bike(以下:イグスバイク)』をつかったワールドツアーを開始すると発表しました。
このツアーは、創業60周年を記念しておこなわれ、最初にドイツを1か月かけて巡る予定とのこと。親交のある顧客を訪ねたり、国内最大の湾港であるハンブルク港や、ドイツでは「父なる川」とも呼ばれているライン川などを走ったりするそうです。その後、自転車はアジアへ輸送され、2025年の春に日本に到着する予定です。最終的には、約16の国と地域を巡るのだそう。鮮やかなオレンジ色のイグスバイクが、日本国内を颯爽と走る姿を早く見たいですね。
廃プラスチック製自転車『igus:bike』とは?
イグスバイクの部品には、シャンプーボトルや漁網などの廃プラスチック素材が含まれています。ちなみに、自転車全体に使われているプラスチック材の比率は92%、そのうちリサイクル材は50%だそうです。今後も割合を増やせるように、開発を進めていくとのことでした。
「プラスチックの廃棄を循環に転換させる、未来の移動手段」をコンセプトに、オランダのMTRL社と協力しながら約4年かけて開発されたイグスバイク。機能面にもこだわっており、長持ちする上に、腐食や汚れにも強く、潤滑剤によるメンテナンスも不要なのだとか。通常の自転車であれば、使い続けると劣化とともに動きが悪くなるため、潤滑油をさしたりお手入れをしたりと、何かと手間がかかるもの。サステナブルな上に、長持ちして、お手入れの負担も少ないとなると、使ってみたくなりますよね。
美しい天然石のような姿にも
廃プラスチックは、他にもさまざまな姿に生まれ変わっています。
スマートフォンアクセサリー事業の開発・製造などをおこなうHamee株式会社では「ParallelPlastics(パラレルプラスティックス)」というサービスを通して、廃プラスチックに再び命を吹き込みました。廃棄された目薬のボトルやコンタクトレンズのケースなどを溶かし混ぜ合わせて、美しい見た目のリサイクルプラスチックのマテリアルに変身。独特な色合いやマーブル模様は、まるで天然石のようです。
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また、製造では、これまで必要とされてきた「廃プラスチックを、プラスチック原料に戻す」という工程を省くなど、シンプルな方法でのアップサイクルに成功。簡単にリサイクルできる上に、コストとエネルギーの大幅な削減にもつながると期待されています。今後は、リサイクルプラスチックを使用したアクセサリーチャームやグラスコードなどを受注生産していくのだそう。環境に配慮したおしゃれなアイテムが増えると、喜ぶ人も多いはず。今後も、Hamee株式会社の取り組みやサービスに注目したいですね。
広がる廃プラスチックの可能性
自転車の部品やアクセサリーなど、多様に広がる廃プラスチックの再利用。各企業が独自の技術やサービスを活用し、リサイクル前の姿からは想像できないアイテムに生まれ変わらせています。何か購入する際は素材にも注目して、廃プラスチックを活用したアイテムも選択肢のひとつとして考えてみるのも良いかもしれません。
Text:Yuki Tsuruda