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平和な日々の中にも戦争はある。自分ごととして平和を問い続けるための曲。おと×Ruliea「我々贅沢品」

平和な日々の中にも戦争はある。自分ごととして平和を問い続けるための曲。おと×Ruliea「我々贅沢品」

“00年代生まれによる、00年代のための音楽プロジェクト”『from00』。今回は、このプロジェクトから11月6日に楽曲をリリースした、シンガーのおとさん、コンポーザーのRulieaさんがペアで登場してくれました。プロジェクトの思い出や新曲『我々贅沢品』に込めた想いを詳しく聴いてみました。

プロジェクトを通して自身の音楽があたらしいフェーズへ。お互いのスキルを認め合った現場

―さっそくですが、普段の音楽活動について教えてください。

コンポーザー Ruliea

Ruliea:去年の夏からボカロPとして活動していて、自分で発信するほか、最近では、歌い手やアイドルの方への楽曲提供も行っています。小学校のときにピアノを始めて、高2の頃まで耳コピで演奏したりしていました。そこから興味本位でスマホで曲をつくることも始めていくうちに、自分ひとりで制作を完結できるフォーマットに惹かれ、ボカロを使うようになりました。

おと:お菓子の国工場で働いていた人たちと結成した4ピースガールズバンド「CARAMEL CANDiD」で作詞作曲とボーカルをしています。音楽を聴くことは好きでしたが、高校卒業まで、バンド活動らしいことはしてなくて。大学に入学してサークルを決める時に、やってみようかと思い立って始めたのが、今に至ります。

チャットモンチーさんや、SILENT SIRENさん、SHISHAMOさんなどを中高生時代に聴いていて、漠然とガールズバンドに憧れていたので、いま自分がガールズバンドで活動できて楽しいし、嬉しいです。

―では、今回のプロジェクト「from00」に参加したきっかけは?

Ruliea:声をかけていただいたタイミングが、人の生声で歌ってもらったり、今までにない曲調に挑戦したり、そういう新しい挑戦をし始めていたころでした。ボカロからワンステップ発展させたいと考えていて。これは、自分にとって良いタイミングだなと思えて、期待が大きかったです。

おと:私はお声がけしていただいた時には、「自分で本当につとまるかな?」と少し不安でしたが、ボーカロイドを聴いていたこともあるので、ボカロPの方と一緒に曲が作れるなんて!とワクワクしたのを覚えています。

―ふたりのペアが決まった時、お互いの印象はどうでした?

おと:コンビを組む前からRulieaさんの「エゴチャート」という曲を知っていて、こんなにメロディがかっこいい曲がつくれるなんてすごいなと尊敬していました。制作中も、本当に人間?  って思ってしまうぐらい(笑)。いつもしっかり考えを持っていながら、話し合いを進めてくれて、頼れる方だなと思いましたし、今でもそう思ってます。

Ruliea:ありがとうございます(笑)。初めておとさんの歌声を聴いて、唯一無二の特徴的な声にすごく惹かれて。「絶対面白いものができる!」っていう予感がしていました。

それに、制作を通じて、おとさんの豊かな感性にも圧倒されましたね。美しい言葉選びや、心に響く比喩に、僕の大好きなRADWIMPSの歌詞にも通じるようなセンスを感じて、それこそ只者じゃないなと思いました。

このおとさんの感性を生かした歌詞、内なる感情が見えるような歌声が主役になる一曲にしたくって、歌詞はおとさんにお願いし、それを引き立てられる音楽制作を僕が担当しました。

―お互いリスペクトし合って制作に臨まれていたんですね。今回、制作に関わったA&Rとの活動はいかがでしたか?

おと:行き詰まった時に、いつも考えるヒントをくれましたね。実は、Cメロの歌詞も、コンセプトの解釈の話し合いをみんなでした時に、みわ(担当A&R)さんが、「戦争の反対ってなんなんでしょうね……」と呟いたことがきっかけになって作ることができたんです。

Ruliea:そうそう。そこから派生して、好きの反対は無関心だけどね、みたいな会話になったのをそのまま生かしたよね。3人がいてはじめてつくれた一曲になったなと。

ぼくは、基本の曲調の部分を決めるのにも、悩んでしまって。「ボカロック」的な方向で進めるか、J-popの方向でいくか。ずっと1人で悩んでいましたが正直どうですかね?と悩みもさらけ出せました。おとさんもみわさんも信頼できる方だと思えたからですね。おふたりに、どちらでもいいよと言っていただけたので、最終的に自由度の高い、J-pop路線で制作することにしました。

平和への明確な答えはまだ見つからないけれど。00年代生まれのわたしたちができることは、考え続けること。

シンガー おと(CARAMEL CANDiD)

―それでは、楽曲について教えてください。「反戦歌」をテーマにした今回の曲は、どんな曲になりましたか?

Ruliea:いま、戦争のない平和な日本に生まれた「贅沢」な00世代にむけて、日常から戦争に思いを馳せること、答えはないけどどうすればいいか考えることが大事なんだっていうメッセージを伝える曲です。みんな戦争を知らない世代だからこそ、同じスタートラインで考えられるんだってわかってほしい。

おと:戦争はよくないってのはわかっているけど、戦争を経験していないし、遠いものとしか捉えられなくてどうしたらいいかわからない。自分の経験と結びつかない限り、「あーそうなんだ」って違う話題に移ってしまうのが00世代の感覚で、「あきらめ」なのかなって。それを「スーパーから姿を消した果物は、あの国の戦争の影響らしい」っていう歌詞に込めています。

Ruliea:僕もその歌詞、すごくお気に入りです。

おと:嬉しいです。それから、私たちって、「今の日本で子供を産んで育てるのは贅沢だ」って言葉を聞きながら、育ってきた世代だなとも気づいて。00世代のわたしたちそのものとして、象徴になる言葉を当てはめようとも思って、タイトルは「我々贅沢品」に決めました。

―注目ポイントを教えてください!

Ruliea:Cメロの「好きの反対は無関心、戦争の反対はなんだっけ」という歌詞をリフレインさせているところは思い入れがありますね。初めは、一回だけ歌ってもらってあとは間奏にする予定だったんです。音楽的にも枠にとらわれずクリエイティブに作れたし、メッセージをより強く訴える、印象的な部分にできたと思っています。

おと:私もその部分は、歌い方に気をつけました。初めは、答えを思い出すように、でも、答えなんてないってだんだん気づいて怒りが沸々と湧いてくるのを抑えるようなイメージで違いを出したので注目してほしいです!歌詞は、誰にとっても思い当たる気持ちがあるんじゃないかなと思っているので、よく聞いて感じてもらいたいです。

―最後に、リリースを目前に控えてどんなお気持ちですか?

11/6 リリース「我々贅沢品」

Ruliea:自分の音楽の幅を広げることができて、本当に良かったなと思いますし、とにかくいいものがつくれたなという実感があります。僕たちの音楽が早く届いてほしいですね。

おと:私もみんなに聞いてもらうのがすごく楽しみです。それと同時に、リリースしたらこのプロジェクトが終わってしまうな……と寂しくなってしまうぐらい、充実した時間でした。Rulieaさんとはまた一緒に曲が作れたら嬉しいな、なんて思ってます。

Ruliea:ぜひ!またやりたいです!

―ありがとうございました!

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@from00_ 大学生4人が、同年代の音楽家とともに 自分たちの反戦歌を作るプロジェクト、from00始動。 争いの終幕を信じて、僕ら00年代が届ける反戦歌。 この歌を、一緒に歌ってくれませんか。 #大学生 #反戦 #nowar #from00 #04 #03 #05 #fyp ♬ suara asli – Evxyn – ム O X 口

配信情報

10月30日リリース from00,悠稀。,三栖 / 家路
11月6日リリース from00,おと(CARAMEL CANDiD),Ruliea / 我々贅沢品
11月13日リリース from00,Siglinen,FILEIN / k0t0nakare
11月20日リリース from00,万優子,Terutomo Nakashima / Sphenoid’s Noise
11月27日リリース from00,高松力都,はなつばめ / 夢をみてた
12月4日リリース from00,中島りん,よしだ かなう / 証明
12月11日リリース from00 / アルバム「Blue Truth」

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Chihiro Bandome

ライター

2003年生まれ、埼玉県出身。上智大学文学部新聞学科在学。自分の目で現場を見て、自分の言葉で人と話して、世界を知っていきたい。大学では、主にニュース記事の執筆を学んでいる。2023年より、ライターとして「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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