「気になる10代名鑑」の830人目は、うのさん(16)。学校の課外活動を通じて海洋問題にアプローチするほか、児童養護施設の子どもたちに向けたプロジェクトを立ち上げ、活動しています。活動を通じて、ひとりでも多くの子どもたちを笑顔にしたいと話すうのさんに、活動の中で大切にしていることや、実現したいビジョンについて聞いてみました。
うのを知る5つの質問
Q1. いま、力を入れていることは?
「学校の課外活動である『STEAMプロジェクト』に力を入れていて、その中でも『Go Green Project』と『Santa Project』というふたつのチームに所属して活動しています。
中学1年生のときから参加している『Go Green Project』は、海洋問題に対してアプローチするチームです。具体的には、使い捨てカイロの回収をおこなったり、ビーチクリーンを主催したりしています。
『Santa Project』は、一昨年、わたしが立ち上げたチームです。“ひとりでも多くの子どもたちを笑顔にしたい”という思いで、主に児童養護施設の子どもたちに向けて活動しています。学校の文化祭に招待したり、夏休み中、施設に行って、宿題のお手伝いをしたり、一緒に遊んだりしていて。いまはまず、子どもたちとの信頼関係を構築していくことを目標に活動しているところです」
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Q2. 活動をはじめたきっかけは?
「6歳のころから、日本の中学校に入学するまで、マレーシアに住んでいたんですけど、どちらの活動も、マレーシアでの経験がきっかけです。
『Go Green Project』に関しては、現地で通っていた学校が、環境とか海洋問題に関する活動をしていて。プラスチックを使わないようにする日とかがあったんです。だから、そこで自然と活動に参加していたっていうのと、わたし自身、もともと海が好きで、そういった問題について少し興味があったんです。それから『Go Green Project』を知って、自分のやりたいことに合っているなと思って参加しました。
『Santa Project』は、マレーシアでフラダンスをやっていたときに、病院で踊りを披露する機会があったんですけど、パフォーマンスを観たみなさんが喜んでくれたのが嬉しくて。いろんな施設で踊らせてもらった中でも、子どもが多い施設に行ったときの反応が、特に印象的だったんです。それで、日本でも何か子どもたちに関わる活動がしたいなと思って。『STEAMプロジェクト』の先生に相談したことをきっかけに、チームを立ち上げました」
Q3.活動の中で大切にしていることを教えてください。
「『Santa Project』の中で大切にしているのは、できるだけ子どもたちと同じ目線でものごとを見て、こちらが何かを一方的にするのではなくて、“一緒に”楽しむということです。
児童養護施設の子どもたちは、いろんな事情を抱えている場合が多いので、ディープな話を聞くようなこともあるんです。そんなときも、勝手に深く考えすぎてしまうんじゃなくて、できるだけ普通に接すること、自然に楽しむことを大事にしようと思っています」
Q4.活動を通じて実現したいビジョンはありますか。
「『Santa Project』の活動をつうじて、少しでも多くの子どもたちが笑顔になってくれたらいいなと思っているし、きっとそれによって、社会全体も良くなっていくんじゃないかなって思っています。
あとは、施設に対する偏見とか、ステレオタイプとか、そういうものを取っ払って、自分には関係ないものだって線引きされてしまうことをなくしていきたいです。
児童養護施設って聞くと、みんないろんなことを想像して、気を遣ってしまう人が多いと思うんです。たしかに、自分とは違う経験をしてきているかもしれない。でも、あくまでみんな同じ人間だし、もっとフラットに接することができるようになればいいなと考えています」
Q5. 今後の展望は?
「『Santa Project』の活動では、将来的に『Go Green Project』のビーチクリーンに招待したり、一緒にイベントを開催したり、ふたつの活動をつなげていけたらいいなと考えています。
あと、まだいろいろ考えている途中ではあるんですけど、将来は海外で働くことにも興味があって。海外に行っても、仕事の合間を縫って、いま取り組んでいるようなボランティア活動も続けていきたいです。
きっと世界には、いまわたしが見ているだけじゃなくて、もっといろんな問題があるんですよね。なので、今後も幅広く、気になったテーマに対してアクションを起こしていけたらいいなと思っています」
うののプロフィール
年齢:16歳(2007年11月29日)
出身地:クアラルンプール
所属:STEAMプロジェクト
趣味:バスケ観戦
特技:フラ
大切にしている言葉:唯一無二
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Photo:Nanako Araie
Text:Fuka Hagai