「気になる10代名鑑」の832人目は、竹内伶さん(17)。ケニアのスラム地区で、貧困の家庭に向けたボランティアや、平和教育に関する活動を行っています。子どもたちにとって、少しでも格差がない社会にしたいと語る竹内伶さんに、活動を始めたきっかけや、将来の展望を根ほり葉ほり聞いてみました。
竹内伶を知る5つの質問
Q1. いま、力を注いでいることは何ですか?
「ケニアのスラム地区に住んでいる貧困家庭に向けた、ボランティア活動をしています。去年の8月には、現地を訪れて、貧困家庭を支えるお母さんたちを取材。どこにどんな問題があるのかを見つけ出し、解決のための新しい仕組みを生み出すプロジェクトに取り組みました。
具体的には、家庭の収入を助けるために家畜であるニワトリをプレゼントしたり、家に机を置くスペースがない子どもたちに向けて、折りたたみ机と卓上ライトを寄贈したりしました。
ほかにも、平和活動の一環として、毎週日曜日に、地元である長崎市内で署名活動や、被爆者の体験を紙芝居にまとめる平和活動をおこなっています。紙芝居は、フィリピンのスラム地区にも持って行って、読み聞かせをしました」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「中学3年生のとき、担任の先生に英語が上達する方法を相談したら、外国の友達を作ることがいちばんだとアドバイスをもらったんです。
これから先、英語の習得が必要不可欠だと薄々感じてはいたんですけど、当時のわたしは英語がすごく苦手で。でも、先生の言葉をきっかけに、英語を学べる場所に自ら飛び込もうと決心しました。
そこからは、英語科に進んで英語に触れる機会を増やして。もっと海外の方と直接、関われる方法を探しているうちに、ケニアの子どもたちを支援している『チャイルドドクター・ジャパン』という団体のボランティア活動に出会えました」
Q3.ファーストアクションは?
「ボランティアを募集しているサイトから『チャイルドドクター・ジャパン』に登録しました。
海外に住んでいる子どもたちと仲良くなりたいと思っていて、まずはオンラインでケニアの子どもたちと食事をしながら話す『オンライン子ども食堂』に参加したんです。画面越しでお話しをしたり、手紙を送り合ったりするうちに、どんな環境で、どんな生活を送っているんだろうと考えるようになり、直接会ってみたいと思うようになりました。
『チャイルドドクター・ジャパン』の方にケニアに行かせてほしいと直談判したら、8月から行くから一緒に来てみないかと声をかけていただけて、実際に行くことができたんです」
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Q4. 活動をする中で印象的な出来事は?
「子どもたちの、純粋な心に触れたことです。
最初は、スラムに対する、怖い、汚いという勝手なイメージで、足を踏み入れることにすごく抵抗がありました。ただ、スラムの子どもたちは、そんなわたしの気持ちなんかお構いなしに自然と手をつないできて、覚えたての英語で一生懸命に話してくれて。そういう子どもたちの温かさとか、綺麗な笑顔に触れたときに、この子たちを貧困から救い出したいという気持ちが強くなったんです。
貧困問題と教育は、深くつながっていると思っていて。貧困のループの原因のひとつは、教育が行き届いていないことなんじゃないかな、と。これからも子どもたちと向き合って、どういう問題があるのか、どういう学習環境を整えれば、貧困のループから抜け出せるのかを考えていきたいです」
Q5. 今後の展望は?
「わたし自身の経験や知識を発信できる『メガホン』のような存在になりたいです。
貧困問題や平和活動に取り組む中で、人が『知らないことを知る』機会って少ないと感じていて。まずは知ることが、いま起こっている問題に関心をもつための第一歩なので、自分の知識や経験を積み重ねていくことはもちろん、それをたくさんの人に伝えていきたいです。いま世界で起きていることに興味をもってもらうことで、結果としてそれが誰かの助けにつながっていったら良いな、と考えています。
それから、世界で生きている子どもたちの、大きな格差をなくしていきたいです。世界には、どれだけ努力しても、報われない環境にいる子どもたちがいるということを実感しました。生まれた環境などに左右されず、ちゃんとひとりひとりの努力が実るような社会になればいいなと思っています」
竹内伶のプロフィール
年齢:17歳
出身地:長崎県長崎市
所属:活水高校平和学習部、NPO法人チャイルドドクター・ジャパン、トビタテ留学Japan8期生
趣味:読書、ピアノ
特技:アラームをつければ何時でも起きられる!
大切にしている言葉:なんとかなる
竹内伶のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano