「気になる10代名鑑」の833人目は、ゆじろさん(19)。高校の家庭科の授業をきっかけに絵本作家の道を志し、現在は美大で、絵本のような世界を表現した絵画などの創作をおこなっています。「心がキュッとするような切ない気持ちも作品に込めたい」と話すゆじろさんに、活動のテーマや今後の目標について、くわしく聞いてみました。
ゆじろを知る5つの質問
Q1. いま、力を入れている活動は?
「美大で油絵を学びながら、わたしが大好きな『絵本のような世界』をテーマに創作しています。
ずっと絵が好きだったのですが、周りのすすめで、中高では体育会に入っていたんです。はじめは頑張れていたのですが、だんだん、心も体も疲れてしまって。そんなとき、わたしを癒やしてくれたのが、『くまのがっこう』などの大好きな絵本たちでした。わたしの作品もそんなふうに、誰かを癒やす存在になればいいなと思っています。
『自分の好きな世界を、もっとみんなに見てもらいたい!』とも思っていて。周りの友人と一緒に、9月には展示会にもチャレンジしました」
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Q2. 活動を始めたきっかけはなんですか?
「もともと絵を描くのが好きで、小学生のときからお絵描き教室に通っていました。絵の道をきわめて、絵本作家になりたいと思ったのは、中学生のときの家庭科の授業がきっかけです。
授業で、絵本をイチから作ってみようという課題が出て。先生が参考に持ってきてくれた、サンタさんの絵本の表紙をみたとき、一瞬でその世界観に吸い込まれました。『わたし、絵本が描きたい!』と、直感的に思ったんです。夢中になって、絵本作りにのめり込みました。まだまだ上手とは言えない絵でしたが、親や友達に見せたとき『かわいい!』と言ってくれたのが嬉しかったですね」
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Q3. 活動のテーマはなんですか?
「作品には、絵本らしいほんわかハッピーなビジュアルだけではなく、大人にならなければいけないけど、子どものころの思い出を忘れたくない……。そんな、いまのわたしらしい、心がきゅっとするような切ない気持ちも込めたいと思っていて。例えば、キャンディーカラーのなかに、シブめの緑や赤をあえて入れることで『心のひっかかり』を表現するなどの工夫をしています」
Q4. 創作に影響を受けている「人」や「もの」は?
「いろいろな方の作品を見て勉強していて。なかでも、杉戸洋さん、廣田智代さんの作品は大好きで、目標でもあります。
美大の受験では、とにかく対象をありのままに描写する『写実』の練習をしてきましたが、やっぱり、かたちのないものを淡い色で表現したり、絵の質感でほっこり感が伝わってきたりする作品が好きで……。挑戦しているのですが、なかなか難しいんですよね。色と質感で絵を成立させて、表現するってすごいことなんだなって気づきました。
難しくても、質感で表現することにはこだわりたくて。キャンバスを羊皮紙のような質感に加工して、ざらざらな質感を見せるパステルなどを使ってみたり、模索中です」
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Q5. 今後の目標は?
「読んだ人に癒やしを届けられる、絵本作家になることが夢です。これからも絵のスキルを磨きながら、自分だけの表現を見つけていきたいです。
あと、油絵だけでなく、表現の幅を広げたいとも思っていて。最近では、羊毛フェルトも始めました。好きなように形を作りやすいので、絵画よりもっと自分の思いを込められるような気がします。もふもふの感触も可愛いんですよね。平面だけで表現する絵画から飛び出して、自由なアイディアでいろんな作品をつくってみたいです」
ゆじろのプロフィール
年齢:19歳
出身:神奈川県
所属:女子美術大学
趣味:かわいい靴下をみること、古着屋でネクタイをみること
特技:小走り
大切にしている言葉:なんだよそんな汚れくらいまるごと抱きしめるよ(BUMP OF CHICKEN、新世界)
ゆじろのSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Chihiro Bandome