世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、学生を対象とした持続可能な環境コンテスト『The Earth Prize』にて、準優勝に輝いたトルコの学生たちについてご紹介します。
2024年の『The Earth Prize』で準優勝に輝いたトルコの学生たち
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2021年から開催され、今年で3回目の開催となった『The Earth Prize』。これは、13歳から19歳を対象とした、世界規模でおこなわれる「持続可能な環境コンテスト」です。154の国や地域にある2,000以上の学校から、約10,000人もの学生たちが参加し、自分たちが考えた環境問題に関するアイディアをプレゼンします。最も可能性を秘めたアイディアには、それを実現するための資金として、10万ドルもの賞金が授与されるという、大変魅力的なコンテストです。
その中でも特に、今年度の入賞チームのひとつである、トルコの高校生チーム「Ceres(以下:セレス)」に注目が集まりました。一体、どんなアイディアなのでしょうか。
プラズマ技術を活用した「プラズマ動力農作物ソリューション」
セレスが『The Earth Prize』で発表したのは、気候変動による、農作物の不作改善を目的としたソリューション「Plantzma」です。彼らの地元である、トルコの「メソポタミア」と呼ばれる地域では、壊滅的な干ばつが発生し農作物の80%が損失。広範囲にわたる食糧危機も経験しました。そうした背景から、トルコに限らず、世界的な食糧危機に対応するために、プラズマ技術を活用した機器「Plantzma」の開発に至ったのです。
「プラズマ」とは、個体、液体、気体の次の状態のことをいい、気体にエネルギーを加えることで変化します。例えば、太陽や稲妻は、自然界にあるプラズマの一種です。また、蛍光灯やプラズマテレビなど、わたしたちの身の回りにも、人間が生み出したプラズマが存在しています。
今回の「Plantzma」では、化学反応を起こしやすい「低温プラズマ」を活用。一台につき、作物の損失を最大60%防ぎ、肥料の使用量も40%削減できるのだそうです。
「Plantzma」では、この低温プラズマを、「直接処理」と「間接処理」のふたつの方法で使います。
「直接処理」では名前のとおり、栽培前の農作物の種子をプラズマで直接、処理します。種子の表面にナノレベルの亀裂をつけることにより、発芽率を高め、病気や干ばつなどの環境ストレスに強い種子になるそうです。
一方で「間接処理」は、農作物に使う水をプラズマ処理し、環境に優しく窒素が豊富な、肥料の役割をもつ水に変化させます。これにより、成長の促進につながるそう。ふたつの方法により、異なる効果が期待できるところはとても面白いですね。
『The Earth Prize』で入賞した、その他のプロジェクト
『The Earth Prize』で入賞した、ほか3つのチームもご紹介します。
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まず、今年度の優勝チームである「FloodGate」は、アメリカ在住の17歳から18歳の学生5名からなるチーム。地元・ノースカロライナ州で起きた洪水をきっかけに、洪水予測および検出ツール「FloodGate」を開発しました。高度な計算技術を使って洪水を予測し、救助計画のサポートもできるそうです。
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準優勝チームは、ベトナムの「COCOMELLOW」とイギリスの「Pebble」。「COCOMELLOW」は、ベトナムで豊富に採れるココナッツとバナナの繊維を活用した、地球環境に優しいオムツを開発しました。「Pebble」は、コンピューターのリソースを最適化し、エネルギー消費量を削減するプラットフォームを開発したそう。
見ているだけでも刺激になる『The Earth Prize』
今回、ご紹介した入賞チームのアイディアは、各チームが、それぞれの土地の資源や自分たちの強み、実体験などを活かしていて、どれも興味深い内容となっています。
プレゼンの詳細をもっと知りたいと思ったなら、ぜひ『The Earth Prize』のWebサイトをチェックしてみてください。また、すでに2025年度の受付もスタートしており、次はどのようなソリューションが生まれるのかも気になるところ。今後も『The Earth Prize』に注目していきたいですね。
References:
THE EARTH PRIZE 2024 WINNER
Text:Yuki Tsuruda