世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、デンマーク・コペンハーゲンのサステナブルな取り組み「CopenPay」についてご紹介します。
コペンハーゲンで環境配慮と文化体験の豊かさ向上を目的に「CopenPay」がスタート
サステナブル先進国として名高い北欧の国、デンマーク。ヨーロッパの国々を対象にした、SDGsの取り組みを評価するランキングでも、38か国中の3位と、高評価を得ています。
中でも主都・コペンハーゲンは、使用されている電力の70%以上が再生可能エネルギー由来であったり、ホテルの客室の大半がエコ認証を受けていたりと、さまざまなところに環境への配慮が感じられる都市です。また自転車の利用率も高く、街中には自転車専用レーンが整備されており、62%の市民が、自転車通勤をしているそう。
そんなコペンハーゲンで新たに始動した、環境配慮と人々の文化体験の豊かさ向上を目的とした取り組みが「CopenPay」です。
「CopenPay」ってどんな取り組み?
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「CopenPay」は、コペンハーゲンを訪れた人々が、環境に配慮した選択や行動をしたときに、特典を受けられるという取り組みです。例えば、デンマークの有名作家「カレン・ブリクセン」について知ることができる「カレン・ブリクセン博物館」では、敷地内にある庭園の手入れを手伝うと、特典として、カレン・ブリクセンが暮らしていた邸宅に無料で入場できます。
他にも、都市内にある北欧最大のオーガニックガーデン「Øens Have(オーエンス・ハヴ)」では、水やりや種まき、堆肥づくりなどといった農作業を手伝うと、地元のオーガニック食材を使用したランチが無料で食べられます。メニューは季節や食材の入手状況によって変わるため、何度も足を運んで楽しめそうですね。
参加方法は施設によって異なりますが、利用した電車の切符を見せたり、環境保護活動を行った証明を提示したりと、ハードルの低いものも多く、シンプルな設計になっています。
サステナビリティに貢献したくなる仕組み
「CopenPay」では、多様な体験が24つも用意されており、アイスクリームやコーヒーのプレゼントから自転車の無料レンタルまで幅広い特典を受けられます。ユニークな体験ができて、さらに特典まで受け取れるため、思わず参加したくなりそうです。
しかしこの取り組みは、観光の促進自体が目的ではありません。体験を通して、持続可能で環境に配慮した行動の推進や、人々の文化体験の豊かさ向上をめざしています。
そして「CopenPay」は、持続可能な行動を起こす人を増やすための取り組みでもあります。国際市場調査グループ「カンター」が発表した報告書によると、持続可能な行動に対して前向きな人は82%。しかし、実際に行動に移した人は22%と、大きな差が生まれているようです。
確かに、「行動したい」と思っていても、「具体的に何をしたら良いのだろう」や「持続可能=大きなアクション」と思っていて踏み出せない人もいるでしょう。そんな人たちにとって、楽しみながら取り組める「CopenPay」は、良い影響を与えてくれそうな気がします。
今回は7月15日から8月11日と、期間を定めた取り組みになっていますが、終了後の評価によっては、通年利用できる状態での再導入もありえるとのこと。
具体的な行動を促す仕組み…いつかは日本でも導入されるかも?
さらに、ゆくゆくはコペンハーゲン以外のデンマークの地域や、他の国々に拡大していきたいとも考えているようです。もしかすると、日本の都市でも導入される日が来るかもしれません。それを期待しつつ、「CopenPay」の今後の動きに注目したいですね。
Reference:
Europe Sustainable Development Report 2023/24
Copenhagen launches new green experience economy initiative, CopenPay|WONDERFUL COPENHAGEN
Karen Blixen Museum, Rungstedlund|visit Copenhagen
CopenPay-Free attractions for climate action|visit copenhagen
Travel by public transport and get free tickets with Copenhagen’s new green initiative for tourists|euro . news.
Text:Yuki Tsuruda