世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、U30世代のための政治と社会の教科書メディア『NO YOUTH NO JAPAN』 の設立5周年記念イベントの様子をレポートします。
U30世代から参加型デモクラシーを根付かせる「NO YOUTH NO JAPAN 」とは
7月21日(日)に、東京の港区芝浦「SHIBAURA HOUSE」において、「NO YOUTH NO JAPAN OPEN DAY」が開催されました。
イベントの主催団体である「NO YOUTH NO JAPAN」は、若い世代の政治参加を身近にすることをめざし、2019年から活動を続ける、大学生を中心とした団体です。10.5万人のフォロワーを抱えるInstagramを通して、社会問題や政治関連の発信や、選挙での投票啓発、シンクタンクでの調査・提言など精力的に活動を展開しています。
団体創立の5周年の記念日に開催された「NO YOUTH NO JAPAN OPEN DAY」は、「参加型デモクラシーのある社会」を体感できるこの日限りのコンテンツが盛りだくさんで、オープンキャンパスのように、多くの人が気軽に訪れてほしいという思いが込められたイベントです。
ここからは、そんな注目のイベントの様子をお届けします。
NO YOUTH NO JAPANミュージアム
会場に入った参加者を出迎えたのは、「NO YOUTH NO JAPANミュージアム」のコーナー。身近な暮らしのもやもやから考えるヒントを得るきっかけとなる「U30のもやもや」のコーナーや、政治や投票についての基礎知識の紹介、ジェンダー平等や気候変動など過去のInstagram投稿より厳選されたトピックのパネルが並びます。
現状や課題を認識して、そこから行動するために必要な、自分なりの「スタンス」をもつまでの流れを学ぶことができる……そんな展示内容でした。
またミュージアムの最後には、参加者が感想を書けるパネルが設置され、ただ見るだけでなく、具体的なアクションを促す工夫もされていました。
スタッフの方と対話をしながらさまざまなパネルを眺めたり、友人同士でカジュアルに政治についての疑問を話したり、展示をきっかけにコミュニケーションを楽しんでいる参加者の姿も見られました。
5周年記念トークショー
当日の会場では、NO YOUTH NO JAPAN代表の能條桃子さん、しじみさんと、ゲストを交えた、トークショーがふたつ実施され、その様子はオンラインでも配信されました。
ひとつめのトークショーは、「デンマークのデモクラシー最前線」と題し、デンマークの高校社会科教師のヤコブ・ヨンセンさん、デンマークの若者団体初代代表のフレデリック・デイラさんという2名のゲストと一緒に、投票率が8割を超えるデンマークの民主主義と政治参加について、さまざまな角度からのトピックが飛び出しました。
デンマークの学校では「意見を表明する権利」を教えることが教師の役目であることや、日本の若者との違い、自分のスタンスをしっかり持つことは立派なアクションであることなど、時には笑いを交えながらここでしか聞けないアレコレを学べる大満足の内容でした。
2つ目のトークショーは、モデルの藤井サチさんをゲストに迎えておこなわれました。「わたしたちと社会について井戸端会議2019→2024 ー5年の変化とこれからー」と題し、団体の歴史を振り返りながら、これからの日本について、等身大のトークが繰り広げられました。
「この5年間で、政治について話しやすい空気にはなってきたと思う」とこれまでの5年を振り返った能條桃子さん。また藤井サチさんは「わからないこと、知らないことが多いのにTVで政治について発言するかどうか、迷いや不安があった。小さいアクションを続けることは、必ず大きな力になると思っています」と発信者としての思いを語っていました。
会場では、行動をしてみたい個人に向けた「やわらかアクティビスト進路相談会」や、ソーシャルグッドな飲食の提供などもおこなわれました。
若者が声を届けることを当たり前の社会へ
次の5年、さらに10年先と、NO YOUTH NO JAPANの向かう先や想いについて、代表の能條桃子さんにお聞きしました。
「メンバー内での振り返りの枠を超えて、オンラインを中心に活動してきた経緯があるため、リアルの場で応援してくれている方々と交流の場を持ちたいと思い、今回のイベントを開催しました。みなさんには日々の生活の中で消え去ってしまうような小さなことであっても、社会に感じた違和感を忘れないでほしいと思います。」
団体では現在、被選挙年齢の引き下げに力を入れており、これまでおこなってきた個人への働きかけと合わせシステムチェンジの部分の活動も、平行して取り組んでいるそう。5周年を迎え、ますます加速しているNO YOUTH NO JAPANに今後も注目していきたいですね。
Text:kagari