「気になる10代名鑑」の729人目は、中島悠陽さん(16)。若者に日本文化の素晴らしさを再認識してもらうためのプロジェクトを立ち上げ、活動しています。海外生活を通じて、日本の文化を好きになったことが活動のきっかけだと話す中島さんに、大切にしていることや今後の展望について、あれこれ伺いました。
中島悠陽を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を注いでいる活動は?
「日本の若者に日本文化の素晴らしさを再認識してもらうこと、そして日本をもっと好きになってもらうことを目標とした活動をしています。いまはその第一歩として、『文化×香り』をテーマに、お茶の香りに着目したリードディフューザーの販売に向けて動いているところです。
というのも、いまや若者の10人にひとりがお茶を飲まない時代だと言われていて。産業自体も衰退が進んでいるそうなんですが、お茶を“飲む”こと以外の楽しみ方を提示することができれば、新たなニーズが生まれるんじゃないか、その特別さに気付いてもらえるんじゃないかって考えたんです。
それで、“香り”という手法なら、自然に好きになってもらえるんじゃないかなって思って、このプロダクトにたどり着きました」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「小学校3年生から中学2年生までの5年間、アメリカに住んでいました。そこでの生活を通じて、日本の文化の素晴らしさに気付いたことがきっかけです。
個人的に、文化には2種類あると思っていて。ひとつは生活と関連の薄い、伝統芸術みたいなもので、それは既に“素晴らしいもの”として認識されていると思うんです。でもそれとは別に、お箸とかお辞儀のように、生活の中に溶け込んだ文化もありますよね。こっちの文化は、あまりにも当たり前になってしまっていて、関心をもたれにくい。日本に帰ってきて、友達とかと話しているうちに、そのことを実感しました。
だけどそんな無関心の裏では、いろんな文化が衰退していて。それがこの先も進んでしまうと、アイデンティティみたいなものが失われてしまうんじゃないかっていう危機感から、活動を始めました」
Q3. 活動をする中で大切にしていることは?
「『日本には素晴らしい文化がたくさんあることを知ってほしい』という自分の思いをきちんと届けることです。
いまやろうとしている商品販売も、あくまでそのための手段に過ぎなくて。どうやったらこの思いを届けられるかなって考えたときに、プロダクトというアプローチが伝わりやすいと思ったんです。
だから、商品化できたときには、いろんなところに置いてもらいたいなとは思っているんですけど、どちらかというと狭く深くというか、商品に込めた自分の想いがちゃんと届く範囲で展開したいなと考えています」
Q4. 影響を受けた人物はいますか?
「高校のクラスのメンバーや先生です。帰国したころから、何か活動をしたいなと思っていたんですけど、実際どうすればいいのか、全然わからなくて。だけど、高校のグローバルイノベーションクラス(GIC)に起業ゼミっていうのがあって、そこで先輩たちがすでにいろんな活動をしていたんです。それを通じて、人それぞれの活動方法があるんだって知ることができました。
『文化×香り』っていう事業内容を思いついたときにも、まず、クラスのメンバーや先生たちに『ビジネス的にどうか』『消費者としてどう思うか』ということを聞いてみて、さまざまな視点を取り入れるようにしていました。
僕以外のみんなも、それぞれ自分のプロジェクトに本気で向き合っているので、互いに相談し合って、よりよくしていく環境があるんです」
Q5. 今後の展望は?
「高校生の間はいまの事業をもっと拡大していきたいなと思っているんですけど、将来的にはそれに限らず、社会全体に影響を与えられるようなことをやっていきたいです。
日本人が、日本に対して絶望していっていることに、危機感をもっていて。文化も含め、日本の良い部分を認識できていないからこそ、悪い部分ばかりに目がいってるんだと思います。だけど、良い部分も分かっているからこそ、悪い部分を変えていこうとか、良い部分をもっと発展させていこうっていう発想になればいいなって。
この言葉だけだと、政治的に感じるかもしれないんですけど、戦後、日本の急激な成長を支えていたのは民間企業だし、民間が社会を変える素地があると思うんです。だからこそ今後も、民の力で日本の社会をよりよくしていきたいと考えています」
中島悠陽のプロフィール
年齢:16歳
出身地:東京都世田谷区
所属:聖学院高校 グローバルイノベーションクラス、個人事業てらすaroma 代表、合同会社And18’s 社長
趣味:様々な人と対話し、プロジェクトなどを行うこと
特技:何事も楽しむこと
大切にしている言葉:失敗なければ、成功あらず
中島悠陽のSNS
★Facebook★
Photo:Eri Miura
Text:Fuka Hagai