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ミラノで夜の食べ歩きが禁止されるかも?テイクアウト食品の夜間販売禁止の条例案が提出【Steenz Breaking News】

ミラノで夜の食べ歩きが禁止されるかも?テイクアウト食品の夜間販売禁止の条例案が提出【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、イタリアのミラノで提案された「テイクアウト食品の販売禁止条例」についてご紹介します。

提案された夜間のテイクアウト食品の販売禁止条例案

ミラノ大聖堂やスカラ座など多くの文化的建造物があり、観光地としての人気も高いミラノ。文化的な建物以外にも、「メルカート チェントラーレ ミラノ」や「ナヴィッリ地区」など、夜も楽しめるスポットが豊富なところも魅力のひとつです。

しかし近年、こうしたナイトスポットに多くの人々が集中し、地域住民が騒音に悩まされるという事態が起きています。ミラノ市長であるジュゼッペ・サラ氏も、「住民から何百件もの報告を受けている」と記者団に話しています。

そこで今回提案されたのが、午前12時以降のテイクアウト可能な食べ物の販売を禁止する条例案。これが可決されると、地区や大通りを含む12の地域を対象に、ジェラートやピザなどの深夜販売禁止になるほか、バーやレストランといった飲食店も、平日は午前12時半から、週末は午前1時半から野外飲食エリアの閉鎖が義務づけられます。期間としては、11月初旬までを想定しているそうです。

ちなみに、食べ歩きに関する禁止条例案がでるのは今回で2回目。2013年に提案された際は、激しい反発を受けて撤回されていますが、今回はどうなるでしょうか。

問題解決のために文化的習慣を禁止することに批判の声も

地域住民の睡眠環境を守るために提案された、今回の条例案。副市長であるマルコ・グラネッリ氏も、「社交や娯楽、住民の平和と静けさのバランスをとることが目的だ」と話していますが、2013年と同様に、批判の声も上がっているようです。

その理由が、ジェラートの夜間販売禁止は、文化的習慣の断絶につながる、というもの。もともとイタリアでは、夕食後に外出し、ジェラートを食べながら涼むという習慣があります。今回の深夜販売の禁止条例案にはジェラートも含まれているため、古くから続いてきたイタリアの文化的習慣が薄れてしまうことを、人々は危惧しているのです。その他にも、飲食店などは売り上げの減少を訴え、反対の姿勢を見せています。

条例が施行されれば、街の静けさにつながり、地域住民にとってはメリットが多い一方、それによってデメリットを受ける人もいますし、自由を抑制するということには、批判がつきまといます。ミラノ市が、この部分の折り合いをうまくつけられるかが、実現のカギとなるでしょう。

日本でも食べ歩き問題に対してさまざまな地域が対策を行っている

日本に目を向けてみると、食べ歩きを禁止できる強制力をもった条例はつくられていませんが、努力義務レベルの条例や取り組みは存在します。

例えば鎌倉市では、2019年4月1日に「鎌倉市公共の場所におけるマナーの向上に関する条例」を施行。名前のとおり、公共の場所でのマナーを向上させ、良好な環境の保全および快適な生活環境の保持を目的とした条例です。実はこの条例、一部の誤った報道により「食べ歩きを含む行為や一部のスポーツを禁止、規制するもの」として、ネガティブに伝わってしまったという経緯があります。

あくまで努力義務であり、条例に拘束力はありません。だからといって気を付けなくて良いということでもありませんので、マナーを守って鎌倉散策を楽しみたいですね。

そしてもうひとつは、京都市にある錦市場。全長390メートルと長い市場は、別名「京の台所」と呼ばれることもあり、地域独自の食文化が根づく場所です。そんな錦市場では、京都錦市場商店街振興組合と京都工芸繊維大学が協力し、食べ歩き禁止の掲示物を制作。周辺の店先に掲示しています。その他にも、食べ歩き禁止の啓発チラシを京都錦市場商店街振興組合が制作し、ホームページにも掲載しています。

観光地で増加する食べ歩きや騒音問題

条例だけでなく、啓発のための看板やチラシの制作などは、訪れる側の人たちが、さまざまな人に配慮し、気をつけていれば、本来はなくてもいい取り組みです。その地に根づいた文化や習慣を守り次世代へつなぐためにも、ひとりひとりがマナーを守り、楽しむことが大切ではないでしょうか。まずは自分たちが意識することによって、行動を規制する条例などをつくらなくてもいいようにしていきたいですね。

Reference:
Info| Mercato Centrale
‘Do they realise what they’re doing?’ Milan takes on ice-cream sellers in war on ‘wild nightlife’|Guardian News
Milan poised to ban ice cream, pizza and more after midnight after new proposed law|sky news
ミラノ・ナヴィッリ地区の見どころ、飲みどころ、食べどころ|Hostelworld Travel Blog
イタリアの夏の夜はジェラート!特徴とアイスクリームとの違い|新しいノート

Image:京都市

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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