Teen's Snapshots

北極の集落「カナック村」への訪問が転機になり、COP28にも参加。エンターテインメントと教育にコミットする活動家【Ai・18歳】

北極の集落「カナック村」への訪問が転機になり、COP28にも参加。エンターテインメントと教育にコミットする活動家【Ai・18歳】

「気になる10代名鑑」の712人目は、Aiさん(18)。17歳のときに、北極に位置する人口約600人、グリーンランドのカナック村に魅せられて、訪問したのち、現地での体験や衝撃をCOP28でも報告しました。グローバルな視点と音楽というバックボーンをもち、独自の活動を続けるAiさんに、活動する中で印象的だった出来事や将来のビジョンについて、お話ししてもらいました。

Aiを知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。

グリーンランドのカナック村に住む先住民の支援をする活動をおこなっています。2023年には、ドバイで開催された『COP28(気候変動枠組条約締約国会議)』に参加して、現在のカナック村の問題についてプレゼンをおこないました。いまは大学に通いながら、プロジェクトの振り返りと,今後の活動の方向性を研究中です。

もともと海外に興味があって。中学1年生から国際バカロレアの学校に進学し、2024年の1月には『国際バカロレア資格』を取得しました。中高の6年間、英語の勉強を頑張りました。その後、高校時代には、カナダ留学も経験しました。コロナ禍の影響で満期ではなかったのですが、行ってみないとわからない実際の文化を体感することができて。日本とは違う環境での大変さと面白さを知ることができました」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

「カナック村についての活動を始めたのは、グローバルビジネスコンテスト『The Arctic Race4Good』をきっかけに、カナック村のことを知って、現地に滞在したことがきっかけです。

カナック村は極地で、氷に覆われた白銀の世界。産業が発達しにくく、外部との交流も限定的で、経済や教育が遅れているとされているんです。実際に、若者が職に困ったり、非行に走ったりしまうなど、支援が必要な面も多いのが現状で……。でも、わたしが現地で見たのは、自分たちで工夫を凝らしながら、生き生きと伝統的な暮らしをする姿。そこから、発展途上国と決めつけて支援するのではなく、必要なところに手を差し伸べて、一緒に進んでいくことが大事だと思うようになりました。

カナック村では、手づくりの木枠でデコレーションした写真をくれた男の子がいて。滞在の最終日に『僕のこと、忘れないで!』と言ってくれたんです。そんな彼の気持ちが本当に嬉しくて、いまでも大切に持っています。それまでは、“人の支援”という大きな枠の中で、いろいろな地域に目を向けながら活動していたのですが、『カナック村の力になりたい!』と明確な目標をもてるようになりました」

Q3. 活動するうえでの共通したテーマは?

人との縁を通して、新しいものをつくることです。人と何かを掛け合わせて、社会のために何かできることはないかな、という思いを常にもっています。

小さいときから、人と話すことが大好きで。もっともっとたくさんの人と話したいと思うようになり、自然と海外に興味が向くようになりました。家族と海外旅行をしたときには、旅行先の言葉が話せないはずなのに、バスでたまたま隣り合った年配の方とおしゃべりを始めてしまいました(笑)。

人と接しながら、いろいろな議論を重ねて、新しい企画を立案したり、新しい視点を得るのが楽しくて好きなんです。ボランティアやプロジェクトを探して、『面白そう!』と思ったものは何にでも応募し、どんどん挑戦するようにしています」

Q4. 自分のパーソナリティのひとつになっているものはありますか?

音楽です。2歳ぐらいのときから音楽が好きで、小学校4年生からは劇団に所属していて、ダンスや歌を披露していました。

5歳のときには、ニューヨークで本場のミュージカルを観劇しました。『これがアメリカンドリームか! キラキラで素敵すぎる!』と、一層、海外への憧れも強くなりました。そのあとは、ミュージカルの役者として舞台に立つため、稽古に打ち込んでいました。いまでもときどき自主的に練習していて、ジャンルを問わずによく歌っています」

Q5. 今後の目標は?

カナック村に暮らす人たちが、経済的にも精神的にも充足できるような社会をめざしています。先住民がアイデンティティを保ち、生きがいや夢を持ち生活できる……そんな社会を実現したいんです。

カナックからグリーンランドへ、グリーンランドから世界へ、遠隔地でも持続可能な環境が作れるということを示したいです。そのために、これからも定期的にカナック村に足を運んで、交流のために必要な英語の教育ができればと思っています。

それから、音楽と教育を掛け合わせた『エル・システマ』という、南米ベネズエラ生まれの音楽教育プログラムにも注目していて。このプログラムは、音楽活動に参加することで、子どもたちの精神の豊かさを育てるものなんです。わたしもずっと音楽をやっていたというバックボーンがあるので、そんな自分の得意分野も活かしつつ、音楽がひとつの支援のアプローチになるのではないかと考えています」

Aiのプロフィール

年齢:18歳
趣味:カナック村の人や文化を理解し、新たな発見をすること
特技:音楽
大切にしている言葉:“Deeds, not words. Be the change”
(言葉より行動を、変化をもたらす力を)

AiのSNS

★Twitter

Photo:Eri Miura
Text:Chihiro Bandome

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Chihiro Bandome

ライター

2003年生まれ、埼玉県出身。上智大学文学部新聞学科在学。自分の目で現場を見て、自分の言葉で人と話して、世界を知っていきたい。大学では、主にニュース記事の執筆を学んでいる。2023年より、ライターとして「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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