「気になる10代名鑑」の711人目は、髙橋日和さん(17)。“未来のひとへの資料として、いまのひとについて記録をして残したい”というコンセプトで、後世に向けて、気持ちや考えなどのパーソナルな部分を記録をするという活動をしています。未来に生きる人との相互理解を促すという壮大なビジョンをもつ髙橋さんに、活動を始めたきっかけや社会に対しての思いを聞いてみました。
髙橋日和を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れて取り組んでいることは何ですか?
「人の気持ちや考えに焦点を当てて、文章や写真で記録する活動をしています。人柄や人間らしさが伝わるように、インタビューみたいな質問をするんじゃなくて、自然な会話をするようにしていて。また、よりパーソナルな部分を記録するために、期間を設けず、その人との関係性が続いていく限り、記録したいと思っています。
去年の8月ごろから個人でこの活動を始めて、これまでに10人くらいの記録をしてきました。未来の人たちが、“この人のパーソナルな部分を知りたい”って思うような人を対象にしていて。功績を成し遂げるまでの過程や、そこに至るまでの心の中の部分を残したいんです。
なので、『U18-サミット』などのように、目標や将来やりたいことがある人たちが集まるような場所に積極的に参加して、未来に名前が残りそうな人を探しています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「小学校5年生のときに、両親から電子辞書をもらって、そこにあった民俗学についての資料が面白くて、読み始めたんです。昔の人がどんな生活を送っていたかを知ることができて。はっきりと想像できたときの喜びが、いまの活動の原点になっているかもしれないです。
そこから、過去の出来事や人物について、記録に書かれている出来事や行動だけじゃなく、気持ちや行動の動機となった考えをもっと知りたいと思うようになって。そこで思いついたのが、“未来の人への資料として、いまの人について記録をして残す”というアイディアでした。気持ちや考えを理解することはとても楽しいことだと思うので、この記録を必要とする人が、未来に必ずいると思うんです。まずは、いちばん身近な人間である自分のことを記録しようと思い、日記のような形から始めていきました」
Q3. これまでに大きな影響を受けた人は?
「自分の感性をはっきりと言葉にする母親から、強く影響を受けたと思います。昔から、わたしの考えや理屈に向き合って話し相手になってくれていて。頭の中にあることをアウトプットする機会がたくさんありました。
また、母が読書家だったということもあり、読めない漢字にふりがなを振ってくれて、わたしが本を読みやすいような状況をつくってくれました。そのおかげで、保育園児のころから、たくさんの本を読んできました」
Q4. 活動を通して、社会や未来に対してのビジョンはありますか?
「他人という存在をもっと大切にできる社会になったらいいな、と思っています。
わたしは、人の気持ちや考えを知ることで相手に感情移入し、他人が他人じゃなくなる瞬間が好きで。それは、気持ちや考えの資料が欲しいと思った理由のひとつでもあります。
だから、過去の記録を通して、“遠い時代の他人”が他人じゃなくなるし、それと同じように、相手をよく知ることで、みんなが遠い立場の他人を自分のように大切にできるようになったらいいなと思います」
Q5. 将来の目標は何ですか?
「はっきりとはまだ決まっていないけれど、いつまでも勉強しつづけたいという気持ちがあります。自分の知らない価値観や変わっていく文化を吸収できるような人間になりたいです。
時代が流れる限り、世界はいつまでも変わり続けるし、わたしたちの人生の最後には、いまは正しいと思われていることが、間違いだと言われている可能性もあると思っていて。間違いを認めることを拒まずに、世界の変化に合わせて自分の情報をアップデートすることで、他人のことを理解して思いやれるようになりたいです」
髙橋日和のプロフィール
年齢:17歳
出身地:神奈川県横浜市
趣味:RPG、勉強、音楽
特技:歌、文章を書くこと
大切にしている言葉:君子豹変す
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Photo:Nanako Araie
Text:Mao Kawasaki