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世界で発生している干ばつ。ついにスペイン・カタルーニャ州では非常事態宣言も【Steenz Breaking News】

世界で発生している干ばつ。ついにスペイン・カタルーニャ州では非常事態宣言も【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、スペインのカタルーニャ州の干ばつについてご紹介します。

スペインのカタルーニャ州を襲う干ばつ

地球温暖化が原因で起こる気候変動によって、地球上のさまざまな国や地域に影響が出ており、災害のニュースを見かけることも、めずらしくなくなってきました。

世界的に有名な観光都市「バルセロナ」を州都にもつカタルーニャ州でも、降雨量が40カ月ほど平均を下回るという、歴史的な干ばつに見舞われています。貯水池の水位も、2023年4月時点では27%だったものが、2024年2月にはついに16%を下回りました。幸い、春の降雨量が多かったため、貯水池の水位は18%まで回復しましたが、危機的状況はいまも続いています。

田園地帯にある小さな町や村では、井戸が枯渇寸前の状態となり、飲料水を手に入れるために、わざわざ別の町まで車を走らせないといけない人も。家畜や農作物用の水も減少し、経済的にも大きな打撃を受けています。また観光業も、宿泊施設で大量の水が使用されるため、とくに夏場の負担増加が危惧されているようです。

政府が非常事態を宣言

急速に進む貯水池の水位低下を理由に、政府は2024年2月にカタルーニャ州の多くの地域に対して非常事態を正式に宣言しました。そして、これまで同地域の北部で実施されていた制限を、バルセロナにも拡大。これにより、バルセロナを含むカタルーニャ州に暮らす80%の人々が、厳しい水制限を科されたことになります。

例えば、洗車や庭の水まき、家庭用プールなどに飲料水を使用すると最大で50ユーロ、またバルセロナ市民がそれ以上の重大な違反を犯した場合は、最大3,000ユーロの罰金を科される可能性があります。ただし、飲料水ではなく再生水であれば洗車も許可されるといった代替案も出されているよう。その他にも、地方自治体でも道路の清掃に飲料水を使用を禁止するなど、個人や自治体ごとに、さまざまな制限が設けられています。

干ばつ被害への対策

水は人が生きていくために不可欠であり、何としてでも確保しなければいけません。そのためカタルーニャ州は、干ばつの対策としてさまざまな工夫をし、新たなテクノロジーの導入もおこなっています。

そのひとつが先ほども触れた、水使用量の制限です。干ばつの状態によって3段階に分かれており、ひとり当たり1日200リットル、180リットル、160リットルと、状況の悪化とともに使用可能な量も少なくなります。ちなみに、2024年4月時点では1段階めで、バルセロナの住民の水使用量はひとり当たり1日に160リットルになっていますが、今後、気温が上昇してくるとともに、水の需要は増えるので、生活への影響が心配されています。また政府は、このまま干ばつが続き、水使用量が抑えられないのであれば、観光客にも1日100リットルの制限を科すことも検討しています。

その他にも、バルセロナの飲料水の供給を安定化させるために、海水を淡水に変える装置「浮体式淡水化プラント」の設置を発表。これまでに、船を活用して水を運ぶ方法も提案されていましたが、船が1日に運べる水の量は平均 25,000 平方メートルなのに対して、浮体式淡水化プラントならば40,000 平方メートルの水を生産できるうえに、費用も船より安価ですむというメリットもあります。淡水化プラント設置にむけた工事は、2024年の後半に行われるそう。設置後に、バルセロナの水不足がどのくらい改善されるか、期待が高まります。

干ばつは日本でも起こる

干ばつと聞くと、広大な大地がイメージされるため、「日本には関係ないでしょ」と思うかもしれません。しかし実際には、1994年~1995年に西日本で「平成の大渇水」と呼ばれる水不足が起き、その影響で、福岡県では295日も断水が続いたのです。干ばつは、どこの国や地域でも起こり得るということを忘れないように、水を大切に暮らしましょう。

Reference:
Barcelona declares drought emergency, with big fines for breaking water rules|euronews.green
Barcelona is heading for a ‘drought emergency’ as water shortages worsen|euronews.green
Catalonia tourists may soon face water restrictions – but swimming pools spared as ‘climate refuges’|euronews.green
‘A new climate reality’: Spain’s drought-stricken villages have been in crisis mode for months|euronews.green
Barcelona is banking on a floating desalination plant to fight drought in northeastern Spain|euronews.green
Catalonia declares drought emergency, extending restrictions to Barcelona|Guardian News
平成史 生活②平成の大渇水 平成6年|ウェザーニュース

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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