Teen's Snapshots

きっかけは対馬での出会い。海洋ごみ問題をオリジナルのマスコットキャラクターで解決するアーティスト【いっぺい・18歳】

きっかけは対馬での出会い。海洋ごみ問題をオリジナルのマスコットキャラクターで解決するアーティスト【いっぺい・18歳】

「気になる10代名鑑」の683人目は、いっぺいさん(18)。『フィッシュマン』というオリジナルのマスコットキャラクターを通して、海洋ごみ問題についての発信をしています。アートの素材集めで対馬を訪れたことが活動を始めるきっかけになったといういっぺいさんに、これまで生み出してきた作品や印象的だった出会いについて、聞いてみました。

いっぺいを知るための5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

僕がつくった、海ごみ問題のマスコットキャラクター『フィッシュマン』のメッセージを、世界に広める活動をしています。

海洋ごみの問題は深刻で『2050年には、ゴミが魚の重量を上回る』といわれています。でも、あまりにスケールが大きいので、興味をもつのが難しいとも思っていて。どういうふうに伝れば、たくさんの人が興味をもってくれるかを考えた結果、生まれたのが『フィッシュマン』なんです。

具体的なアクションとしては、長崎県の対馬で、3Dプリンターを使ったフィッシュマンのキーホルダーづくりのワークショップをしています。ペットボトルから3Dプリンターで使う素材を生成できる装置を自作したので、環境問題を考える機会になると思っていて。いまは、この活動を大きくするために、企業との協業を考えていて、クラウドファンディングで資金集めをしている段階です」

 

この投稿をInstagramで見る

 

岩田一平(@ippei_iwata)がシェアした投稿

Q2. 活動を始めたきっかけは?

大竹伸朗展を観たことがきっかけだと思います。もともと父がイラストレーターをしていたこともあって、小さいころからアートが身近にあったんですけど、家に引きこもって制作をしているような毎日で……。でも、大竹さんの作品を見てから、とにかくでっかいゴミアートが創りたいという衝動でいっぱいになって。もう睡眠もできないくらいに……(笑)。

そこから、ごみの素材を集めたいと思い、対馬に行くことにしました。当時は環境問題にまったく興味がなかったし、頭の中は海洋ごみのお宝を持って帰ることしか考えていませんでした。でも実際に対馬を訪れて、海洋ごみの存在が生活に支障が出るレベルで問題となっていることがわかりました。島の人たちも悩みながら、この問題をプラスに変えていこうと活動していて。そんな姿を見て、自分なりにアートというものでこの問題に取り組みたいと感銘を受けました」

Q3. 具体的にはどんな活動をしていますか?

ワークショップの開催のほかに、120cmのオブジェ作品『ダストマン』をつくりました! これは、対馬の人と集めた海洋ゴミを、家に郵送してつくったもので。大竹伸朗さんもごみ人間をつくっていたので、自分でもつくってみたいとずっと思っていたんです。

これまでつくってきたアートは、自分の好きなものをつくることが多くて。僕はちょっと感傷的な性格なので、いろんなことを考えたときの吐き出し口がアートだったんです。そういうアートも、他の人のことを気にしない表現ができたり、アート単体としての面白さはあるかもしれませんが、問題意識は伝わらないと気づいて。

双方向のものをやるべきだなと思って、フィッシュマンのワークショップも始めました。これは、表現としてのアートではなく、社会課題を解決するアート。いまはフィッシュマンを通して、海ごみ問題を広めていくことにフォーカスしています」

Q4. 活動をする中で、印象的な出会いは?

対馬のお店の女将さんと、その店で出会ったおっちゃんとの出会いです。

1日1本しかバスがないということも知らずに、本当にノープランで行ってしまって……。でも、偶然出会って、僕の活動に興味をこってくれた女将さんが、次の日、車でいろんな場所に連れて行ってくれました。

おっちゃんは『確かにごみは多いと思っていたけど、いままで真剣に考えたことはなかった』と話してくれて。僕は島の人間じゃないけれど、僕みたいな立場だからこそ、島の人に良いきっかけを与えることだってできるんだと気づきました。

他にも、これまで計3回、対馬に渡って活動する中で、たくさんの出会いがあって。同じように社会課題に取り組む人たちや地元の漁師さんなど、活動を応援してくれる存在がたくさんできました!」

Q5. 今後の展望を教えてください。

かっこいいアーティストになることが夢です。かっこいいって何なのかまだよくわからないけど、いつか自分の人生を、自信もって人に語れるような、そんな大人になりたい。そんなふうに、ベッドに入る前に考えることがあります。

3月に高校を卒業しましたが、やりたいテーマも見つかったので、いまは進学は考えていません。アートで何をしたいのか、何ができるのかを知りたくて、美大進学ための予備校に通ったこともあったんですが、受験のための勉強が合わなくて……。

でも2か月間、予備校に通う中で、技術の高い同級生を見てすごく悔しかった、自分の未熟さを知りました。時間ができたら、自分のレベルを高めるために大学に行くかもしれません」

いっぺいのプロフィール

年齢:18歳
出身地:神奈川県横浜市
趣味:喫茶店めぐり
特技:マイペース

いっぺいのSNS

★Instagram

 

この投稿をInstagramで見る

 

岩田一平(@ippei_iwata)がシェアした投稿

★Twitter

Photo:Nanako Araie
Text:Atsuko Arahata

SNS Share

Twitter

Facebook

LINE

Atsuko Arahata

エディター

View More