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「ネイチャーポジティブ」って何がポジティブなの?「絶滅危惧茶®」を飲みながら生物多様性を考える【Steenz Breaking News】

「ネイチャーポジティブ」って何がポジティブなの?「絶滅危惧茶®」を飲みながら生物多様性を考える【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、「ネイチャーポジティブ」についてご紹介します。

「ネイチャーポジティブ」って何がポジティブなの?

「ネイチャーポジティブ」をという言葉を知っていますか。ニュースなどで取り上げられることが少しずつ増えてきている言葉ですが、簡単に言うと「積極的に自然を守る態度」のこと。でも、なんだかわかりにくくて、具体的にどんなことをするのか、わかりませんよね。

この言葉の誕生したのは、2022年に開催された、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)。「2030年までに地球上の陸域、海洋・沿岸域、内陸水域の30%を保護する」という国際目標が設定され、この目標を「ネイチャーポジティブ(自然再興)」と呼ぶことになりました。生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることを意味します。

では実際のところ、わたしたちの生活にとって、生物多様性はどれほど大事なものなのでしょうか。生物の多様性が失われると、食べられるものや産業資源が減ったり、気候変動が加速したりと、生活レベルで大きな影響が出ると考えられています。

長い地球の歴史の中で、わたしたち人間と人間以外の生き物たちは、相互に関係しながらここまで暮らしてきました。食物連鎖を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、それだけでなく、生態系全体に複雑な相互関係が生じています。そうした複雑な関係がなくては、人間は生きていけないのです。

どんなアクションが必要なの?

「ネイチャーポジティブ」の重要性がわかったところで、それを実践していくには、どのようなことをすればいいのでしょうか。

社会全体で取り組むべきものとしては、持続可能な生産、汚染・乱獲の抑制、生態系の保全と回復などが挙げられます。すでにさまざまな対策がおこなわれていますが、決して十分とはいえません。より一層、力を入れて取り組んでいかねばならないという決意にも近い目標なのです。

もちろん、日本もCOP15に参加しているので、目標達成に向けて積極的に働きかけていく必要があります。そんな中、政府だけでなく産業界でも取り組みが広がっています。

ホテル椿山荘東京でも販売!里地里山の保全につながる希少な「絶滅危惧茶®」

日本には、生物多様性が豊かな「里地里山」と呼ばれる場所があります。昔話に出てくるような農村の光景と言えばわかりやすいでしょうか。田畑や水路、雑木林などが維持されている、昔から農業がおこなわれてきたエリアのことです。そして近年では、そういった「里地里山」で昔からおこなわれてきた持続可能な農業、そして、保たれてきた高い生物多様性に注目が集まっています。

しかしながら「里地里山」は、急な傾斜や狭い面積であるために効率的な生産活動がしにくく、減少の一途を辿っています。同時に、そこで保たれてきた生物多様性も損なわれていっていると危惧されています。

そんな「里地里山」の環境変化によって、絶滅の危機に瀕するお茶を集約したのが、CLASS EARTHの「絶滅危惧茶®」。CLASS EARTHは、ネイチャーポジティブに関する教育や事業サポート、オリジナル商品開発を行っている会社です。この「絶滅危惧茶」を販売することで、産地の里地里山の維持につながります。

現在、オンラインショップやホテル椿山荘東京で販売されている「絶滅危惧茶 和紙パッケージ3個入りセット」は、和歌山県熊野の釜炒り番茶、富山県朝日町のバタバタ茶、愛媛県西条の石鎚黒茶の3種の絶滅危惧茶の茶葉を、和紙で包装したセットです。

「釜炒り番茶 (かまいりばんちゃ)」

「釜炒り番茶」は、和歌山県の奥熊野、本宮の山間部に古くから伝わる伝統的な製法により手作業でつくられているお茶。芳醇な香りと飲み飽きない味わいは、 食事とのペアリングもたのしめるのだそう。

「バタバタ茶 (ばたばたちゃ)」

富山県朝日町蛭谷で生産された「バタバタ茶」は、麹カビによって乳酸発酵させた黒茶と呼ばれるお茶の仲間です。茶碗に入れたお茶を、茶せんでバタバタと音を立てながら泡立ててからいただくのだそう。

「石鎚黒茶(いしづちくろちゃ)」

愛媛県西条市で生産された「石鎚黒茶」は、日本では珍しい二段発酵茶。菌による発酵が二段階でおこなわれることで、種類の違った酸味が生まれて、味わいを豊かにしています。

紅茶やウーロン茶は「発酵させている」と言われますが、納豆やヨーグルトのような外部から菌が入って発酵しているのではなく、茶葉内の成分が酸素と反応する酸化発酵によってつくられます。しかし「バタバタ茶」や「石鎚黒茶」は菌による発酵もおこなわれており、菌も生物なので、ここでも生物多様性が保たれているともいえそうですね。

生活の中で生物多様性を考えてみよう

ネイチャーポジティブについてご紹介しましたが、具体的なイメージはついたでしょうか。

国レベルでの取り組みだけでなく、このように、絶滅危惧種のことを知ったり、それを消費で支えるなど、ひとりひとりの働きかけも重要になってきます。「絶滅危惧茶」を飲みながら、ネイチャーポジティブについて考えてみるのも良さそうですね。

Reference:
環境省 2030生物多様性枠組実現日本会議 JGBFネイチャーポジティブ宣言
環境省 地球規模生物多様性概況第5版

Text:Itsuki Tanaka

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Itsuki Tanaka

ライター

フリーランスのライター。食、農、環境領域 /博物館好き/コーヒー、アイス、チョコも好き。

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