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YMOに影響を受けた油絵画家。日本人だからこそ描けるオリエンタルな表現に挑む【ふくしまだいち・18歳】

YMOに影響を受けた油絵画家。日本人だからこそ描けるオリエンタルな表現に挑む【ふくしまだいち・18歳】

「気になる10代名鑑」の608人目は、ふくしまだいち(18)さん。静岡から上京して、美大で油絵を学びながら、個人的に作品を制作したり、展示空間についても研究したりしています。「日本に住む僕だからこそ描ける絵を描きたい」と話すふくしまさんに、創作を始めたきっかけや将来の展望について、お話ししてもらいました。

ふくしまだいちを知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。

「静岡県出身で、いまは武蔵野美術大学で油絵を専攻しています。課題としての作品制作を行いながら、伝統的な西洋絵画をベースに、日本人だからこそ描けるものをどう盛り込んでいくかをテーマに作品をつくっています。

それと同時に、作品を取り巻く空間について深く考えていて。絵というのは、人に観られて初めて成立するもの。なので、どうやって人に見せる、どんなふうに見てもらうのかというところまでが作品の一部だという思いをもって、空間芸術にも力を入れたいなと思っているんです」

 

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Q2. 活動を始めたきっかけは?

「小さいときから絵を描くのが好きで、水彩画をよく描いていたんですけど、油絵の画材に強く惹かれて、いつか描いてみたいと憧れがあったんです。それからずっと絵を描きつづけて、高校は美術科のある高校に通いました。そこで西洋美術に触れて、油絵を描き始めて、どんどんその魅力にハマっていきました。

高校を卒業した後も、ずっと絵を描ける環境に身を置きたいと思っていたので、自然と美大受験を考えるようになりました」

Q3. 活動のテーマはなんですか?

日本人である自分が、日本で西洋絵画を描くということについて、強く意識しています。

『西洋絵画』というのは、作品だけじゃなく、概念そのものが明治の時代に輸入されたものであるという大前提があって。だからこそ僕は、描くモチーフや展示方法に、多かれ少なかれ日本的な要素を引用しています。最近は日本らしいモチーフだなと思っている『仏手柑』を絵の中に取り入れたりしています。

制作姿勢に強い影響を受けたのは、YMO(イエローミュージックオーケストラ)から。ドイツの『クラフトワーク』というテクノバンドにインスピレーションを受けて、シンセサイザーというとても西洋的なツールを使って、しかし日本人にしかつくれない電子音楽を突き詰めてたのがかっこいいなって。

輸入して同じことをするのはただの真似だけど、日本に住んで、日本人にしか生むことができないものをつくりたいという思いを、しっかり創作に落とし込みたい。だから、オリエンタルな空気感をとても大切にしています」

Q4. これまでの活動のなかで、印象的だった出会いは?

「地元から離れて東京に来てから、画廊で出会うさまざまな画家の方や教授とのつながりが、自分を大きく広げてくれました。

作品の中で、そのままの写実と、ビニールを通して見えるまた別の世界を、一枚の絵に落とし込めるのが面白いなと思って、ビニールのモチーフを入れたんです。その作品に対して、大学の教授から、絵の中で空間を操作する発想を評価していただきつつ、『ビニールという装置に固執せず、この効果について、もっと掘り下げて研究するべき』とアドバイスいただき、目から鱗でした。

それまで、自分の発想に満足しきっていたので、迷いを感じつつも、新しいものが生まれる予感がして。それまではなかなか議論することがなかった、自分の作品に対する見方や、専門的な視点を伺うことができて、成長につながっているなと感じます

 

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Q5. 今後の展望は?

アーティストとして生活するための絵と、自分が描きたい絵が必ずしも同じにはならないと思っていますが、そこが同じになればいいなと思っています。 自分の描きたいものを書いて生きていければ、素晴らしいことだと思っています。そして油絵を基本にしつつも、『やっぱりこれは日本人が描いている絵だよね』と言わせるような絵を生み出したい。

絵画を見せることにもしっかり関わっていきたい。いまの段階で思いついているコンセプトは、『移動式紙芝居』です 。木枠に紙芝居をはめたものを自転車に乗せて、各地で紙芝居の上演をする。視覚に伝達させるシステムとして、日本の伝統に根付いているものだと思うんですよね。ポータブルにイメージを伝えられる日本らしい媒体を、西洋絵画と組み合わせて展示すれば、きっと面白いものができるんじゃないかなと考えています」

ふくしまだいちのプロフィール

年齢:18歳
出身:静岡県
所属:武蔵野美術大学油絵学科
趣味:音楽鑑賞
特技:ものをなくす
大切にしている言葉:ユーモアのないものには惹かれない(細野晴臣の言葉)

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Photo:Eri Miura
Text:Chihiro Bandome

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Chihiro Bandome

ライター

2003年生まれ、埼玉県出身。上智大学文学部新聞学科在学。自分の目で現場を見て、自分の言葉で人と話して、世界を知っていきたい。大学では、主にニュース記事の執筆を学んでいる。2023年より、ライターとして「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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