「気になる10代名鑑」の592人目は、有賀心咲さん(17)。山梨県の高校に通いながら、進路応援の活動をしていて、県の教育委員会や県議会委員への提言から東京でのイベント開催まで、県内外でさまざまなアクションを起こしています。社会活動に出会ってから生活が激変したという有賀さんに、活動を始めたきっかけや大切にしていることについて聞いてみました。
有賀心咲を知るための5つの質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「山梨県の高校に通う18歳です。高校生の進路応援活動をおこなう『大隈塾U18』と『学生団体UniVisit』で高校生メンバーの統括をしています。山梨の進路選択の幅を広げるというのが、これらの活動の根底にあるテーマです。
大隈塾U18では、母体である早稲田大学の学生に協力をお願いして、わたしが通っている高校で、200人に向けてキャリアワークショップを実施しました。
学生団体UniVisitは活動拠点が東京だったのですが、山梨県にも普及させるために、山梨県の教育委員会や県議会議員、校長会(県内の高校の校長が集まる会議)でプレゼンテーションをしたこともあります」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「高校に入学して、人生で初めて学年1位を取った途端、一気に目標がなくなって。生徒会にも入ったのですが、学校生活に物足りなさをずっと感じていて……。『いまのまま漠然と高校生活を過ごしていたらダメだ』って悶々としたのですが、『ヤマナシソン』というアイデアソンのイベントに参加したことで変わったんです。身近な社会問題は自分でも解決できると気づいたし、学校外の人と関わることで、自分の知っている世界の狭さを実感したんです。
進路応援をテーマにしたのは、やっぱりわたしが山梨の高校生であることが大きいです。都心と違って、大学生の声を聞ける機会も少なくて、この環境に問題意識を抱えていて。手始めに学生団体を立ち上げたんですが、山梨県の高校生が知りえる選択肢には限界があることを知って……。やっぱり大学生や大人の協力も必要だと気づいて、そこからはヤマナシソンで出会った大人たちから紹介してもらうかたちで、活動を広げていきました」
Q3. これまでの活動で大変だったことはありますか?
「渋谷QWSで、大学進学の必要性を考えるイベントを企画したことです。アントレプレナーシップの観点から、進路選択に向き合うという趣旨のもので、パネルディスカッションで大学教授や起業家の方など、多くの方に登壇してもらいました。
これまでは県内での活動がほとんどだったし、自分と年の近い大学生とのコミュニケーションが多かったので、東京のイベントで業界で活躍されているような大人の方々に対して、企画のプレゼンテーションをするのはとっても緊張しました。
学生だからハードルを低くされているだろうな……とわかっていたからこそ、そこを越えていこうと、とにかく必死に準備したのを覚えています」
Q4. 活動で意識していることはありますか?
「熱があるうちに、すぐに動き出すことです。
初めてヤマナシソンのイベントに参加したとき、大学生に自分の進路の悩みを思い切って相談したら、肩の荷がスッと降りた感覚がして。その経験もあって、きれいに言語化できていない段階でも、まずは大人たちに話してみて、とにかくいろんなアドバイスを求めるようにしています」
Q5. 今後の展望を教えてください。
「春から大学生になるのですが、経営学に興味があります。いろんな人を巻き込んで動いていくのが好きなので、今度はその人たちの能力を最大限に発揮するためのマネジメントを学んでいきたいなと思っています。
将来的には、若者が夢をもてる世界を実現することです。夢をもつことは、自分を知って、多様な選択肢を知ること。経済格差などのあらゆる障壁を払拭して、居場所をつくるお手伝いができたらいいですね。
それと同時に、わたしがやってきた活動のような、偏差値や順位で表せないひとりひとりが辿った軌跡を認めてあげる社会であってほしいと思います」
有賀心咲のプロフィール
年齢:17歳
出身地:山梨県甲府市
所属:山梨県立甲府第一高校・生徒自治会会長、学生団体UniVisit、大隈塾U18
趣味:映画鑑賞・いろんな人と話すこと
特技:熱意を体現すること
大切にしている言葉:not alone
有賀心咲のSNS
Photo:Eri Miura
Text:Atsuko Arahata