世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、バッタの大量発生による食糧危機と、注目されている昆虫食についてお伝えします。
深刻化するバッタの大量発生
View this post on Instagram
ソマリア政府で国家非常事態宣言がなされるなど、アフリカでバッタの大量発生が深刻化しています。さらにその影響で食糧危機が起きており、国連食糧農業機関(FAO)は、このままバッタの大量発生を放置すると、地球上の20%の土地と世界人口の10分の1が被害を受けると報告しています。
現在、大量発生しているサバクトビバッタは、本来は砂漠などの乾燥地域に生息しているもの。ただ、産卵の際に高温多湿な地域で卵を産み付けるため、群れとなって繁殖に適した環境を求めて移動します。
農作物の収穫とバッタの繁殖期が重なるという悲劇
View this post on Instagram
今年は特に、気候変動の影響によるサイクロンと大雨で、バッタが異常発生しています。大雨が発生することで、バッタの餌となる穀物の収穫量も増えます。乾燥地域に暮らしている農家にとって、穀物の豊作は喜ばしいことであるものの、バッタの繁殖と時期が重なることで、結果として収穫量が減少してしまうのです。農作物の損失は、食糧難だけでなく、家畜の飼料不足にもつながるため、農家や畜産農家にとっては大きな損失となります。
バッタは自分の体重と同じ量の食料を食べるため、2020年にバッタが大量発生した際は、約1800万人分の食料が失われたそう。加えて、餌を求めて移動するバッタの群れは、一度餌を見つけると、すべてを食べ尽くすまでそこに留まるという習性があります。バッタの群れは最大4000万匹からなるため、3万5000人分の食料を、24時間で食べつくしてしまうのです。
バッタを食べて問題解決
一方で、アフリカでは、食料としても食べられているバッタ。筆者の住むウガンダでは、雨季が明けたクリスマスの時期にバッタが大量発生し、ビニール袋に詰められて売られているのを頻繁に目にします。バッタは子どもでも捕まえやすいことから、子どもがバッタを売って、現金収入を得ているということもあるようです。
ウガンダで「ンセセネ」と呼ばれているバッタは、タンパク質が豊富で、タンパク源が少ないアフリカでは貴重な栄養素です。首都のカンパラでは深夜、業者が野原に灯りを設置してバッタをおびき寄せ、煙をたいてめまいをさせることでドラム缶に落とすという方法でバッタを捕獲しています。
塩とスパイスで炒めたり、トマトと玉ねぎを加えてサラダにしたりして食べます。クリスマスの時期は、どの家庭でも食卓に上がるバッタ。筆者も頻繁に食べますが、バーベキュー味のスナック菓子のような軽い食感で、想像以上に食べやすいです。
期待が高まる「食糧」としてのバッタ
食糧危機を引き起こすため、忌むべき存在のバッタですが、もしも食料としてもっと活用できれば、逆に食糧危機を救う存在になるかもしれません。世界各地で研究が進められています。
また、バッタの捕獲のニーズが高まれば、雇用創出の面でも好影響が期待されています。今後、食糧難も軽減され、アフリカの経済にも貢献するなんていうことも、近い未来に起きるかもしれません。
Reference:
Reliefweb「Q&A: The impact of desert locusts in the Horn and Eastern Africa」
UNNews「Desert Locust ‘re-invasion’ threatens millions across Horn of Africa」
Food and Agriculture Organization of the United Nations「FAO DESERT LOCUST INFORMATION SERvICE (dLiS)」
Text:Hao Kanayama