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美大で彫刻を学びながら、ペン画でいまの時代を描く。情報やモノが少ない時代のクリエーションへの憧憬が原動力【妹尾想太郎・18歳】

美大で彫刻を学びながら、ペン画でいまの時代を描く。情報やモノが少ない時代のクリエーションへの憧憬が原動力【妹尾想太郎・18歳】

気になる10代名鑑」の566人目は、妹尾せのお想太郎さん(18)。武蔵野美術大学で彫刻を学びながら、線画を中心とした作品を多く生み出しています。不器用な時期を経験したからこそ大切なものを学べたと話す妹尾さんに、創作活動に取り組む意義について伺いました。

妹尾想太郎の活動を知る5つの質問

Q1. いま力を入れている活動は?

武蔵野美術大学で、彫刻を学んでいます。小さいときから絵を描くことが好きで、線画の展示も行っています。両親とも造形の仕事をしていて、壁に絵を描いても怒られないような家でした。勉強は苦手で、絵ばかり描いていたこともあって、母が勧めてくれた自由の森学園に進学しました。最近では、ペン画や造形を展示をしているほか、友人と絵本を共同制作をしたり、テレビ番組用の挿絵を描いたりしました。

美大で彫刻を学びたいと思ったきっかけは、通っていた画塾の先生に『想太郎の絵は彫刻向きだよ』と褒めてもらえたのが嬉しかったから。もともと立体物をつくることが好きだったし、体を動かして何かをつくるのが楽しくて。向いていたと思います」

 

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Q2. 創作活動のテーマは?

ものや情報が少ない時代の職人仕事をリスペクトしていて。例えば明治時代に生まれた西欧風の建物のような、ものや手段がないからこそ生まれる丁寧な工夫や、カオティックさを取り入れつつ、情報やものがあふれる現代の面白さを混ぜ込んで、新たなものを造りたいと思っています。

なので、作品をつくるときは、可能な限りデジタルツールを使わずに、手で描くようにしています。いまって、一瞬で複製できてしまうものも多いし、たくさんの便利なものに囲まれいる。それで助かる場面も多いと思うけど、芸術としては面白みがないと感じていて……。手で描くと、1本の線だって、100%同じものはないし、そこに人間の温かみや職人の手仕事のような魂が宿ると信じています。

とはいえ、依頼されて描くときは、自分のめざす方向と違うものをオーダーされるときもあって、葛藤もあります。でもまだ作家として一人前になるまでは、プライドを捨てて何でもやろうと決めました

Q3. 創作活動をするうえで大切にしていることはありますか?

自分に嘘をつかず、正直にいること。自分を疑うこと。なんでも興味を持ってみること。挙げたらキリがありませんが、創作活動中に関わらず、生きるうえで大切にしていることです。

高校生の終わりかけたとき、やっとこういうことを大切にしようと思えたんです。幼稚園から中学校まで、なかなか周囲と溶け込むことができなかったし、テストでズルをしたり、嘘をたくさんついたり(笑)。高校ではそんな自分を変えたくて、無理に明るく振る舞っていたんです。でもそれにも限界がきて、教室で過ごしていた落ち着いた子たちと話すようになりました。そうしたら、みんなすごく大人な考えをもっていて、その子たちと関わる中で、居心地のよい自分のあり方に気付けたんです。まわりと衝突が多かった時間も、いまとなっては大切だったと気付きました」

 

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Q4. 印象的だった出来事を教えてください

ウルトラマンのデザイナーの成田亨さんの影響を受けているのですが、その息子さんと仲良くなって、お家に招いていただいたことがあります。原画を見せていただいたり、成田さんが生前に話していたことを教えてもらいました。

成田さんは戦争を経験していて、モノがなく苦労をされた方で。そんな中で、日本の暗い面を映し出したような怪獣のキャラクターを生み出して、それがいまや海外でも受け入れられている。暗いものを皮肉のように面白がれる世界が平和だと僕は考えているのですが、成田さんと考えや信念が似ていると勝手に感じたんです。社会が暗い時って、明るいものが生まれがちだけど、それって中身のないカラ元気だと思います。だからこそ、避けられがちなネガティブな作品で、見る人の心をつかんでいる成田さんの姿に救われました」

 

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Q5. 将来の展望はありますか?

まだはっきりとした展望はないですが、地道にものづくりをやっていって、徐々にまわりも巻き込んで、平和な世の中になるようなクリエイションをしたいです。地道で丁寧なものが後世に残ると信じて、急がずに継続していきたいです。いろんなものを知るために、好き嫌いせず、さまざまな文化にも触れていきたいです。最近だと尺八を始めましたし、他にもピアノやアフリカ楽器、ケルト楽器などにも挑戦してきました。

自分の作品が、人間の良いところも悪いところも受け入れられるような、想像することを楽しめる世の中になる手助けとなることが目標です」

妹尾想太郎のプロフィール

年齢:18歳
出身地:東京都練馬区
所属:武蔵野美術大学造形学部彫刻学科、hands on moon
趣味:散歩に行くこと、美術館に行くこと、音楽を聴くこと、ライブに行くこと、映画を観ること、神社仏閣に行くこと、御朱印をいただくこと、銭湯・温泉に行くこと、さまざまな楽器に触れること、緑茶・紅茶と一緒にお茶請けを楽しむこと、お線香を炊くこと
特技:相対音感
大切にしている言葉:「諦め」「過ぎたるは猶及ばざるが如し」「勝って兜の緒を締めよ」

妹尾想太郎のSNS

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Photo:Eri Miura
Text:Minori

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Minori

ライター

2000年生まれ、神奈川県出身。明治学院大学社会学部在学中よりインターンとしてライター活動を始める。Steenzでは「気になる10代名鑑」のインタビューと記事執筆を担当。また、大学在学中にモデル活動を開始。広告や映像作品への出演、ライフスタイルの発信に力を入れている。

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