世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は米・フロリダ州で提出された、培養肉を禁止する法案についてご紹介します。
注目を集めるサステナブルな「培養肉」
世界的な人口増加と経済発展を踏まえて、たんぱく質の需要は高まる傾向にあります。それを支えるのは食肉であり、畜産業ですが、この畜産業というのは、環境負荷が高いことがたびたび指摘されています。
そんな中、近年注目が集まるっているのが培養肉。培養肉とは、動物の細胞を培養してつくる肉のことで、家畜を飼育する必要がないため、環境に与える負荷が少ないうえ、技術が進化すれば安定的な供給が可能になります。
培養肉に関する研究は世界中で行われており、2020年にはシンガポールが世界で初めて培養肉の販売を承認したと話題になりました。また現在はアメリカでも培養肉の販売が認められています。
フロリダ州では培養肉禁止の法案が提出される
しかしそんなアメリカで、反発する動きが生まれています。フロリダ州で2023年11月、州内の培養肉の生産や販売を禁止する法案が提出されました。
提出された法案は、同州での培養肉製造・販売を違法とし、違反したものには500ドル〜1,000ドルの罰金などが課せられます。飲食店や販売店が違反した場合、営業許可の取り消しになる可能性もあるそうです。
この背景には、アメリカ国内での食肉と気候変動との乖離について、焦点を当てています。実際、アメリカに住む人の74%の人が「食肉は気候変動に影響を与えない」と考えているとの調査も。また「アメリカ人が肉を食べることをやめても、温室効果ガスは2.6%しか減らない」と主張する研究者もいます。
この法案が通った場合、2024年7月から施行されます。
培養肉の禁止法案を検討する国は他にも…
アメリカ以外でも、培養肉禁止を検討する国はあります。
イタリア政府は、2023年3月に培養肉などの細胞性食品の製造・販売を禁止する法案が、閣議の承認を得たと発表しました。同法案は、イタリアの食文化の保護を目的のひとつとし、違反した場合は最大6万ユーロ(約880万円)の罰金が課されるとのこと。しかし10月には培養肉の禁止法案を一時的に撤回したとの発表もあり、今後の動きは不透明です。
またルーマニアでも、培養肉の国内市場での販売禁止が検討されています。2023年10月時点では上院が法案を可決し、最終決定権を持つ下院での審議に移っています。ただし、培養肉を禁止する法案は、EU法に違反していると指摘する声もあり、まだ先行きは不透明といえそうです。
意見が分かれる培養肉。今度どうなる?
培養肉に加えて、植物性食品で作られた代替肉も徐々に普及してきており、環境負荷の面などから、これからもどんどん進んでいくかように思いますが、一方で反対の声があるのも事実。
わたしたちの日常にも大きな影響をもたらしうるこのお肉問題。今後、各国がどのような展開を見せるのか、注目していきたいですね。
Reference:
reason「Can Vegetarianism Stop Climate Change?」
green queen「Che Sorpresa! Italy U-Turns on Cultivated Meat Ban – For Now」
Romania-Insidere.com「Update: Romanian Senate votes to ban sale of lab-grown synthetic meat」
Text:Tommy