「気になる10代名鑑」の554人目は、冨永陽仁さん(18)。自分の「好き」を大切にしながら、環境問題の啓発と、台湾と日本との交流促進に力を入れています。日本の食糧自給率を100%にするのが目標だと語る冨永さんに、影響を受けた人や今後の展望について、詳しく聞いてみました。
冨永陽仁を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を注いでいる活動は?
「地元・福岡を拠点にして、環境啓発活動と台湾と日本の交流、そのふたつの活動に力を入れています。
環境啓発活動では、実践的な活動をしたいという思いから、『アースデイ福岡』という団体の代表をしています。最近だと、福岡市の植物園を借りて、海洋プラスチックゴミでできたアクセサリーやジビエ料理の販売などを行い、大人も子どもも楽しみながら学べるイベントを企画しました。
台湾と日本の交流活動については、日本の小学4年生から高校3年生までを対象とした、台湾留学ができるようなプログラムをつくっています。いまは、そのためのクラウドファンディングに挑戦しているんです」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「海や山が大好きで、見ていると心があらわれるような気がしているんです。でも、このままどんどん環境汚染が続くと、海がプラスチックまみれで真っ黒くなってしまったり、木々が枯れてはげ山になってしまったり……。そんな姿は見たくないし、きれいなままで残していきたい。それが自分の役割だと思ったんです。
交流活動は、台湾の民主化の父ともいわれる、李登輝元総統の『武士道解題』という本を読んだのがきっかけで、興味をもつようになりました。台湾人の視点から、日本がどれだけ平和を大切にしてきたのか、ひとりひとりの心の持ちようがいかに大事かを力説しているんです。そして実際に台湾に行ったとき、自分が日本人だというと『すごい』とか『ありがとう』と声をかけられて……。台湾は、かつて日本が植民地支配していたのに、こんなに感謝されるんだ……と思って。日本人であることに誇りを持てたし、アイデンティティを確立できたような気がしました。
僕と同じように、台湾に行くことで『日本の現状を変えたい』『日本人と視点で海外を変えたいと思う人』が生まれるんじゃないかと思って。柔軟な思考回路を持っている学生のうちに留学できる機会をつくれたら、と思ったんです」
Q3. 影響を受けた人はいますか?
「地元で自治会長をしている人に、強く影響を受けました。地域の子どもたちのことを第一に考えいる方で、僕自身もすごく成長できました。『これをやりたい!』って言うと、全部実現してくれるし、人望もあるし、目を輝かせながら活動している姿がかっこいい。その方に出会ったおかげで、経営者になりたいと思うようになったんです。
あとは、以前Steenzにも登場していた高校の同級生、金光柊介くんにも影響を受けました。当時、彼が地域でゴミ拾いをしていて。でも、それを自慢せず、人の目を気にせずに継続していたことがすごいと思って。アクションを起こすきっかけをくれたのは、間違いなく彼です」
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Q4. 最近新しくはじめた挑戦はありますか?
「ラテアートの練習をはじめました。12月ごろから、ワーキングホリデーでオーストラリアに行く予定なんですけど、オーストラリアにはカフェ文化が栄えていると聞いたんです。それで、ラテアートができれば、働く先が見つかりやすいかなと思ってはじめました。
あとは、岳笛を少し前からはじめました。興味本位で行ったトークセッションで、岳笛を売っている方と出会って、購入したんです。まだ練習中なんですけど、オーストラリアにも持っていきたいなと思っています」
Q5. 今後の展望は?
「死ぬまでに、日本の食糧自給率を100%にしたいです。もし戦争になった場合、7000万人が餓死する、という内容の論文を読んで、自分の家族や友人も、その中に入ってしまうんだろうなと思って、どうにかしたいなと思ったんです。安全な食糧を提供したいなという思いで、20歳からは農業に挑戦するつもりです。あとは、海と山の保全にも力を入れていきたいです。自然が大好きなので、100年後もいまと同じくらいきれいな海や山を見たいし、僕の子孫にも、きれいな自然を見て、癒されてほしいなと思っています。
僕は『好き』をキーワードに夢や目標を定めているので、今後もその気持ちを大切にしながら、活動していきたいです」
冨永陽仁のプロフィール
年齢:18歳
出身地:福岡県春日市
所属:アースデイ福岡代表、一般社団法人輝心会、くらげれんごうユースリーダー
趣味:書道・イベントめぐり
特技:ご縁を自分だけでなく他の人にも巡らせること・人と心を通わせること
大切にしている言葉:「世の人は我をなんとも言わばいえ、我がなすべきことは我のみぞ知る」(坂本龍馬の言葉)・「人のためではなく自分のため」(ひいおばあちゃんの言葉)
冨永陽仁のSNS
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Photo:Eri Miura
Text:Chikiri Kudo