「気になる10代名鑑」の548人目は、塚越玄さん(19)。洋服を使って、アーティストを世界に発信したいという思いで、高校2年生のときにアパレルブランドを立ち上げました。『たくさんのアーティストを世界に発信できるような場所をつくりたい』と語る塚越さんに、活動を始めたきっかけや今後の展望について、詳しく聞いてみました。
塚越玄を知る5つの質問
Q1. いまいちばん力を注いでいる活動は?
「『VESAGE』というアパレルブランドのオーナーをしています。このブランドは、僕が高校2年生のときに立ちあげたんです。
といっても、僕がデザインをしているわけではなく、デザインは高校時代の友人にすべて任せています。VESAGEは、個性的な形やディテールの服を売っているわけではなくて、プリントTシャツやパーカーが中心なんですが、そこがブランドとしてのこだわりです。12月には、高円寺でTシャツの販売会を行う予定です」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「高校時代の友人の絵がすごく好きで。彼の作品を良さを伝えるために、自分でも何かしたいな、もっというなら、彼をプロデュースしたいなと思ったのがきっかけです。
あるとき彼が、『着なくなった服に絵描いてるんだ』と言って、Tシャツを見せてくれたんです。そのときに、じゃあ服に印刷すればいいじゃん!と思いました。
ECサイトでプリントTシャツを販売しているのですが、サイトだと、どうしても彼の絵が小さく見えてしまうのが残念で……。アートをネットで買うって、あんまりないじゃないですか。同じように、服に落とし込んだとしても、その絵の迫力を体感して購入してもらえたら嬉しいなと思っています」
Q3. 活動をする中で転機となった体験はありますか?
「下北沢の路上販売会に参加したときのことです。サイトで販売をするときは、注文がきたら、その数だけTシャツを制作すれば良いいけど、販売会となると、事前にお金を出してつくらないといけない。デザインをしている友だちも、最初はやる気にあふれていたけれど、だんだんと弱気になって……。
だから『俺が全部お金出すから参加しよう。立ってるだけでいいから』と言って、強行突破で臨みました。
当日は、声をかけた友だちだけじゃなく、通りかかった人も見に来てくれて。それを見た彼の表情が明るくなったのが印象に残っているし、自分の作品に価値があるんだと気づいてくれたようで、僕としても達成感がありました」
Q4. 活動のほかに好きなことはありますか?
「自分でも絵を描いたり、服をリメイクしたり、美術館に行ってインプットしたり……。自分のスタイルを確立していきたいという思いがあるので、クリエイティブなことが好きなんです。
絵は、フィロソフィーというわけではないけれど、自分なりの解説をつけて、作品をSNSに投稿しています。意味を込めた絵だけではなく、描写的な作品とか、幅広くいろいろな絵を描いています。
最近は個人的にデザインの仕事も始めました。これは絵を描くこととは違って、自分の個性を出さずに、お願いされた会社や団体のカラーがしっかり出るように意識しています。どのデザインを見ても、同じ人がデザインしたのだと思われないような、柔軟なデザインをすることを心がけていきたいと思っています」
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Q5. 今後の展望は?
「たくさんのアーティストを発信できるブランドをつくりたいです。洋服を使うことで、もっとアーティストを世界に発信していきたい、という思いが根幹にあって。日本のアーティストは、海外に比べて世に出にくいと思っているんです。アーティストの収入も、海外と比べるとまだまだ低い。その現状をどうにかしたいと思っていて。
『あのブランドをチェックすれば、ユニークなデザインに出会える』とお客さんに思ってもらえて、いつか芸術を学ぶ人やアートに携わっている人がめざすような場所になりたいんです。
そんなプラットフォームをつくっていくために、大学では経営の勉強を頑張りながら、VESAGEでもっと多くのアーティストを巻き込んだ活動をしていきたいです」
塚越玄のプロフィール
年齢:19歳
出身地:東京都江戸川区
所属:国際ファッション専門職大学1年、ブランド(未法人化)VESAGE代表、GhostMole副代表、ZARA六本木ヒルズ店アルバイト、ジュニアリーダー西小松川会場講師
趣味・特技:絵を描くこと、自分で買った服を切ったりしてリメイク
大切にしている言葉:リーダーはいかなる時も勝利の旗印を掲げ続けなければいけない。
塚越玄のSNS
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Photo:Eri Miura
Text:Chikiri Kudo