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「ものづくりでまちづくりを」が活動のテーマ。誰もが作れて・使える建築について学びを進める大学生【滑川寛・19歳】

「ものづくりでまちづくりを」が活動のテーマ。誰もが作れて・使える建築について学びを進める大学生【滑川寛・19歳】

「気になる10代名鑑」の545人目は、滑川寛さん(19)。慶應義塾大学の環境情報学部で、誰もが作れて、使える建築である「セルフビルド建築」について学びを進めています。ものづくりを通して、町の活性化を行っていきたいというビジョンをもつ滑川さんに、建築に興味をもったきっかけや今後の展望について、詳しく聞いてみました。

滑川寛を知る5つの質問

Q1. いまいちばん興味があることは?

『セルフビルド建築』に興味があって、慶應義塾大学の環境情報学部で、建築について学んでいます。

一般的に建築家の仕事というのは、家を建てるという工程では、模型や図面を作成するのが主な役割で、実際に建物を建てるのは大工さんであり、『つくる』という過程には介入できません。僕はもともとものづくりが好きだったので、設計者も使い手も、家を『つくる』ことに参加できないことが残念だと思ったんです。そのため、自分で設計して自分で建築する、セルフビルド建築に興味をもつようになりました。

なかでも、土着建築に特に興味があって。地域の色がにじみでていたり、その地域の人々の知恵があらわれたりしていて、とても面白いんです。現在は、土着建築を記録し、その構造や使われ方の分析をおこなっています」

Q2. そのテーマに興味を持ったきっかけは?

大学1年生の夏休みに、大学の特別研究プロジェクトで、滋賀県の田根地区という地域を訪れました。そこで、地域の小学生や高校生と一緒に、小学校の横に藤棚をつくったんです。幼少期からものづくりが大好きだったのですが、みんなでひとつのものつくり出したことや、実際に人が暮らす町に出て、ものづくりができたことは大きな意味をもちました。その藤棚は、Googleのストリートビューでもしっかり写っていて。それを見たとき、自分たちがつくったものが町に残り続けることって素敵なことだなと思ったんです。

つくるための技術は方法はたくさん生み出されている中で、僕は実際に町に出て、地域の人と一緒にものづくりを進めていきたいと思い、学び始めました

Q3. 大切にしていることはありますか?

『とりあえずやってみる』ことです。

ものづくりにおいては、とても重要なことだと思っていて。アイディア出しやリサーチももちろん大切ですが、つくってみないとわからない、やってみないとわからないことがたくさんあると思うんです。なので、建築を考えるときも、粘土やダンボールでとりあえず形にしてみることにしています。

ものづくり以外でも、興味を持ったことや声をかけてもらったことには、あまり考えすぎず、とりあえず挑戦してみることにしています」

Q4. 最近、新しく挑戦したことはありますか?

今年の夏休み、ひとりで1か月間、インド旅行をしたんです。両親や友人にからはとても心配されたんですけど、高校生のころからインドに興味があって。絶対にお腹を壊すとか、熱を出すとか……いろいろな噂を聞くけれど、それが本当なのかさえ、自分で確かめたくなって。

また、インドの土着建築にも興味があったんです。実際に、木の根っこでできた橋や土で作られた家ををみて、“極限環境”だからこそ生まれる建築、意味がある建築が絶対あると確信しました。インドは広すぎて、たったの1か月では満足に回り切れなかったので、もう一度行きたいし、チャンスがあればインドの建築事務所のインターンに参加してみたいです」

Q5. 今後の展望は?

“ものづくりでまちづくり”を行っていきたいと考えています。

僕自身、ものづくりをずっと行ってきましたが、自分がつくったものには愛着があるし、ずっと使いたいと思っていて。そういう体験を、ひとりでも多くの人に、自分が住んでいる町で実践してほしいと思うんです。住民のみんなで自分たちの町をつくっていけば、自分たちの町をもっと好きになるんじゃないかと思うんです。たとえその町を離れたとしても、いつか戻ってきたとき、自分がつくったものが残っていたら素敵だなって……。

『まちをつくる』というと壮大なことのように感じるけど、まずは家具などの小さなスケールのものから、自分たちでデザインを考えて、つくってみて、実際に使ってみて……。そんな、一連の流れを体験できるワークショップを開催することから始めたいです」

滑川寛のプロフィール

年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:慶應義塾大学環境情報学部2年、小林博人研究会所属
趣味:ものづくり
特技:アイデアを形にすること
大切にしている言葉:フッ軽

Photo:Eri Miura
Text:Chikiri Kudo

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Chikiri Kudo

ライター

2002年生まれ、宮城県出身。上智大学 文学部新聞学科在学。メディアが社会に与える影響について学ぶ傍ら、コラム記事の執筆やフリーペーパーの制作に携わる。Steenzでは、2023年より「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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