2023.11.13 Teen's Snapshots

演劇をベースにアートグループで活動中。世界中の子どもが無料でアートに触れられる世界をめざして【ao・18歳】

「気になる10代名鑑」の534人目は、aoアオさん（18）。6歳のころから12年間、演劇をやってきた経験をもとに、アートグループで活動をしたり、友人の活動のサポートやマネージメントを行ったりしています。芸術に取り組めない子どもたちに支援をすることを目標に活動しているというaoさんに、印象的だった出会いや、今後の展望についてお聞きしました。

aoを知る5つの質問

Q1. 現在行っている活動について教えてください

「演劇をしたり、『Hands on moon』というアートグループで活動をしたりしています。グループでは、メンバーのやっている芸術活動を全員でサポートしているんです。最近はメンバーの作る映画や、バンドのMV制作、ティザー制作を行いました。

もともと母がCMや映画の制作に関わる会社で働いていて、クリエイティブの世界が身近だったこともあって、プロデュースや制作の仕事も積極的に行っています。芸術は、ビジネスになった瞬間、アーティストの発想力だけでは成り立たなくなって、多くの人が関わってひとつの作品が作り上げられることを経験を通して知っているので、制作などのきめ細かな作業も、きちんとやりたいんです」

Q2. 活動のきっかけを教えてください

「演劇は6歳のときに、落ち着きがないわたしのことを心配した母の提案で始めました。演劇は取り組む人がどんどん減っていて、徐々に衰退しているけど、わたしひとりではどうすればいいかわからなくなって……。そのときに、仲間と一緒だったらできることがるかもって思って、幼馴染たちと中学生のときに『Hands on moon』を結成しました。

制作の仕事は、母が働いている会社の人から誘ってもらって、CM制作を見学させてもらったんです。小さいときから演劇をしていたのもあって、現場慣れしているのが面白がってもらえて、いろいろな現場にお手伝いに呼ばれるようになったことがきっかけで始めました。

最近は『線は、僕を描く』という映画の制作に関わって、エンドロールにも名前を載せてもらいました。完成した映画を観て、涙が止まりませんでしたね。朝4時から働いたり、大人のスタッフと同じ働きを期待されたりして、すごく大変だったけど、関わっている人の熱量や情熱は刺激になるし、みんなでつくりあげた作品を目にすると、制作の仕事の面白さを実感します」

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Q3. 自分に影響を与えた出会いを教えてください

「やっぱり『Hands on moon』の6人との出会いだと思います。芸術を志していないメンバーもいるのですが、『金銭的な問題や、住んでいる場所の問題で、芸術に触れあうことができない子どもたちのために、無料で芸術に取り組める施設を世界中につくりたい』という同じ目標を掲げて活動できているのは、すごいことだなと思うんです。

わたしを含め、家族が芸術に取り組むための支援をしてくれたのは、とても恵まれていることだと自覚しているからこそ、芸術をやりたい人がひとりも取り残されないような世界をつくりたいんです」

Q4. 最近、新しく始めた挑戦はありますか？

「自分自身と向き合うことです。わたしはすごくネガティブな性格で、無理に変えることはできないと諦めていたのですが、『周囲も暗い雰囲気にしてしまうほどのネガティブは改めたほうがいいのでは……』と感じたことをきっかけに、ポジティブ思考に挑戦しています。

いまはとてもハッピーに過ごせているのですが、昔はメンタル的にすごく苦しい時期もあったんです。10代のうちに結果を残さなければ、社会に取り残される……と思い込んでしまい、焦っている子が周囲にいて、とても気持ちはわかるのですが、みんなに糸口はあると思うし、焦りすぎずにコツコツと活動を続けていけたら、苦しい時期は乗り越えられるんじゃないかと思っています」

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Q5. 将来の展望について教えてください

「小学校での演劇の義務教育化を実現させたいです。海外では、演劇が小学校の義務教育や医療に取り入れられている地域があって、人間のポテンシャルを引き出すためのものとして活用されているんです。演劇は、どんな人でも使える自己表現の手段になるし、いろいろな意見を調整する練習にもなると思うんです。

また、芸術活動をサポートする会社もつくりたい。芸術の才能がある友だちがたくさんいるんですけど、時間やお金の管理が苦手な子も多くて、その子たちの活動の予算管理や撮影場所の手配をやってあげたり、名刺をつくって大人たちに配ったりもしているんです。芸術の才能があるのに、そうしたマネジメントの部分で損をしている人がたくさんいるので、その人たちをサポートする活動をやりたいです」