「10代のうちにたくさん映画を見て、インプットしておいたほうがいいよ」なんてよく言われるけど、過去作から新作まで、たくさんある作品の中から、どれを選べばいいかわからない……という10代に向けてスタートしたこのシリーズ。
21.2万人のTwitterフォロワーを持ち、「人生を豊かにする映画」を発信している映画アクティビストのDIZさんに、配信で見られる作品について、ひとかじり語ってもらいます。
今回は、魅力たっぷりな主人公……ではなく、主人公を支える“友だち”にフォーカスしてみました。
辛いとき、そばにいてほしい! 魅力たっぷりな友だち特集
映画アクティビストのDIZです。魅力的な映画やドラマの中には、思わず憧れてしまう素敵な関係性の友だちが必ずいます。育った環境も性格も違うけれど、くだらないことで笑い合ったり、夢を応援しあったり、つらいときにはお互いに支え合えたり……。そんな友だちがひとりでもいてくれたら、それだけで幸せな人生だったといえるかもしれない。もしあなたがつらくなったときは、映画の中に友だちを見つけてみて。
シング・ストリート 未来へのうた
いつでもそばにいてほしい親友といえば、最高の青春音楽映画『シング・ストリート 未来へのうた』のエイモンを真っ先に挙げたいです! ひと目惚れした女の子に少しでも近づくために、バンドを組むと言い始める主人公。恋のために頑張る姿をみて、他の男の子たちも夢を見始めます……。
主人公をいちばん近くで支えるのが、エイモンです。夜遅くに唐突に曲づくりをしたいと言われても「いいよ、やろう」と即答してくれるし、中間テストが大事なときや、退学になるかもしれないリスクがあるときですら、「いいよ、やろう」と言ってくれる。
「そんなの無理だよ」なんて決して言わないエイモンのような親友がいてくれたら、自分の可能性がどこまでも広がる気がします。
ウォールフラワー
「友だちがいない」「孤独で死にたくなる」「相談できる人がいない」……そんな悩みを抱えている人にオススメしたいのが『ウォールフラワー』です。
つらい過去を抱えた主人公は、高校入学初日にスクールカースト最下層に位置付けられてしまい、ひとりぼっちでランチを食べる退屈な毎日を、ただやり過ごしていました。ある日、学校で問題児として注目を集めている兄妹・パトリックとサムに出会います。ひときわ明るく、ルールよりも楽しいことを大切にするふたりに誘われて、あっという間に主人公の日々が激変。誰にも縛られないふたりは、主人公が自信をなくしたときも、全力で夢を応援してくれたり、いつでも自己肯定感を高めてくれます。
世間が決めた常識から飛び抜けた価値観をもつ友だちに出会えば、世界は一瞬で変わります。主人公を通して、偏見を持たずに飛び込む勇気の大切さを教えてくれます。
トールキン 旅のはじまり
ファンタジー映画の金字塔『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』の原作者、J・R・R・トールキンの前半生を描いた『トールキン 旅のはじまり』の友情も、尊く美しいです。
突然、孤児になってしまい、上流階級の名門校に通うことになったトールキン。入学した当初はクラスメイトに馬鹿にされていじめられるも、初めて階級を気にせずに歩み寄ってくれる3人の少年たちに出会います。好きなものもめざす道も違うけれど、お互いの才能を認め、高め合う友情を築いていく過程がなんとも美しい。しかし、そんな彼らの固い絆を引き裂く、壮絶な戦争が始まってしまうのです。
昨日まで一緒に笑い合っていた友だちが戦場で死んでいくという、胸が張り裂けそうなトラウマを乗り越えるトールキン。どんなときもお互いに支え合い生きてきた親友たちに捧ぐ敬意を込めて創り上げた物語が『ロード・オブ・ザ・リング』だと知ると、もう涙なしで観ることはできません。
育った環境が違う、階級が違うからといって友だちにならないのは、一生の友だちを作るチャンスを逃してしまうかもしれません。違いがあるからこそ、心からつながれる絆があると教えてくれる、感動の実話です。
ジョジョ・ラビット
どんなに生きるのが困難に思えても、どんなに絶望的な状況に陥ったとしても、希望を見いだせるのが、人間の美しいところ。それを教えてくれた映画が『ジョジョ・ラビット』です。
ホロコーストを題材とした本作。ヒトラーを盲目的に崇拝する男の子が、悪魔だと教えられていた”ユダヤ人”の女の子に出会い、それまでの価値観が崩れていく過程が素晴らしいです。惨い戦争の歴史を10歳の目線で描くことで、こんなにも新鮮で愛にあふれた美しい作品になるなんて……と、初めて観たときは、あまりの傑作さにエンドロールが終わっても座席から立てませんでした。
中でも、主人公・ジョジョの親友ヨーキーが、目を背けたくなるような殺伐とした戦場の中でも、太陽のように主人公を励ましてくれる最高の存在なのです。どんな状況においてもマイペースで居続けてくれる彼には、誰もがいつもそばにいてほしいと癒されるはずです。
ウェンズデー
映画「アダムス・ファミリー』の長女、ウェンズデー・アダムスを主人公にした、Netflixドラマ『ウェンズデー』にも、最高の親友コンビがいます。
とにかくダークでゴシックなウェンズデーは、白黒のファッション、白黒の部屋と……すべてがモノクロでクールな少女だけれど、その親友イーニッドは、ポップなカラーが大好きで、コミュ力が高すぎる陽キャというまったく真逆のタイプ。普段はバチバチに仲の悪いふたりだけど、真逆だからこそお互いの性格を見抜いていて、本当にピンチになったときは、いちばんの理解者になるという激アツ展開に。
絶対にわかり合えなそうな相手でも、本質は似ている部分があったり共感できたりする部分が必ずあるはず。見た目やタイプで判断せず、心で対話をしてみれば、あなたにとっての親友は思いの外、すぐそばにいるかも?
映画の中には最高の親友がいる
そばにいてくれたら絶対に人生が豊かになる、心から大好きな友だちをご紹介しました。どのキャラクターも、とにかく主人公を肯定してくれて、どんなときでも味方でいてくれる存在。本来もっている力を引き出すような言葉をかけてくれる、最高の親友ばかり。
わたし自身、現実世界で孤独を感じたときは、心の中で彼らを思い出して、何度も救ってもらいました。あなたにとってのベスト親友キャラクターがいたら、ぜひ教えてくださいね!
DIZのプロフィール
映画アクティビスト。ひとりでも多くの人に映画の素晴らしさを伝えるために、フリーランスで活動している。体験型の映画イベントを主催したり、配信サービスのSNS企画・編集やコピーライティング、さまざまな作品の評論を寄稿したりと、枠にとらわれずに活動している。
Twitter:@DIZfilms Instagram:@diz2049
Text:DIZ