「10代のうちにたくさん映画を見て、インプットしておいたほうがいいよ」なんてよく言われるけど、過去作から新作まで、たくさんある作品の中から、どれを選べばいいかわからない……という10代に向けてスタートしたこのシリーズ。
21.2万人のTwitterフォロワーを持ち、「人生を豊かにする映画」を発信している映画アクティビストのDIZさんに、配信で見られる作品について、ひとかじり語ってもらいます。
ここ数年のエンターテイメント業界を席巻している国といえば、間違いなく韓国! そこで今回は、韓国発の珠玉の作品の中から、定番の胸キュンな恋愛モノ……ではなく、予測できない結末が待ち受ける衝撃作を厳選してもらいました。興奮のあまり、きっと夜は眠れなくなるはず!
ストーリー展開が痺れる!厳選韓国ドラマ・映画5選
映画アクティビストのDIZです。今回は韓国作品をご紹介しますが、韓国作品は心ときめくラブロマンスだけじゃないんです! まったく先が読めなくて、心をエグる衝撃的な、結末に思わず拍手を送りたくなる……そんなストーリー展開が痺れる作品を、厳選して5つご紹介します。
マスクガール
ひさしぶりに「構成が凄まじい……!」と一気に引き込まれて、1日も経たずに夢中で全話を観てしまった韓国ドラマ『マスクガール』。外見コンプレックスを抱える女性の壮絶な運命に、震えること間違いなしです。
主人公の夢は、芸能人になること。しかし大人になるにつれて、自分の外見に自信が持てなくなっていきます。顔をマスクで隠し、配信でお金を稼ぐ日々の中、ある事件をきっかけに整形することを決意。別人のように美人になって、ようやく人生が好転するかと思いきや、さらなる悲劇的な運命へと転がり堕ちていくのです……。
社会に蔓延するルッキズムにとらわれた主人公の数奇な運命が描かれますが、さまざまな登場人物の視点から真実が語られていく構成が見事です。各俳優たちの怪演にも、グワっと心をつかまれました。
女神の継承
最初に宣言しますが、ホラーが苦手な人は絶対に観ないでください! 絶対に悪夢を見てしまう、タイ・韓国合作の映画『女神の継承』は、ドキュメンタリータッチで描かれていて、臨場感が凄まじい! もともとは有名な韓国映画『哭声/コクソン』の続編として企画がスタートした作品ということもあり、後味の悪いオカルトホラーが好みな人にとっては、見逃せない一作です。
タイの地方にある小さな村に、古くから信じられている巫女がいました。その巫女の一族の血を引きながらも、普通の若者として日常を過ごしていた女性が、ある日、原因不明の体調不良に見舞われ、みるみるうちに精神も崩壊していきます。除霊の儀式を行うと決めた巫女たち。しかし、女性に憑依した悪霊の残虐さはエスカレートしていくのです。
淡々と映し出される恐怖映像がリアルすぎて、実録なのかと錯覚するほど。多くの映画好きを恐怖で震え上がらせた、P.O.V.形式で繰り広げられる韓国映画『コンジアム』よりも、さらに怖い作品が爆誕してしまったようです!
記憶の夜
韓国映画初のアカデミー作品賞の受賞という快挙を成し遂げた『パラサイト』が好きな人にオススメなのが、Netflix映画の『記憶の夜』。『パラサイト』とは違った視点で描かれる社会の負の連鎖、先の読めない展開に、何度も心が打ちのめされました。
優しくて完璧で大好きな兄がある夜、誘拐されてしまいます。19日後に戻ってきた兄は記憶喪失になっており、知っている兄とは別人のように変わり果てていたのです。いったい兄に何があったのか。その真実を探るサスペンスミステリーです。
あらすじからは予想もつかないほどに容赦ない胸糞な物語なので、元気なときに鑑賞することをおすすめします。
ザ・コール
これまで幾度となく使い古された時空を超えるSF設定を進化させた、とんでもない発想と脚本に、最後まで目が離せなかったNetflix映画『ザ・コール』。 グロ描写はありませんが、想像できる痛みが心を容赦なくズタズタにえぐるサイコサスペンスです。
引っ越したばかりの家の電話が突然鳴り、出てみると、相手は知らない女の子……。話を聞いてみると、彼女は20年前の時空からこの家に電話をかけていたのです。彼女が明日殺されるというニュースを目にした主人公は、彼女の命を救うために時空を越え、過去を変えようとします。しかし、それは悪夢のような事件の始まりに過ぎなかった。
連続する地獄のような展開に、この脚本を思いついた人は悪魔なのかも……?と、思わず疑ってしまうほどです(笑)。
スウィング・キッズ
私の2020年ベスト映画としてずっと心に残り続けている作品が「スウィング・キッズ」です。心が元気になるような、前半のエネルギッシュな雰囲気からは、あまりにも予想ができないラストに、嗚咽がもれるほど泣きました。しばらくその衝撃的すぎる結末が受け入れられず、何日か引きずってしまった映画です。
朝鮮戦争下の1951年を舞台に、収容所ではイメージアップのために戦争捕虜のダンスチームが結成されることに。国籍も言葉も違う5人の捕虜たちが、絶望の戦時下で、ダンスを通して、戦争による痛みや人種差別、イデオロギーを越え、心をひとつにしていって……。
いまこの瞬間にも世界では戦争が起きていて、決して他人事ではないからこそ、すべての人に知ってほしい物語です。戦争に対して、暴力ではなくダンスで立ち向かう彼らの姿は、きっとあなたの胸にも残り続けると思います。
さまざまなジャンルの作品をご紹介しましたが、どの作品も、わたしたちが直面している深刻な問題に真摯に向き合う姿勢が見受けられます。韓国の作品はただのエンターテイメントと割り切れない物語が多く、心の深くまで刺さる作品ばかりです。あなたが忘れられない一作に出会えたなら、嬉しいです。
DIZのプロフィール
映画アクティビスト。ひとりでも多くの人に映画の素晴らしさを伝えるために、フリーランスで活動している。体験型の映画イベントを主催したり、配信サービスのSNS企画・編集やコピーライティング、さまざまな作品の評論を寄稿したりと、枠にとらわれずに活動している。
Twitter:@DIZfilms Instagram:@diz2049
Text:DIZ