世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、ドバイで開催されるCOP28でのヴィーガン料理が提供されることが決定したというニュースについてご紹介します。
今年開催のCOP28でヴィーガン料理の提供が決定
2023年11月30日から12月12日まで、アラブ首長国連邦・ドバイで、気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP28)が開催されます。
COPには、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に賛同した世界各国の首脳や閣僚などが参加し、地球温暖化に対する課題の解決に向け話し合いなどが行われます。1995年にCOP1がドイツ・ベルリンで開催されて以来、ほぼ毎年開催されています。日本からは、環境大臣が毎年出席しており、2021年のCOP26には総理大臣も出席しました。
そして今年のCOP28では、「ヴィーガン料理」を提供されることが発表されました。この決定に対し、ヴィーガン団体からは歓迎の声が上がっています。
2022年に行われた、エジプト、シャルム・エル・シェイクでのCOP27では、肉や魚を使った料理が、ふんだんに提供されました。100ドルの肉料理、50ドルのシーフード盛り合わせ、40ドルのサーモン料理……そのどれもが持続的でない畜産や漁業、養殖によるものであることや、サーモンが何千マイルも離れた場所から空輸されたことなどを受け、「地球温暖化について議論するCOPにはふさわしくない」と、ヴィーガン団体からは非難の声があがっていました。
気候変動問題への解決に、ヴィーガン料理は役に立つ?
食に関する温室効果ガス排出量では、畜産が最も大きな割合を占めています。農研機構の発表によると、農業分野の温室効果ガス排出量のうち、家畜の消化器官内発酵によるものが約40%、家畜排せつ物の管理が6.5%で、全体の3分の1以上が畜産に関するものでした。
また畜産は、気候変動だけでなく、水質汚染や森林破壊にもつながっているとされています。農林水産省の調査によると、畜産から出る排せつ物は年間8,000万トン。適切に管理されれば、農地の堆肥として使用することなどができます。しかし処理できないほどの量になってしまったり、管理が適切でなかったりすることで放置され、環境汚染につながっている場合もあります。
一方、ヴィーガンが食べる野菜や果物などは、畜産に比べて温室効果ガス排出量は少ないです。イギリス・オックスフォード大学の研究によると、世界の主要地域すべてでヴィーガン食が広まった場合、温室効果ガスの排出量は2050年までに70%削減できるそう。また、必要な水などの資源も少なく、環境への負担は少なくなるとされています。
気候変動への対策を考えるCOP28でのヴィーガン料理の提供の決定は、このように畜産が環境に与える影響に注目を集めるきっかけになるでしょう。
世界で増え続けるヴィーガン人口。日本でも増加中
世界では年々、ヴィーガンを選ぶ人が増えています。それは日本でも同じです。ヴィーガンメディア「Vegewel」が2023年1月に行った調査によると、ヴィーガンを選択している人は2.4%、ベジタリアンは4.5%でした。2021年の調査からはヴィーガンが0.5%増えており、全4回の調査では増加傾向にあります。
完全なヴィーガンとまでではなくとも、動物性食品を意識的に減らしている人も増えています。
COP28の今回の取り組みなどをきっかけに、ヴィーガンへの認識が広まっていくかもしれません。開催中、どんな料理が提供されるのかも、気になるところですね。
Reference:
Plant Based News「COP28 ‘Will Serve Mostly Vegan Food’ Following Backlash」
Challenge Zero「ゼロエミッション農業の実現に向けて:農業生産性向上と両立する温室効果ガス排出削減技術の開発と普及拡大」
Oxford Martin School「Plant-based diets could save millions of lives and dramatically cut greenhouse gas emissions」
Text:Tommy