Teen's Snapshots

一瞬ゾッとする日本画を。生死をニュートラルに捉えた作風で描く藝大生【サカモトコユキ・19歳】

一瞬ゾッとする日本画を。生死をニュートラルに捉えた作風で描く藝大生【サカモトコユキ・19歳】

気になる10代名鑑」の467人目は、サカモトコユキ(19)さん。東京藝術大学で日本画を専攻し、赤を多用した作品を展開しています。生死をニュートラルに捉えた死生観が、作風にも表れていると語るサカモトさんに、赤を選ぶ理由や、影響を受けたアーティストについて、聞いてみました。

サカモトコユキを知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。

東京藝術大学で日本画を専攻しています。人が見たときに、一瞬ゾッとしてしまうような世界観が、わたしの絵の特徴かなと思っています。

というのも、小さいころから、理科の人体図を見るのが好きだったくらい、グロテスクなものに惹かれるんです。人間の皮膚の下を流れている血と同じ色であり、根源的な情熱を沸き立たせてくれる赤は、ついつい自分の作品で使ってしまう色です。

あとは、ヴィヴィアン・ウエストウッドが好きで、私服でも赤のチェックばかり着てしまいます。昔のアナーキーカルチャーのエネルギッシュな感じと、わたしが惹かれる生命の色としての赤って、すごく通ずるものを感じています」

Q2. 創作活動へのこだわりは?

ひと言でいうと、生と死、どちらも感じられる絵を描くことです。例えば、人間や生き物の一生って、宇宙の長い歴史の流れの中に乗っかっているだけだっていう考えが自分の中にあって。死をポジティブに考えているわけではないんですけど、存在するものが終着点に行き着くだけなんじゃないかなって。

だから、わたしがグロテスクなモチーフを好むのは、それがマイナスな死を連想するんじゃなくて、同時に、生のイメージも湧き起こってくるから。生と死をニュートラルに捉えているところは、作品にも現れているんじゃないかなって思います」

Q3. 美術の道に進んだきっかけありますか?

「もともとずっと絵が好きだったので、高校も美術系に進もうと思ってたんですが、親を説得できなくて、普通科に通うことになって……。でも美大を受験したいと決めていたので、高1から予備校に通い始めました。日本画に出会ったのは、先輩の塾生の展示。そこで初めて、日本画のよさに気づいたんです。うまく言葉には表せないけど、直感的にビビっときた感じでしたね。

個人的に、ずっとグロテスクな絵ばかりを描いてきたんですが、心のどこかで、あまり人に見せてはいけない絵だっていう感覚があったんです。でも、予備校に入ってからは、『こんなにも世界には自分を表現できている人たちがいるんだ』っていうことに気づいて。普通科の高校もそれはそれで楽しかったし、多方面で打ち込んでいる子に刺激をもらっていたけど、美術の世界に入って、さらに自分の視野が広がりました」

Q4. 影響を受けたアーティストはいますか?

甲斐庄楠音かいのしょうただおとという、大正時代の日本画家です。ちょうど、日本画を専攻に決めた高校生のときに出会って、すごく衝撃を受けました。

わたしはグロテスクなモチーフを直接的に用いて描くことも多いのですが、この方の作品は、女体の生々しさを小細工なしに表現していて。彼のように、わかりやすいモチーフを使わなくても生死を感じさせる作品を描けたらなってずっと思っているくらい、目標にしているアーティストでもあります」

Q5. 今後の展望を教えてください。

地元が愛知なんですが、名古屋で予備校時代の友人たちと個展を開きたいという話をしています。もっと先のことで言えば、大好きな小川洋子さんの本の表紙を描くことが目標です。現実と空想の間のような世界観と、彼女の作品に一貫する主観的でない死生観に共感して、ずっと読み続けている作家さんなんです。

好きと好きがつながるまで、絵を描くことはきっとやめられないはず。60年後も、こういうことを言っていられるといいなと思います」

サカモトコユキのプロフィール

年齢:19歳
出身地:愛知県西尾市
所属:東京藝術大学 美術学部 絵画学科 日本画専攻
趣味:赤色の物の蒐集、読書、レタリング
特技:どこでも寝る、速読
大切にしている言葉:客観力

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Photo:Eri Miura
Text:Atsuko Arahata

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