世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカで問題視されている「セックスツーリズム」について、ご紹介します。
アフリカで見かける歳の差カップル
アフリカのビーチやバーに行くと、欧州などからやってきた年配者とアフリカ人の若者の組み合わせをよく見かけます。それは、休暇中のロマンスや快楽を望む年配者と、外国に行く機会を望む若者の間で成り立っているビジネス的なカップリングであり、売買春の関係にあるケースも多いです。
特に10代後半から20代のアフリカの少年少女たちは、たとえ違法な売春行為を伴ったとしても、それをきっかけに海外に出ることで貧困から脱出しようとするのです。
ビザ取得のサクセスストーリーを夢みて
アフリカの多くの国では、人口増加に雇用数が追いついておらず、失業率の高さが問題視されています。国際労働機関(ILO)によると、2023年現在、就労も就学もしていない若者が全体の約5分の1を占め、女性では特に全体の27%に値します。また大学を卒業していても就労できない若者も多くいるのが現状です。
そうした高い失業率を背景に、上述したような「セックスツーリズム」が台頭しているのです。アフリカの都市部では、欧州からやってきた年配者とアフリカ人の若者であふれるバーも存在するそう。そこには、海外で安定した収入を得ることを求め、長期的な関係性を築こうとする少年少女も多く存在します。もちろん、そこでの出会いをきっかけに結婚まで至り、ビザの取得まで結びつくこともあります。
しかし結婚してビザを取得した数日後に行方をくらましたり、遺産目的での結婚ということで、事件や警察沙汰になるケースも報告されています。しかし、そうまでしても、10代後半から20代のアフリカの少年少女たちは、たとえ違法な売春を伴っていたとしても、「セックスツーリズム」に懸けて、現状から脱却する夢を見ているのです。
格差を利用したセックスツーリズム
売春は違法というだけでなく、衛生環境や避妊への認識の低さから、HIVへの感染リスクも伴います。国連開発計画(UNDP)によると、世界には約3320万人のHIV陽性者がおり、そのうちの約68%が、サハラ以南のアフリカに集中しています。さらに、国際連合エイズ合同計画(UNAIDS)によると、セックスワーカーがHIV に感染するリスクは、通常より30倍高いとされているのです。
アフリカの植民地時代は終わりましたが、実際には「性の植民地化」しているのではないかという声があります。経済的な格差を利用した「セックスツーリズム」によって、性が搾取されているという見方がある一方で、たとえリスクを冒してでも、手段を問わずに貧困から抜け出したいという若者が多くいるのも現状です。あなたはこれについて、どう思いますか?
Text:Hao Kanayama