世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカ先住民族の現状について、ご紹介します。
多様なアフリカの生活様式
アフリカには約3,000の部族、2,000の言語と方言が存在します。そのため、地域によって、環境や気候に適応したさまざまな生活様式が存在します。
代表的な部族としては、中央アフリカには、木の上で狩猟採集をして暮らすピグミー族がいますし、東アフリカには、牛やヤギを放牧するマサイ族が、また北アフリカには、遊牧するアマジグ族(ベルベル人)など、その暮らし方も非常に幅広いことがわかります。
しかし、アフリカおいても、近代化の波から距離をおく先住民族は、経済的にも文化的にも、疎外される傾向にあるのが実際のところ。彼らの文化は脅威にさらされており、場合によっては、その文化が途絶えてしまう可能性もあります。
そこで今回は経済や教育といった観点から、なぜ先住民族が減少傾向にあるのかについて、説明します。
観光化で利益を得る政府と失う先住民族
アフリカの「サファリ」は、動物や自然を楽しめる機会として、観光客を魅了する国の大事な収入源となっています。これは元々、植民地時代に設立された動物や植物を保護する目的の保護区です。
現在、そうした「保護区を守る」という名目で、もともとその土地に住んでいた先住民族が、政府から立ち退きを強要されたり、狩猟や採集を禁止されたりしています。
例えば、ボツワナで植民地支配を行なっていたイギリス政府は、1956年に世界最大級の巨大な保護区を創設し、そこに居住していた、狩猟採集民族のサン族を立ち退きさせました。4万年前からこの地域に居住していたサン族でしたが、現在、絶滅の危機にも侵されているほど減少しています。サン族は2002年、立ち退きとその際に伴った暴行や水源の破壊に関して、集団訴訟を起こしました。
他にも、ケニアやタンザニア、南アフリカなどでも、多くの先住民族が保護区設立のために土地を奪われてきました。しかし、そうした迫害を受けても、観光業による収入は、先住民族の利益にはならないのです。
教育によって失われるアイデンティティ
また、アフリカ各国政府による開発計画によって、都市から離れた地域の子どもも教育へアクセスできるようになってきました。そうした流れの中で、先住民族の子どもでも、学校に通える環境が生まれつつあります。
教育によって、多くの恩恵がもたらされる一方、先住民族独自の慣習が失われ、アイデンティティの喪失につながっているという現実もあります。
特に、大きな問題として注目されているのは言語。カリキュラムで先住民族や少数民族が考慮されることは少なく、公用語を使用する効率性から、先住民族の言葉を禁止する場合もあります。
公用語が話せるようになることで、自給自足の生活を離れ、都市部での生活を選ぶ人が増えるのは自然な流れ。結果的に、先住民族の人口が減少する傾向にあります。
先住民族の権利は守られるか
アフリカでは、植民地時代から現在に至るまで、マジョリティ(宗主国や政府など)の意思決定や利益活動の影響が大きくなり、マイノリティである先住民族は、つねに支配と搾取にさらされる傾向にあります。それは歴史の中でも繰り返されてきました。
しかし、そんな先住民族たちは、長い歴史を経て、その地域や自然、環境に適した生活様式を理解しています。だからこそ、その地で生き残っているのです。彼らの生活様式が存続するかは、伝統的な土地と、そこにある天然資源へのアクセスや権利にかかっています。
Refarence:
‘Indigenous’ people fight for inclusion