世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は2013年4月24日に起きたラナ・プラザ崩落事故を振り返りつつ、そこから始まった新しいファッションの在り方について、ご紹介します。
全世界に衝撃を与えたファッション史上最悪の事故「ラナ・プラザ崩落事故」
今から10年前の2013年4月24日に起きた、ラナ・プラザ崩落事故。バングラデシュの首都・ダッカから約20kmにある街・シャバールで、8階建ての商業ビル「ラナ・プラザ」が崩壊し、死者1,134人、負傷者2,500人以上を出した大惨事です。
ラナ・プラザには、世界的アパレルブランドの下請けである5つの裁縫工場が入っていました。崩壊の原因は、ずさんな安全管理だと言われています。事件前からビルに亀裂が入っていることが判明していたにもかかわらず、ビルのオーナーは警告を無視して操業していました。そして事故発生日の朝9時、大型の発電機と数千台のミシンの振動をきっかけに、ビルは轟音を立てながら崩壊したのでした。
調査が進むにつれ、崩壊したビルで働く人たちが、低賃金かつ劣悪な労働条件で働いていたことが発覚。ファッションブランド側は労働環境について知らなかったと回答したこともあり、ファッション業界の問題が浮き彫りとなったのです。
10年たった今だから。10年後のファッションスタイルを提案
その大惨事から10年が経ったいまでも、ファストファッションの代替案は生まれておらず、労働問題など改善すべき点は、数多く残されています。そんなファッション業界に対して、少しずつですが、アクションも生まれています。Enter the E株式会社が発表した「TEN」プロジェクトもそのひとつ。
「TENプロジェクト」とは、”10年着ることがかっこいい”という概念をつくるため、10年使える耐久性、毎日着たくなる着心地、そして骨格に合わせたデザインが特徴で、商品ラインナップはフーディー、スウェットシャツ、Tシャツ、ロングスリーブTシャツの4種類です。
また、商品のリサイクルにも積極的に取り組んでおり、着古されたTENのアイテムは回収後、リサイクルコットンに再生して、新たなアイテムへと生まれ変わります。さらに、リサイクルをしやすくするために、「脱混紡素材」の使用にこだわり、素材の分別などがしやすく、よりよい資源循環が実現させています。
また原料調達や裁縫は、バングラディシュの「BLJアパレル」が実施。労働環境や労働者の人権が守られており、シングルマザーや裁縫未経験者も積極的に採用しているそうです。
未来の明るいファッション業界のために
ラナ・プラザ崩落事故の報道や、ファストファッションに焦点を当てたドキュメンタリー映画などの影響で、少しずつファッション業界の課題は周知されています。しかし、ファッション業界にはさまざまな企業や人、そして国などが関わっており、すべての問題が簡単に解決できるわけではありません。
そして、わたしたち消費者の意識もファッション業界を変えていくためには重要です。
プチプラで素敵なアイテムを見つけたとき、飛びつきたくなる気持ちを抑えて、「この服は誰が、どんな環境でつくっているのだろう」「環境への負荷はどのくらいあるのかな」と、少し考えてみませんか? 少しの意識の変化が、ファッションを守る行動につながっていくのです。
Text:Tommy