2023.06.05 Teen's Snapshots

ヒップホップは悪いことを自慢する音楽じゃない。ありのままの思いをリリックに込める大学生ラッパー【Aero S・18歳】

「気になる10代名鑑」の405人目は、Aero Sエアロエスさん（18）。小学6年生のときにヒップホップと出会い、現在はラッパーとして、ライブ出演をするなど、音楽活動をしています。ヒップホップへの世間の認識を変えたいと意気込むAero Sさんに、活動を始めたきっかけや今後の目標について聞いてみました。

Aero Sを知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。

「大学に通いながら、個人で楽曲制作をしたり、ラッパーとしてライブに出演したりしています。今年からはSNSで知り合った同い年4人で『LeadGravity』というクルーを結成し、クルーとしての活動にも力を入れています。『LeadGravity』という名前の由来は、単語の意味そのままなんですけど、重力や引力のように、俺らがシーンを引っ張ってこうという意味を込めています。

そこではリーダー的な立ち位置を担っていて、どうしたらもっと自分たちの曲をいろんな人に聞いてもらえるかを考えながら、音楽と向き合っています。今年中にはイベントや楽曲配信を始める予定です」

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Q2. 活動を始めたきっかけは？

「ラップを始めたのは小学校6年生のとき。当時、まわりでラップバトルが流行っていて、その流れに乗るかたちで、ラップをするようになりました。特に影響を受けたのは『フリースタイルダンジョン』。フリースタイル（即興）のラップバトルで、チャレンジャーが強豪なラッパーと戦い、賞金獲得を目指す番組なんですけど、友だちみんなとその番組の真似をして、校庭でラップバトルをしていましたね。

楽曲制作は、ラップをする延長で始めました。最初はとにかくいろんな曲を聴いたり、YouTubeからビートを拾ったりして、見よう見まねでつくっていました」

Q3. 活動するうえで大切にしていることを教えてください。

「こだわっているのは、詞です。自分自身が本当に感じていることや考えていることをリリックに込めています。また、音やメロディーとしての歌詞と言葉としての歌詞、どちらも重視していて、メロディーとしてもリリックとしても、聴き心地のいい音楽をめざしています。

曲はつくりたいときにつくるのがスタンスで。だって、義務感でつくっても、いい曲は生まれないと思うから。去年は1年間で80曲ぐらいつくりました。最近、ひとり暮らしを始めたのですが、どうしても音量とかを気にしなくちゃいけなくて、思うように録れなかったりするので、もどかしいです」

Q4. 活動を続けている中で、印象的だった「出会い」「体験」などはありますか？

「たくさんあります。ヒップホップっていっても、その中にさまざまなコミュニティがあるんですけど、僕は積極的にいろんなイベントに足を運んで、そのコミュニティにいる人たちとつながるようにしているので、本当に多種多様な方と出会ってきました。

特にサイファーっていう、複数人で輪になって即興でラップする場所に行くと、いろんな人と知り合えるんです。年齢層も幅広いので、そこでの出会いは刺激的ですね。高校生のとき、学校に行けなくなってしまったことがあったんですけど、当時サイファーで出会ったラップの友達がいたからこそ、なんとか乗り越えることができたし、そのおかげでいまの自分があると思っています」

最近のライブ達です！！無名だけどどんな所でもぶちあげにいきます！💪🏻逆にゆったりした曲も持ってるのでどんなイベントにも合ったライブが出来ると思います！🫡いつでもbooking大歓迎なので、ぜひDMにご連絡よろしくお願いします！もっとライブしたいーー！💙 pic.twitter.com/CU0To3tBcM

— Aero S (@AeroS_lg) April 13, 2023

Q5. 活動を通して実現させたい社会のビジョンについて教えてください。

「ヒップホップへの偏見や世間の認識を変えたい。SNSなどの影響もあって、ヒップホップが身近なものになりつつありますが、それでもまだ偏見や理解されない部分が多いと思っていて。不良のイメージとかも拭いきれていないと思うんです。確かにそういう面もあるし、間違っていることではないけど、それがすべてではないので。

よくヒップホップ界隈のアーティストが取り上げられるとき、家庭環境があんまり良くなかったとか、犯罪に近い環境で育ってきたとか、そういう話がフィーチャーされるけど、そうじゃない人も多くて。僕自身、家庭環境も複雑ではないけど、ヒップホップが好きだし、救われてきました。

悩みって、誰にでもあるし、どんな環境で育っても、存在するものだと思うんです。そういう悩みやありのままの思いをリリックに込めてストレートに表現できるのが、ヒップホップのかっこいいところ。悪いことを自慢する音楽ではないと思うので、そんな僕らが思うヒップホップの魅力を、自分たちの音楽を通して世の中に届けていきたいです」