2023.05.17 Teen's Snapshots

周囲の反対を押し切って仲間と起業。地元・秋田から世界へクリエイティブを発信する【寿樹・18歳】

「気になる10代名鑑」の389人目は、寿樹としきさん（18）。生まれ育った秋田県湯沢市でクリエイティブ制作を手掛ける会社を立ち上げ、地元企業の商品パッケージやWEBサイトの制作に携わっています。中学生のときにはすでに起業していたという寿樹さんが大切にしていることや社会への思いについて聞いてみました。

寿樹を知る5つの質問

Q1. プロフォールを教えてください。

「地元・秋田県湯沢市で、デザインや動画制作などを手掛ける株式会社FIELDFACTを立ち上げて活動しています。会社は、同郷のデザイナーと3人で、2021年につくりました。僕は主にクリエイティブを担当していて、地元の企業や農家のWEBデザイン、ロゴやパッケージのデザインなどをしています。

秋田という都市から離れたローカルな地域から、日本中や世界に向けて誇れるコンテンツやアピールできる仕事をどうやったら生み出せるかを考えながら、日々活動に励んでいます」

Q2. 活動を始めたきっかけは？

「小学4年生のときから、YouTubeに動画を投稿していたんです。HIKAKINさんの動画が好きで、真似したくて。中学校2年生ぐらいまで続けていたんですけど、イベント運営をする地元の団体から動画のお仕事をもらえるようになりました。動画編集は独学ですが、本格的にツールを触れるようになったのは『Life Is Tech！』のキャンプに参加したことがきっかけです。

すごく飽き性で、部活とかを続けられないタイプの僕が、唯一続けられているのが動画編集で。それで中学3年生のときには、YouTubeの動画制作で培った技術を活かして、メディア事業で起業しました。当時は学校の先生にめちゃくちゃ反対されました。

その後、高校は事業と両立ができるように、全日制には進まず、通信制の第一学院高等学校を選びました。2年ぐらい前に地元の先輩に誘われて、現在の会社を立ち上げることになり、いまに至ります」

Q3. 活動するうえで、大切にしていることを教えてください。

「とりあえずやってみること。自分がこれまでやってきたことを振り返ってみると、起業するときもそうでしたが、とにかくまずはやってみる。そうすれば、意外となんとかなってきました。もちろんそこにはまわりのサポートがあってこそ、ですが。

また、必ずしも多数派だから合っているというわけではないという考え方も大切にしています。これは、自分が通信制の高校に進むと決めたときに感じました。まわりの大人たちからは普通の高校に行ったほうがいい、と言われていたんですが、そのときは学校に行くよりも事業にコミットしたかったので。

当時もいまも、自分で決めた道に後悔はしていません。強いていうなら、ドラマや映画にあるような制服を着て、ザ・青春みたいなことは経験しておきたかったですかね（笑）」

Q4. 社会について、こうあってほしいと思うことがあれば、教えてください。

「年齢や仕事、属性を気にせず、仕事ができる環境が広まってほしいです。10代だから、という理由がすべてではないと思いますが、やはり年齢を理由に仕事を取れなかったり、なかなか信用してもらえなかったり、ビジネスをやるうえでは不利なことが多々ありました。一方、10代だからこそ興味を持ってくれる大人がいるのも事実です。

最終的には本人次第だと思いますが、年齢や性別で仕事を隔てたりする時代でもないと思うので、そこはもっとフラットな社会になってほしいと思っています」

Q5. 最近、新しく始めた挑戦はありますか？

「以前、祖母がお店をやっていたスペースを使って、ギャラリーをつくっています。人を雇ってリノベーションするお金はないので、友達の力を借りながらつくっている真っ最中です。日常的にアートに触れられたり、表現できる場所があるのって、いいじゃないですか。美術館とか地元には全然ないので、そういう場所を増やしたいなと前々から思っていたんです。

どれぐらい時間がかかるかわからないけど、いつかギャラリーができたときには、僕の作品を展示したり、誰かの作品を展示できるような空間にしたいと思っています。そこから世界に向けて面白いものを発信できたら、最高ですね」