「気になる10代名鑑」の386人目は、横川晃太郎さん(19)。慶應義塾大学で学びつつ、研究と表現を軸に、芸術や音楽の分野で活動しています。表現や制作を通じて、新しい社会の土台を築きたいと語る横川さんに、活動を始めたきっかけや個性的な創作スタイルだからこそ抱える悩みについて、インタビューしてみました。
横川晃太郎を知る5つの質問
Q1. どんな活動をされていますか?
「研究と表現のふたつを軸に、芸術・音楽分野で活動をしています。研究としては、音楽神経科学者の先生の元で、音楽を研究しながら、独学で文化人類学や民族学を学んでいます。表現としては、音楽・映像・写真の創作活動に加えて、電子楽器や乗り物などの制作を行っています。
研究者としても、表現者としても、ヒトの内に宿る意識を明らかにしながら、物事の本質を追求することにこだわりを持っているんです。文化を超えた人間の根源的な意識に基づく表現や制作を通じて、新しい社会の土台を築くことが目標です」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「特にこれといったきっかけはありません。でも、思い返してみると、小さいときからモノの働きに対する興味が強かったですね。化石を収集したり、電気モーターを改造したりするのが好きな子どもでした。幼少期の遊びの延長で、いまの活動が形づくられていったのだと思います。興味の向くまま学んで、創っていたら、いまに至ったという感じです」
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Q3. どんなことをテーマに、創作活動をされていますか?
「つねに自分自身に導かれるように活動をしているので、テーマと言えるものはもっていません。いろいろな要素を掛け合わせて新しいモノを作り出すのが、自分の創作スタイル。例えば音楽だと、ブルースの音の捉え方に、民族音楽のコミュニケーション性を掛け合わせて、いいとこどりの音楽を誕生させたりしています。
こういった創作スタイルは、ヒップホップミュージックが好きなことが影響しているんです。元を辿ればヒップホップは、ファンクミュージックのかっこいいところだけをつなぎ合わせて生まれたジャンルだと言われていて。このヒップホップ誕生の背景にある『つまみ食い』精神を、僕も大切に創作しているんです」
Q4. 創作をする中で悩みはありますか?
「さまざまな文化を掛け合わせる創作スタイルだからこそ、『自分がどこから来たのか』という根源的な問いを抱いています。
民族音楽が好きで創作に取り入れていても、それは自分のルーツじゃないし、たとえ上手に演奏することができたとしても、それを本当の意味で自分のものにすることは絶対にできない。じゃあ自分の文化ってなんだろうと考えたときに、持っていないと感じるんです。音楽だけでなく、服装や振る舞いなど、あらゆることにおいて、自分のルーツのなさに虚しさを感じることもあります。
とはいえ、これは解決するべき悩みではなくて、原動力ともなりうる前向きな悩みなんです」
Q5. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「以前からサンプリングした音楽でトラックをつくったり、ジャムセッションをしたりしていましたが、最近、本格的な音源リリースに向けて、レコーディングを始めました。サンプリングやラップ、ギターのフィードバックノイズなど、独自の手法を用いながら、ブルースを応用した機能的な音づくりを基礎とする音楽をつくっています。
自分の名前で音楽をつくるのが初めてなので、学問での気づきを表現の場にしっかり昇華することを目標に、いい作品に仕上げたいです」
横川晃太郎のプロフィール
年齢:19歳所属:慶應義塾大学SFC、X-Music Lab、4beat club
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Photo:Eri MiuraText:Mai Sugawara