世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、大手ビール会社・サッポロビールが手がける、ビールの副産物から新たな商品を生み出すアップサイクルプロジェクトについてご紹介します。
ビールの副産物をアップサイクルしてつくったものとは?
10代にはまだ直接的な結びつきはないものの、大きなマーケットであるビール業界。そんなビールを取り巻く環境において、ひとつの大きな問題として、副産物の問題があります。
ビールをつくるときには、排出物の8割を占めるといわれている麦芽の殻(モルトフィード)をはじめとして、余剰酵母や、ホップの収穫時に破棄される茎や葉など、さまざまな副産物が生まれます。
こうした副産物を再利用する取り組みはさまざまありますが、サッポロビールが今回つくったのは、アパレル。2022年の12月から「黒ラベル Malt & Hops Series Yellow Stitch JEANS」 、2023年3月から「黒ラベル Malt & Hops Series BLACK DENIM MA-1」が販売されました。
どちらのアイテムも黒ラベルらしいブラックカラー。シンプルなデザインなので、普段使いにもバッチリ。サッポロビールのオンラインストアで購入可能です。
ビールの副産物のアップサイクルとは?
「黒ラベル Malt & Hops Series Yellow Stitch JEANS」 と「黒ラベル Malt & Hops Series BLACK DENIM MA-1」に用いられているのは、ビールの醸造工程で出る麦汁を搾ったときに出るモルトフィードや、ホップの収穫時に破棄される茎や葉などです。
乾燥させてパウダー状にしたモルトフィード、茎や葉をマニラ麻と混ぜて和紙をつくり、その和紙を糸に加工します。その和紙糸を横糸に、インディゴに染めた糸を縦系にして織り込むことで、デニム生地が完成します。
このビールの副産物のアップサイクルに使われる技術は、沖縄県浦添市の「SHIMA DENIM WORKS」のもの。沖縄で多くつくられるサトウキビの搾りかすのアップサイクルに取り組んでいる会社で、サトウキビから作られたジーンズなどを販売しています。
醸造所の廃棄物をアップサイクルする取り組みは他にも
ビールの副産物のアップサイクルに取り組んでいるのは、サッポロビールだけではありません。
例えば株式会社kitafuku(キタフク)では、クラフトビールの醸造過程で出るモルトフィードから、クラフト紙を製造しています。モルト粕を紙に混ぜ込むことで、モルトの存在が感じられる色合いと手触りのあるクラフト紙になっています。
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また、株式会社スペサンは、モルトフィードを生地に25%以上混ぜ込んだオリジナルのクッキーを販売。特徴的な香ばしい香りとザクザク食感がクセになります。小麦に比べてカロリーが約3分の1のモルト粕を使用しているので、とってもヘルシー! パッケージもポップで可愛く、プレゼントなどにもピッタリです。オンラインショップで購入可能です。
1回のクラフトビール醸造で出るモルトフィードは、100〜300kgと言われており、家畜用飼料や堆肥として使用されることもありますが、そのほとんどは焼却処分されているのが現状で、こうしたアップサイクルの動きは、有効であるといえるでしょう。
少しずつ広がるビールの副産物のアップサイクル。今回紹介したファッションアイテムやクラフト紙、クッキー以外にも、さまざまな商品が開発されています。今後、どのようなアイテムが登場するか、注目していきたいですね。
Text:Tommy