世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、TikTokで広まっている「デ・インフルエンシング」というトレンドについて、ご紹介します。
Z世代を中心に広がるデ・インフルエンス
YouTubeで「広告案件です」と前置きが付く、いわゆるタイアップ動画や、投稿から商品リンクに飛ぶことでもらえる割引クーポン。こういったSNS時代のインフルエンシングは、身近な存在である一方で、溢れるようにタイムラインに流れてくるPRの数々に、そろそろ疲れてきているという人も多いのではないでしょうか。
そんな中、2023年に入って、欧米のZ世代を中心に爆発的な広がりを見せているのが、「デ・インフルエンシング」というトレンドです。
「#deinfluencing(買うべきではないもの)」がトレンド入り
@alyssastephanieI love deinfluencing ❤️ #deinfluencing #deinfluencergang #cultproduct♬ original sound – Alyssa ✨
「デ・インフルエンシング」とは、企業やメーカーから報酬をもらい、「買うべきもの」を紹介する「インフルエンシング」の反対語。
従来型のSNSのPRといえば、商品のいいところをあげていくのが普通ですが、この場合、商品のクオリティが謳い文句やインフルエンサーの評価とかけ離れていた際、歯に衣着せぬ評価を投稿する……それが「デ・インフルエンシング」です。このムーヴメントは拡大して、TikTokでは 「#deinfluencing(これは買うべきじゃない)」のタグがついた動画が、なんと3億8000万回も再生されています(2023年3月22日時点)。
@mikaylanogueiraTHESE ARE THE LASHES OF MY DREAMS!! @lorealparisusa never lets me down 😭 #TelescopicLift #LorealParisPartner #LorealParis @zoehonsinger♬ original sound – Mikayla Nogueira
ことの発端は、アメリカの美容インフルエンサー、ミケイラ・ノゲイラさんが、マスカラを紹介する動画でつけまつ毛をしていた「マスカラゲート事件」。ノゲイラさんの動画を見た人たちから「商品を売るために嘘をついて盛っている」という非難の声が寄せられ、インフルエンサーを起用した広告コンテンツの信憑性に注目が集まったのです。
これからの広告コンテンツに問われるものとは?
こうしたデ・インフルエンシングの流行により、PRのメッセージには信憑性が問われ、ブランドはますます信頼性が試される時代に突入しました。過剰な広告費で粗雑な商品を販売していたブランドにとっては、背筋の凍りつく話ですが、今後は少しずつ「本当に良いものだけが適度に話題になる社会」がやってくるのかもしれません。
また、インフルエンサーの在り方にも新しい風が吹き込んでいます。自身が心からいいと思った物以外を宣伝することは、ファンや社会からの信用を損なうことになる……その現実が、マスカラゲート事件のように浮き彫りになったことで、最近では引き受ける広告案件を、今まで以上に丁寧に選別するインフルエンサーが増えつつあるそうです。
みなさんも、インフルエンサーの商品紹介コンテンツを視聴する際に、このPRは、本当にいいと思って紹介されているのか、少し目を光らせてみるのもいいかもしれません。
Text:Kei Hayashi