「10代のうちにたくさん映画を見て、インプットしておいたほうがいいよ」なんてよく言われるけど、過去作から新作まで、たくさんある作品の中から、どれを選べばいいかわからない……という10代に向けてスタートしたこのシリーズ。
20.9万人のTwitterフォロワーを持ち、「人生を豊かにする映画」を発信している映画アクティビストのDIZさんに、配信で見られる作品について、ひとかじり語ってもらいます。
今回は、最新出演作『ボーンズ アンド オール』が公開になったばかりの、新世代の大スター、ティモシー・シャラメについてドーンと特集します。DIZさん自身もファンを公言していて、たびたびTwitterでも熱弁していますが、今回、Steenzのために、その魅力を余すことなく語ってくれました。
観たら虜になること間違いなし!「ティモシー・シャラメ」の出演作6選
映画アクティビストのDIZです。私が2018年から推している俳優、ティモシー・シャラメをご存じでしょうか? 現在27歳の彼は、その美貌と演技力の高さから、1990年代のレオナルド・ディカプリオやブラッド・ピット以来のスターと評され、世界中の映画ファンを熱狂させています。
さらに、スタイリストをつけずに自分で衣装を選び、仕事に対して誠実で、自分軸を大切にする姿勢や、いつでもファンへの感謝を忘れない神対応も素晴らしい! そんな、知れば知るほど好きになってしまう彼の魅力が爆発している作品をご紹介します。
君の名前で僕を呼んで
情熱的な恋の行方を、北イタリアの美しい風景とともに描いたラブストーリー。この作品で初めて彼を観たとき、衝撃を受けました。「この世にこんなに美しく繊細で儚く、うつろいやすい感情をセリフに頼ることなく見事に表現できる俳優がいたのか!」と……。同性に恋する少年を演じ、そのあまりにも素晴らしい演技に、瞬く間に心を射抜かれてから、永遠に彼の虜になってしまったのです。
まだ観ていない人が心の底から羨ましいくらい、一度観たら忘れられないほど、すべてが美しい映画です。きっと宝物のように、歳を重ねてもずっと心に残り続ける、1000年に一度しか出会えないほどの傑作だと思います。本作を傑作たらしめるラストシーンは、ティモシーが提案したテイクが採用されているらしく、20歳で凄まじい才能を世界に見せつけました。
レディ・バード
閉塞感が漂う片田舎の町に住む17歳の高校生が、高校生活最後の年を迎え、友情に恋、そして将来について悩み、葛藤しながら揺れ動く心をみずみずしくユーモアたっぷりに描いた作品。ティモシーは今作で、主人公が憧れる学校イチのモテ男・カイル役を演じています。
カイルは校内の女子を虜にするプレイボーイのバンドマン。出会ってしまったら、人生のほとんどを片想いして無駄に過ごしてしまいそうなくらい魅力的なキャラクターなのです。急に優しくしたり、思わせぶりな態度をしたりと、観ているこちらまで振り回される恋を味わえます。学校にティモシーがいたら、きっと全生徒が学校に来るのが楽しみになりそう……そう思えるほど、彼の天性である人を惹きつける魅力が爆発している作品です。きっとみなさんもガチ恋してしまうことでしょう。
DUNE/デューン 砂の惑星
ティモシー・シャラメの留まるところを知らない美しさ。そんな“ティミー美”を全身で浴び続けられる、SF超大作。1000年後も語り継ぎたい、“ティモシー・シャラメ”という伝説の始まりを、とくとご覧あれ。
本作は『スター・ウォーズ』『風の谷のナウシカ』『アバター』など、数多くの大作映画に影響を与えてきた“伝説の小説”を映画化したもの。10190年という未知の時代を生きる主人公・ポールを演じる彼の姿は、名だたる豪華キャスト陣の中でも唯一無二の輝きを放っており、何度も息をするのを忘れてしまうほど、美しさに没入してしまいました。
まつ毛から息遣いまで、あらゆる美を捉えている繊細な映像美にも注目。次なる映画史に残る、SF大傑作シリーズのカギとなる役を射止めた彼の“始まり”、絶対に見逃さないでほしいです!
▶︎Netflix
ビューティフル・ボーイ
ドラッグ依存症の息子と、その家族が歩んだ苦難と再生の日々を描いた作品。ドラッグの恐ろしさと、親が子を想う無償の愛を描いた、実話に基づく映画です。
今作でティモシーは、成績優秀、スポーツ万能で、将来を期待されていながら、薬物に手を染め、自分を傷つけてしまうニックを演じています。周囲の期待に応えることに疲れ、ドラッグに助けを求めて破滅に向かって堕ちていく青年を、胸が苦しくなるほど痛々しくも見事に演じ切っています。「この愛は世界中の言葉を集めても伝えきれない」と息子に真摯に接する父親を演じたスティーヴ・カレルとの共演も素晴らしい。儚く脆く、そして美しい役を演じさせたらティモシーの右に出るものはいないことを証明した作品です。
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
「グランド・ブダペスト・ホテル」や「犬ヶ島」など独特な世界観を確立し、映画好きにファンが多いウェス・アンダーソン監督が創る記念すべき長編第10作目にも、ティモシーが出演しています。20世紀のフランスの架空の街で発行される「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部を舞台に、オムニバス形式で描かれる雑誌好きにはたまらない映画です。
「ウェス・アンダーソンは僕のヒーロー」と語るティモシーは、1968年にパリから起こった五月革命をモチーフにしている学生運動のリーダー・ゼフィレッリを演じました。ありえないほど豪華なキャスト陣で有名なウェス監督の作品の中でも、圧倒的な存在感を放つティモシーは、「本当にまだ27歳なの?」と疑いたくなるほどの貫禄。これからも数多くの巨匠たちの、それぞれの世界観で活躍する彼の姿が楽しみです。
▶︎ディズニープラス
【現在公開中】ボーンズ アンド オール
最後にご紹介するのは、まだ配信では見られませんが、ティモシー推しは絶対に映画館で見るべきな最新作! それが、「君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノ監督とティモシー・シャラメの最強タッグが描く、人喰いの若者たちの愛と葛藤を描いたホラー映画「ボーンズ アンド オール」です
。
今回ティモシーは、肉を食べなければ生きていけない主人公と同じ宿命を持つ青年・リーを演じています。この映画で描かれる“人喰い”は比喩にすぎません。誰も自分のことを理解してくれない、誰も愛してくれるはずがない、私はこの世界に必要ない……。そんなふうに、生きづらさを抱えているひとたちのために創られた、かつて観たことのない究極のラブストーリーです。
カニバリズムを描いているため、R18+指定で公開されるのですが、そこまでグロ描写は激しいわけではないので、ぜひ映画館で究極のラブストーリーを体感してください。
2023年もティモシー・シャラメの勢いは止まりません。『ボーンズ アンド オール』に続き、全米で2023年12月15日公開予定の作品で、『チャーリーとチョコレート工場』のウィリー・ウォンカの青年期を演じることが決定しています。こちらはミュージカル仕立ての作品ということで、歌とダンスを初めて披露する予定だそう。
さらにはご紹介した『DUNE/デューン 砂の惑星』の続編も予定されています。これからもますます映画ファンを魅了し、果敢に新しいことにチャレンジし続けるティモシーを、一緒に応援していきましょう。
DIZのプロフィール
映画アクティビスト。ひとりでも多くの人に映画の素晴らしさを伝えるために、フリーランスで活動している。体験型の映画イベントを主催したり、配信サービスのSNS企画・編集やコピーライティング、さまざまな作品の評論を寄稿したりと、枠にとらわれずに活動している。
Twitter:@DIZfilms Instagram:@diz2049
Text:DIZ