世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、ノルウェーの首都・オスロが掲げているゼロ・エミッションの取り組みについてご紹介します。
まるで未来都市?公共交通機関をすべて電動化
#PerfectMatch: 76 MAN electric buses for Norway’s green capital #Oslo. For @MANtruckandbus , this is the first e-bus order from Norway and for all partners it is another important step in sustainable mobility.
To the press release: https://t.co/KygC88ympA#ZeroEmission pic.twitter.com/S2MlDx0iDo— MAN Truck & Bus (@MANtruckandbus) December 8, 2022
北欧ノルウェーの首都・オスロは、世界を先導する”電動化推進国”。そんなオスロは、2030年までに、世界初の「ゼロ・エミッション」都市を目指しています。
「ゼロ・エミッション(エミッション・フリー)」とは、廃棄物を一切出さない資源循環型の社会システムのこと。
それに伴い、2023年末までに公共交通機関の完全電動化が予定されており、市内で現在使われているディーゼル燃料バス450台が、電気バスに置き換えられる予定です。
バスだけじゃない!続々と進む「ゼロ・エミッション」
オスロでゼロ・エミッションが進んでいるのは、公共交通機関だけではありません。
海上輸送を行う船やフィヨルドを渡航するフェリーの大多数が、既に電動化されています。また市内中心地への自動車乗り入れ禁止措置や、トラム(路面電車)と自転車レーンの範囲拡大も進んでいます。
また、こうしたゼロ・エミッションの試みには、騒音を軽減するメリットもあるそうです。
電気自動車の導入には「本当にエコなの?」という声も
電気自動車を含む、ゼロエミッション車の導入も進んでいるノルウェー。ノルウェー道路連盟(OFV)が発表したデータによると、2022年は、新車販売台数の約80%以上をゼロエミッション車が占めました。
その背景には、ディーゼル自動車よりも車体価格が安価なことに加え、駐車料金・高速料金の割引や税の減免などの、国の手厚い優遇措置があります。
そんなノルウェーの政策を支える財源のひとつが、豊かな北海油田からの石油や天然ガスなどの生産。ノルウェー石油管理局のデータによると、2020年の1日の石油・ガス等の生産量は400万バレルにものぼります。日本の1日あたりの石油消費量が約327万バレル(BP Statistical Review of World Energy 2021-Oil: Consumption)であることをふまえると、その膨大さが伝わるかと思います。
石油や天然ガスの生産で得た収益で、エコなEVを積極的に導入する。こうした現状に対しては、「結果的にCO2を増やしているのでは?」「長期的に見れば減らすことになるのか?」という議論もなされています。
何がエコで、何がエコではないのか……。その妥当性の見極めは専門家でも難しいところ。しかし、こうした世界各地の試みの動向をチェックすることは、今後の社会を考えるポイントになりそうです。
Reference:
Increasing oil and gas production in the next five-year period|NPD
BP Statistical Review of World Energy 2021 – Oil: Consumption
Car sales in December and the whole of 2022|the Norwegian Road Federation(OFV)
Text:Kei Hayashi