2022.12.29 Teen's Snapshots

多様なカルチャーに触発。ジェンダーレスな社会の実現に向き合う大学生【MinamiTsubasa・19歳】

「気になる10代名鑑」の293人目は、MinamiTsubasaさん（19）。ジェンダーに関心があり、社会学について広く大学で学んでいます。これまでに、映画や音楽など、さまざまなカルチャーから影響を受けてきたと話すMinamiTsubaさんに、自身のジェンダーへの向き合い方や社会への想いなど、詳しく伺いました。

MinamiTsubasaを知るための5つの質問

Q1. いま取り組んでいる活動について教えてください。

「これといった特別な活動をしているわけではないんですが、好きなことはいろいろあります。特に人と話すことが好きで、オンオフ問わず、よく喋ります。普段は配信アプリで雑談をしたりとか、作品を見て考えたことなどを発信したりしています。誰かと会話しているときに、生きている感じがするんです。

あとは音楽と映画も好き。歌うのも好きなので、YouTubeにカバー動画をあげることもあります。

特に興味のあるジャンルは、いわゆる『男の娘おとこのこ』とか『男装女子』と呼ばれるカルチャー。大学ではジェンダーなどを中心に、社会学を広く学んでいます」

Q2. どんなことを大切にして活動していますか？

「人を選ぶことと、会話に気をつけることです。コンセプトカフェに行ったり、男の娘の話をしたりするときは、特に相手を意識するようにしています。そういう話をフラットにできる人は、自分のまわりだとかなり限定的ですね。

過去に『お前は無神経だ』と言われたことがあって……。なぜそう言われたのかは覚えていないんですが、ちょっと正直過ぎる部分があったんだと思います。いまでも、思っていないようなお世辞は言いたくないけど、コミュニケーションを取るときは、自分の発言に気をつけるようにしています」

Q3. 10代として生きていく中で、どんなことに悩みや壁を感じますか？

「他人と比較してしまうこと。別に比べる必要なんてないのに、他人と自分を比較して、劣等感を感じてしまったりとか。『成長のスピードは個人で違う』ということを自分に言い聞かせて、なんとかモチベーションを保っています。でも最近は、同世代で活躍している人が本当に増えていて、尊敬もする一方、嫉妬もしちゃいます。

あとは恋愛感情に振り回されて、他のことが手につかなくなってしまうことも悩みのひとつ。最近でも、推しを好きになりそうになってしまうときがありました（笑）」

Q4. 影響を受けた作品などを教えてください。

「アニメや漫画、映画から影響を受け続けています。特に小さいときによく見ていた特撮ドラマ『仮面ライダーオーズ/OOO』や『機動戦士ガンダムUC（ユニコーン）』からは、考え方や生き方にかなり影響を受けたと思います。あらためて観たら、正しさについて考えるきっかけにもなりました。

最近は、生まれる前にやっていた映画をNetflixなどで観ることが多いです。毎日寝る前に映画を1本観るようにしていて、いまハマっているのは『男はつらいよ』です。半世紀前の作品なので、描かれている社会や経済の状況、人々の生活はいまとまったく違っていて。

『男はつらいよ』をジェンダーとセクシュアリティの視点で観て、自分なりに考えたことを大学のレポートにまとめたら、着眼点がいいと教授に褒めてもらいました」

#AroAce調査発表会性欲と性行為欲がイコールの関係になっていないということや、アセクシュアルやアロマンティックと言っても、恋愛的指向と性的指向のアイデンティティの組合せがあるということを理解出来て良かった。 pic.twitter.com/rcvq3XvfDG

— 𝖬𝗂𝗇𝖺𝗆𝗂𝖳𝗌𝗎𝖻𝖺𝗌𝖺 (@Minamitsubasa01) December 10, 2022

Q5. 社会で実現させたいビジョンがあれば、教えてください。

「本当の意味で、もっとジェンダーについて理解される社会になってほしいと思っています。最近はLGBTQ+やジェンダーレスについて語られることも増えてきて、そういったマイノリティ性を持っている著名人やインフルエンサーが注目されてきていますが、注目の的になっているのはだいたい容姿の綺麗な人ばかり。

メディアがセクシュアルマイノリティを取り上げるのは悪いことではないけど、それって、容姿が綺麗じゃないと注目されないという前提が残っていると思うんです。とすると、これはジェンダーの問題だけでなく、ルッキズムの問題にも関わってくると思うんです。

ルッキズムは人間の本能的な部分もあると思うので、仕方ないこともあるけど、そこで諦めたら本当の意味でのジェンダーレス社会は実現できないと思っています。そういった社会を実現するためには、きっとそれぞれが学び続けないといけないはず。僕自身も学び続けたいし、これからは実際にアクションを起こしていくことにも挑戦したいです」