「気になる10代名鑑」の278人目は、ささきなるみさん(19)。多摩美術大学美術学部統合デザイン学科で学びつつ、同学科の学生団体「きゅーとぴあ」で創作活動をしています。絵を通して社会問題を解決していきたいと語るささきさんの作品に込めた想いに迫ります。
ささきなるみを知るための5つの質問
Q1. どんな活動をしていますか?
「多摩美術大学の統合デザイン学科に通っていて、デザインの勉強をしつつ、同じ学科の先輩が主催している『きゅーとぴあ』という団体に所属して、グループ展示やグッズ販売などの活動をしています。
デザインでは『いかにシンプルに、要素を削ぐか』を重視することが多いのですが、きゅーとぴあはむしろ『好きな要素を好きなだけ詰めこもう!』という方針なので、新鮮で楽しいです。
あとは最近、ありがたいことに個人的にお仕事をいただくこともあって、配布用のカレンダーのデザインをしたり、ウェルカムボード制作をしたりもしています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「美術科のある高校に通っていたのですが、そのときは日本画を専攻していて。もともと社会問題に興味があって、大学では美術を離れて社会学や文学を勉強するつもりだったんです。だからこそ、あえて日本画を選んだというのもあって。
でも美術を学べば学ぶほど、もっと学びたいって思って、それと同時に解決したい社会問題も増えて……。進路についていろいろ悩んでいるうちに、美術にしろ社会学にしろ、大学に入ってただ学ぶだけじゃ、何も解決できないということに気づいたんです。
得意なことを生かしながら、社会問題を解決するには何が最善なんだろうと考えたときに、デザインを通して社会にアプローチすることを思いついて、デザイン学科に進むことを決めました」
Q3. 創作活動へのこだわりを教えてください
「作品には仄暗いストーリーや重い意図を込めていることが多いので、逆にタッチや色合いはポップにして、バランスを取ることにこだわっています。
暗いストーリーに暗い絵だと、そういうものを見たい人しか見てくれない。でも第一印象を『明るい絵』にすることで、より多くの人に作品に込めたメッセージを届けられると思って。たとえパッと見でも、心が動くような表現にしたいんです。
あと、こだわりというより好みなんですけど、割れた瓶やシャボン玉のような儚いものをモチーフにすることが多いです。永続性のないもの、ある瞬間だけが美しいようなものにメッセージを託すのが、しっくりくるんです」
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Q4. 活動する中で印象的だった「出会い」について教えてください。
「2020年の自粛期間中、自作の漫画の持ち込みをしたのですが、そのときの編集者さんがおっしゃっていた『うちの漫画がすごく好きだって言ってくれる人よりも、専門分野と関係ないことを勉強してる人のほうが惹かれる』というお話が記憶に残っています。
ちょうど、進路のことでいろいろと揺れていたとき、ひとつに絞らなくてもいいのだと気付かせてくれた言葉でした。
社会学や文学に興味があるって言うと、『なんで美術系にきたの?』と言われることも多いけど、美術以外の知識を持っていることも私の強みなんだって、胸を張って言えるのは、このアドバイスのお陰です」
Q5. 将来の展望を教えてください
「デザインの勉強はもちろん、美術に関係すること以外も幅広く学びたいと思っています。いまはお金の知識もあったらいいなと思って、ファイナンシャルプランナーの資格を取るために勉強中です。
あとは、作品を直接見てもらう機会を作りたくて、個人での展示や、友達との二人展も考えています。
作品を通して誰かに気づきを与えたり、センシティブなメッセージをより確実に届けることのできるデザインを作ったり、そういった活動をこれからもずっと続けていきたいです」
ささきなるみのプロフィール
年齢:19歳
出身地:宮城県
所属:多摩美術大学美術学部統合デザイン学科、きゅーとぴあ
趣味:人の眉毛を書くこと、古本屋めぐり
特技:人の顔と名前を覚えること
大切にしている言葉:自信のなさを飼い慣らせ!(高校の恩師の言葉)
ささきなるみのSNS
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3日間本当にありがとうございました〜
グッズはありえん強気の量刷ってたけど、クリームソーダの絵に人気偏りすぎて2日目でなくなった、、🥲🙏残ってるポストカードや原画は声かけてくれたらいつでも売ります!🫶🫶🫶
(規約の都合で芸祭中は原画販売できなかったので)#きゅーとぴあ pic.twitter.com/ZisQyzTfF1— なるみ@きゅーとぴあ (@skato_sizu) November 6, 2022
Photo:Eri Miura
Text:Mai Sugawara