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性交同意年齢、16歳に引き上げられるとどうなる?10代が知っておきたい「性」のこれから【Steenz Breaking News】

性交同意年齢、16歳に引き上げられるとどうなる?10代が知っておきたい「性」のこれから【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、現行の13歳から16歳に引き上げる試案を法務省が提示したことで議論を呼んでいる「性交同意年齢」について、ご紹介します。

性交同意年齢ってなに?

今年10月、性交同意年齢を13歳から16歳に引き上げるという刑法改正の試案が、性犯罪規定の見直しを検討している諮問機関「法制審議会」において、法務省より示されました。

この「性交同意年齢」とは、性行為に同意する能力があると法的に認められる年齢のこと。ただし、一律で罰せられるという規定ではありません。13歳未満との性的行為については、これまでどおり、例外なく違反行為になり、強制性交等罪や強制わいせつ罪に問われます。

一方、13~15歳については、同年代の恋愛についても一様に処罰されてしまうことを防ぐため、「年齢差が5歳以上」で、「対処能力が不十分であることに乗じて」性的行為を行った場合を処罰対象とするという、「年齢差要件」が設けられています。

また今回の試案では暴行・脅迫要件に加え、時効の延長も見直されました。また、性行為を目的に子どもに接近して手懐ける準備期間を意味する「グルーミング」への処罰も規定されました。

世界と違う?日本の性交同意年齢

日本の性交同意年齢が現行の13歳と定められたのは、1907年のこと。110年以上もの間、一度も変更されていませんでした。

子どもや若者の人工妊娠中絶件数の多さをはじめ、性教育の遅れやそれに伴う事件が社会問題となっている日本。世界各国の現時点の性交同意年齢と比較してみると、ドイツは14歳、フランスは15歳、カナダ・イギリスは16歳、アメリカ・カルフォルニア州刑法では18歳と、日本の性交同意年齢が低いことがわかります。

つまり、身を守るのに必要な情報を教育を通して得ていない若年層が、たとえ性被害にあったとしても、十分に法律で守ってもらえない状況が続いていたのです。

年齢を問わず知っておきたい!「性的」の基準は人それぞれ

この「性交同意年齢」と併せて覚えておきたいのが、年齢に限らず「性的に感じること」の線引き自体が、人によってさまざまだということ。髪の毛や体に触れることを性的と感じる人も入れば、ハグや頬へのキスを性的と感じる人もいます。

どんな状況や関係であっても、スキンシップをとる際には必ず相手の同意を得なければなりません。たとえ言葉上では同意していても、不快な表情をしたていたり、返事が「わからない」といった場合には、同意にはなりませんので、決して行為を進めない、というのは基本です。

また覚えておきたいのは、相手からのスキンシップを拒否することは、決して失礼なことではないということ。不安を感じるとき、怖いとき、気分が載らないときなど、いかなる理由においても、心からの「YES」ではない場合は、たとえ相手が親しいパートナーであっても、「NOサイン」を出すことにためらう必要はないのです。

近年では、映画やドラマの現場においても、性的なシーンの撮影に不安や懸念のある俳優が「NO」と言えるような環境をつくり、肉体的・精神的にサポートする「インティマシーコーディネーター」という職業も注目されています。

「断ったら今後の関係にヒビが入るかも……」と不安な気持ちになることもあるかもしれません。しかし、感情を押し殺してまで築く関係よりも、互いの気持ちを尊重し合える素敵な関係を築くことのほうがずっと大切です。「年齢」だけでなく、コミュニケーション上でも「同意」について、しっかり考えるきっかけにしていきたいですね。

Text:Kei Hayashi

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Kei Hayashi

ライター

1997年まれ。2020年〜新卒でフリーライターに。興味関心:Z世代・メンタルヘルス・ジェンダー・消費社会 など。獨協大学外国語学部英語学科卒業。he/they。

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