世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、食べるだけじゃなく、コスメにも非常によく使われているハチミツと、その“生産者”であるミツバチについて、ご紹介します。
ミツバチが絶滅したら人類も滅びる?
ミツバチが絶滅の危機に瀕していることを知っていますか。国際連合食糧農業機関(FAO)によると、ミツバチを含む花粉を媒介する動物たちの絶滅する速さは、人間の影響によって、通常の100倍から1000倍になっているといわれています。
ではミツバチが絶滅してしまうと、どうなるのでしょうか。その影響は、ハチミツが食べられなくなる……だけではありません。
わたしたちが食べる果物や栽培作物の約75%が、ミツバチの受粉活動の影響を受けています。つまり、ミツバチがいなくなれば、農作物の大半を失い、あっという間に食糧危機に陥るのです。かの有名なアインシュタインも「ミツバチが絶滅したら4年後には人類も滅びるだろう」と話していたほど。実際に、受粉で実る作物は、一部を挙げるだけでもこんなにあります。
・りんご
・アーモンド
・キャベツ
・カカオ
・かぼちゃ
・玉ねぎ
・にんにく
ミツバチが減少する原因は、さまざまな説が唱えられていますが、ネオニコチノイド系農薬の使用による悪影響は有力な説で、アメリカやEUでは一部農薬の使用を制限しています。この農薬はミツバチの神経を麻痺させ、巣に戻れなくなったり、蜜を吸ったりできなくなるといわれています。
パリやニューヨークの街中にミツバチの巣が登場!
View this post on Instagram
ミツバチの危機に、美容界からもさまざまなアクションが生まれています。オランダ出身のファッションブロガー、Negin Mirsalehiは、ハチミツを使用したパーソナルケアブランド「Gisou」を展開しています。かわいらしい見た目と、「Honey Infused Hair Oil」の実力から、たちまち美容に関心の高い若者層を虜にしました。
彼女は6世代に渡る養蜂園で育ち、ミツバチの重要性を理解していました。そこでミツバチの減少に対処するため「Gisou Bees Project」をスタート。このプロジェクトでは、パリ、ニューヨーク、メルボルンといった世界の主要都市に、ハチの巣箱を設置する取り組みを支援しています。都市に巣箱を設置することで、ミツバチの健康だけでなく、彼らによって都市の植物も健康になるそうです。
View this post on Instagram
また「Gisou」のサイトでは、誰でも簡単にミツバチについて学べるビデオプログラム「Bee-Learning Course」を開講しています(英語のみ)。誰でも手軽にミツバチの世界とその重要性を知ることができるので、気になる人はサイトをチェックしてみてください。
保護活動に取り組むブランドを支援しよう
View this post on Instagram
こうした新興ブランドのみならず、美容界のビッグブランドも、ミツバチの保護活動を行っています。「Guerlain」は、1828年から商品にハチミツを使用してきた、ミツバチとの縁が深いブランド。人気シリーズ「アベイユ ロイヤル」は高純度のハチミツと独自のロイヤルゼリーを使用したリッチなアイテムです。
View this post on Instagram
2011年から「ミツバチ保護プログラム」で活動に取り組んでおり、ミツバチを増やす活動とともに、ミツバチの重要性を学ぶ機会を提供しています。
2018年にはフランス養蜂観測所(OFA)と協力し、「小学校のためのBee School(ミツバチの学校)」をスタート。この活動は、2021年に国際的に展開されました。また2020年にはフランス養蜂観測所やユネスコとともに「Women for Bees」を開始。この取り組みでは、女性養蜂家を育成し、世界のユネスコ生物圏保護区内に新たな養蜂開発活動を生み出し、ミツバチの受粉効果を測定しようとしています。これによって2025年には、50人の女性養蜂家が育成され、2500の巣箱、ミツバチ1億2500万匹が誕生するといいます。
View this post on Instagram
また「 Neal’s Yard Remedies」は2011年から、売上の一部をミツバチの生態系を守るチャリティ団体に寄付する、「HELP SAVE THE BEES」キャンペーンを行っています。2020年9月までに、ガーナの「Bees for Development」や「プランツライフ」などの慈善団体に25万ポンド以上を寄付しており、これによって5600万匹以上ものミツバチを救うことができたといいます。
こうしたブランドを支持したり、キャンペーンに参加したり、商品を選んだりすることは、わたしたちが参加できるミツバチの保護活動のひとつといえます。
Reference:
FAO’s Global Action on Pollination Services for Sustainable Agriculture
Text:Anna Usui