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ダウ90000の頭脳・蓮見翔はどんな10代を過ごしていた?結成前夜とこれから【ダウ90000インタビュー#1】

ダウ90000の頭脳・蓮見翔はどんな10代を過ごしていた?結成前夜とこれから【ダウ90000インタビュー#1】

単独チケットが10分で完売するなど、お笑い界からも演劇界からも熱い視線を集める8人組ユニット「ダウ90000」。そのメンバーひとりずつに単独インタビューを行うスペシャル企画。記念すべき初回は、蓮見翔さん(25)。2020年にダウ90000を旗揚げし、すべての脚本・演出を手掛けています。最近では脚本家としても活躍の幅を広げている蓮見さんに、お笑いとの出会いや、知られざる10代のころについて、赤裸々に語っていただきました。

【ダウ90000インタビュー】単独チケットが10分で完売する最注目の8人組「ダウ90000」メンバー個別インタビューを敢行
【ダウ90000インタビュー】単独チケットが10分で完売する最注目の8人組「ダウ90000」メンバー個別インタビューを敢行
いま、お笑いファンや演劇好きから、最も熱い視線を送られている、といっても過言ではない「ダウ90000」。この度、Steenzでは、メンバーそれぞれが、どんな10代を過ごし、どんな決断や選択を積み重ねて、いまに至っているか […]
https://steenz.jp/9822/

インスピレーションを受けた作品はない。ファミレスで聞く会話こそがネタ元

ー今回はよろしくお願いします! 早速ですが、この秋は公演に加えて、ドラマも放送になるということで、ステージが変わっていく感じは実感していますか?

「ありがたいことに、最近は本当に毎日、やったことないことしかやっていない、やらなきゃいけない状態で、変化しかないです。

僕はお笑いがめちゃくちゃ好きなので、芸人さんが何をきっかけに忙しくなっていくのかっていう流れも、なんとなくわかっていたんですよ。だから、自分たちがそれに乗りかけているなっていうのは薄々わかっていたんですけど、想像以上にスピード早いなって思っています」

ーさらに脚本家としても活動されていて、忙しそう……。

「気づいたら、ドラマも書いていましたね。最近、『僕は脚本家としても会議に名前が挙げてもらえるから、他の人より倍忙しいんだ』って気づいて。これは、とんでもない職業を選んだなって。

ライブに出ながら、脚本を書いて、コントも書いて、現場では演出もやって。全部自分がやるんだって考えたら、すごいありがたいことですけど……一瞬、嫌になりかけちゃいました(笑)。

でも、いまやっている『イザミと東京03』っていうドラマで、オークラさん、ヨーロッパ企画の上田誠さん、東京03の飯塚さんという、ずっと憧れていた先輩と一緒に書かせてもらえたのは、すごい嬉しかったし、やっぱり書くのは楽しいですね」

ー脚本を書くときは何かを参考にしたりしているんですか?

よく『そんなにたくさん書いて、何からインスピレーションを受けているんですか?』って聞かれるんですけど、本当に心当たりがなくて。強いて言うなら、友達との会話からですね。人と喋るのが好きなので。だから、友達と遊ばないと書けないなと思うんです。

映画とかドラマの中の会話って、結局、全部偽物だから、リアリティがないじゃないですか。ドキュメンタリーとかもあるけど、リアリティのあるものはもうその人のものだから、そこから何かをもらうわけにもいかないし。だから、ファミレスで隣の人の会話を聞いているほうが、ネタはできますね」

人気者になりたかった10代。お笑いとの出会いは一枚のDVD

ー蓮見さんの10代のころについて、聞かせてください。お笑いがもともと好きだったとのことですが、好きになったきっかけは?

小学生のとき、担任がM-1のDVDを貸してくれたんです。それから『モヤさま(モヤモヤさまぁ〜ず)』を見て、さまぁ~ずさんを好きになって、そこから東京のコントのDVDを、TSUTAYAで全部借りて、見ていました。中学生のときはとにかく『イロモネア(ウンナン極限ネタバトル!ザ・イロモネア 笑わせたら100万円)』を食い入るように見ていましたね」

ーイロモネア……蓮見さんの作風からすると意外ですね。

「早く寝なきゃいけない家庭だったので、土曜の20時にやっているイロモネアぐらいしか見れなかったんですよ。だからリアルタイムで見て、録画もして、一週間ずーっと同じイロモネアを見てる、みたいなことをやっていました。

いろいろなものを見るようになったのは、高校に入ってからですね。深夜バラエティの存在に気づいて。週に30本ぐらい毎週録画して、全部見ていました。部活もやっていなかったので、バイトをするか、お笑いを見るかの生活でした」

ー当時はお笑い芸人に憧れていたんですか?

うーん。とにかく面白くなりたかったし、人気者になりたかったんです。モテたかったし。だけどやっぱり、野球部とかダンス部とかのほうが目立つじゃないですか。

それに、中高生によくあるような、人前でワーワー騒ぐような笑いはピンと来てなくて。僕の憧れはラーメンズさんだったから。

それで、いま思うとすごい寒いんですけど、ボケるのはやめて、突っ込み側に回ろうって思ったんです。クールなツッコミキャラになったほうが、人気者になれるんじゃないかと思いついたわけですよ。それで、意識してふざけにいっている人の横に行く、みたいなことをずっとやっていました。寒いですね(笑)」

面白くはなれないけど、書き続けたかった。ダウ90000の誕生前夜

ー演劇との出会いはいつだったんでしょうか。

「高校生のときですね。2年生のとき、当時Twitterが流行っていたので、それをテーマにした映画を撮ったんですよ。で、高3のとき、クラスの文化祭実行委員が『蓮見、今年は何やるの?』って声をかけてくれて。それで『今年は劇がいいかな』って言ったら、『じゃあそうしよう』ってなって。30人ぐらいが出るような劇をつくらせてもらったんです。コメディの。

まあ文化祭だったっていうのもあるんですけど、それがすごくウケたのが嬉しかったですね」

ーその原体験があって、日芸の映画学科を選んだんですね。

「お笑いの道に進むことも考えましたけど、バラエティ番組を見れば見るほど、自分はこんなに面白くなれないって気づいちゃって。でも、なんか書いたりつくったりしたいとは思っていたので。映画学科っていう逃げ道を選びました」

ーその後、ダウ90000の前身となる劇団で活動を始めて……。

「そうですね。ピークは40人ぐらいいて、けっこう大きな劇団になっていたと思います。ダウ90000になるときに、かなり減りましたけど(笑)」

ーそこはどういう経緯だったんですか?

「僕が大学を卒業した年は、めちゃくちゃコロナだったんですよ。当時、コンビを組んで漫才とかもやっていて、その単独ライブの予定もあったんですけど、それが世の中的にできなくなっちゃって……。でも、さすがにそのまま何もしないのは良くないから、一回ちゃんと線を引こうと思ったんです。

大学のサークルだし、仕方がないことですけど、公演に向けた稽古の途中で『やっぱり就活が忙しくなってきたのでやめます』って言われることが多かったんです。でも、いつまでもそのテンションの人たちとやっていると、自分も甘えてしまうと思ったから、『就職しないことを決めてくれている人だけ残ってくれ』と言いました。

その時点では、芸事を本気でやりたい人だけ残って、というよりも、就活しないって決めてくれさえいれば、それで良かったというか」

ーそうして、いまのダウ90000ができていったんですね。

「みんなめちゃくちゃ真面目に芸事に集中しているかって言ったら、たぶんそういう集団じゃないんですよ。なんていうか、良くも悪くも自然体のまま来ているんで。人一倍努力して、いま、ここにいます!っていうメンバーはいないと思う。

でも、その感じでいてほしかったっていうのもありました。演劇ってどこかお堅いイメージがあって、そういうものとは遠くあってほしかったから。真摯に取り組んでいますっていうスタンスだけはやめてほしかったんです」

お笑いでもなく劇団でもない「8人組」をずっと続けていきたい

ーこれからドラマも始まり、ますます活躍が期待されています。今後、ダウ90000としての展望を聞かせてください。

「まずはみんながバイトを辞められること。それが、そろそろ実現できそうなんですよ。そこを目標に始めたので、単純にすごく嬉しくて。だから、まだ安定とかっていう年齢じゃないのかもしれないけど、この状態を長く続けられるようにしていきたいですね。

それと、演劇とコントを年1回やるっていうのは絶対に守り続けたい。そうじゃないと、僕らのことを最初から応援してくれる人たちに、申し訳ないと思うんです」

ー主宰として、蓮見さんがメンバーに対して望むことってあるんでしょうか?

「みんな正直、わけわかんないままダウ90000になっていると思うんですよ。だって、大学生のときから続いているから。吉原(怜那)に至っては、まだ現役大学生だし。だから、もう一回ちゃんと、これから何をやっていきたいのかっていうのを考える時期だと思うんですよ。ありがたいことに、今はやりたいことがやりやすい環境になりつつあると思うので。

たぶん園田(祥太)とかは、僕が蕎麦屋を始めたなら、一生懸命蕎麦を打っていると思います。園田って、僕にとっては唯一の同い年なんですけど、本当に恐ろしい人間で。なんでダウ90000をやっているのか、僕にはわかりません。たぶん、本当になんでもいいと思うんですよ(笑)。

まあ、園田の話はともかく、みんなが個々に動いて、活躍できるようになってくれたら嬉しいと思いますね。で、帰ってきたときに『わぁ、そんなことできるようになったんだ』っていう驚きがある。それが1年にひとりずつあったら、それで8年もつじゃないですか。それで8年経ったら、最初に変わったやつがまた面白いことできるようになっていると思うので、そのループで回っていけば、飽きられずにずっと続けていけるのかなと思っています」

ーゆくゆくはどんな存在になりたいですか?

「8人組で売れていくっていうモデルケースを見たことがないからわかんないですけど、70歳ぐらいまでやりたいですね。いや、今のペースだともたないかな(笑)。55歳ぐらいでやめて、旅行とかに行くのもありですね」

蓮見翔 プロフィール

1997年4月8日生まれ。「ダウ90000」主宰。脚本・演出を担当。

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ダウ90000
https://note.com/idomizu

ダウ90000出演情報

フジテレビ『ダウ90000 深夜1時の内風呂で』

放送日時:9月28日(水) 25時20分~26時20分 ※関東ローカル
放送終了後、「TVer」にて無料見逃し配信(2週間)
出演:ダウ90000(道上珠妃、吉原怜那、中島百依子、忽那文香、上原佑太、園田祥太、飯原僚也、蓮見翔)、勝村政信

Hulu ショートドラマ「今日、ドイツ村は光らない」

配信日時:2022年10月5日(水)0:00~
初回は5エピソード、2回目以降、毎週水曜0:00より2エピソードずつ配信。日本テレビでは毎週土曜14:50ごろからオンエア。※初回10月8日(土)は 13:50ごろから。
出演:小関裕太、ダウ90000(道上珠妃、吉原怜那、中島百依子、忽那文香、上原佑太、園田祥太、飯原僚也、蓮見翔)

新作演劇公演「いちおう捨てるけどとっておく」

2022年10月5日(水)~19日(水)
東京都 新宿シアタートップス
作・演出:蓮見翔
出演:園田祥太、飯原僚也、上原佑太、道上珠妃、中島百依子、忽那文香、吉原怜那、蓮見翔

Photo:Masaharu Arisaka(STHU)
Text:Ayuka Moriya

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Ayuka Moriya

エディター

1999年生まれ、秋田県出身。東京外国語大学 国際社会学部在学時よりライター・エディターとして主にインタビュー記事の執筆、ディレクションに携わる。Steenzでは、2021年ローンチ当初より「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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