
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは、「聖地巡礼」。アニメや映画の舞台となった場所を訪れて作品の世界観を実感したり、推しのゆかりの地をめぐったりする旅のスタイルは、もちろんティーンにも人気のアクティビティ。いまや自己表現のひとつとしても広がる「聖地巡礼」について、実際に行った場所や、これから行ってみたい場所についてリアルな声を聞いてみました。
1. 相笠美優さん「ハイキューファンの友達と巡るのが夢」

子どもたちが生きやすい社会を実現するべく、中高生のための居場所づくりをおこなう団体を設立した19歳。
「わたしは『ハイキュー!!』というバレーボールのアニメ・漫画が大好きで、いつか聖地とされる宮城県や岩手県に行ってみたいと思っています。作品に登場する高校や風景のモデルになった場所がいくつもあり、実際にその場に立つことで、物語の世界観をよりリアルに感じられると思うんです。
キャラクターたちが歩いた道や、体育館のモデルとなった場所を訪れて、同じシーンを再現したり、写真を撮ったりして楽しみたいと思います。地元にはハイキュー好きなボランティアのひとがガイドしてくれるツアーもあるみたいで、それがすごく気になっていて。
推しを目的にした旅は、普通の観光とはまったく違う特別な体験だと思います。いつかファンの友だちといっしょに巡礼して、熱く語り合うのが夢です!」
2. リニカさん「推しがいる場所だから行ってみたい。東海オンエアの出身地・岡崎市」

ひとの心を動かすエンターテイナーになりたいと、謎解きの企画や運営に携わる18歳。
「まだ行けていないけれど、今年中に絶対に行きたい場所があります。『東海オンエア』の出身地、愛知県岡崎市です。
動画に登場するスポットや観光名所を訪れて、思いっきり楽しみながら思い出づくりをしていきたいと思っています。
以前、友だちに誘われて歌い手さんのMV撮影地に行ったことがあるのですが、それがすごく楽しくて。だからこそ、“推しがいる・いた場所”をめぐる旅は、ぜったいアリだと思っています」
3. 東坂明憲さん「画面の中の世界を体験できるのは、やっぱり特別」

地元である東京都豊島区に魅了され、豊島区の魅力発信や調査から、地域の政治について研究する17歳。
「ドラマ『ホットスポット』のロケ地を訪れたことがあります。
富士山の絶景を眺めたり、ドラマに登場したホテルを実際に見に行ったりして、撮影も楽しみました。画面の中の風景をリアルに体験できるのは、やっぱり特別なことだなと感じました」
4. 手島遊さん「推しが歴史を知るきっかけに。だから推し旅推奨派!」

舞台美術家になるべく、大学での勉強や実際の舞台づくりに奮闘中の19歳。
「嵐の松本潤さんが推しで、大河ドラマ『どうする家康』の聖地巡礼をしてきました!
場所は、静岡。そのときは、松本潤さんの聖地巡礼というより、徳川家康の聖地巡礼をした感覚に近かったかもしれません。普通の推し活とは、少し毛色が違う気がしました。
ただ、推しが演じた人物に興味が湧き、行動に移すということは推しへの好きという気持ちがあるからだと思います。なので、わたしは『推し旅』推奨派です!」
5. 田嶋優太さん「踏切ひとつが旅の目的となった日帰り旅。そんな旅もあり」

外国人観光客向けの案内板をよりよいものにしていくための探求する17歳。
「聖地巡礼でとくに印象に残っているのは、島根県にある折居駅を訪れた旅です。
みきとPの楽曲『少女レイ』のMVに登場する踏切に似ていると話題になったのが、山陰本線・折居駅近くにある、山陰街道踏切。その場所を目指して、行きは飛行機、帰りは寝台特急を使い、日帰りで訪れました。
ただ、想像以上にローカルな場所で驚いたことも多くて……。駅で電車を降りたあとは、次の電車が来るまでの2時間半、コンビニもない駅前で過ごすことになり、ちょっと戸惑ったのを覚えています。
次は、『君の名は。』の聖地を巡ってみたいです。岐阜県の飛騨や長野県の諏訪湖、東京・四谷の須賀神社など、行ってみたい場所がたくさんあります」
6.よりさん「推しの行ったお店も、自分の好きと合わせて巡る」

大学に通いながら、コワーキングスペース「ThinkCamp」でのインターンや、学生と企業をつなぐ団体「TeenWorker」の運営に携わる19歳。
「SixTONESがYouTubeの撮影で訪れていた東京都内の場所に行ったことがあります。推しが実際に訪れた場所って、どんな雰囲気なのか、お店のごはんはおいしいのか……気になるので、行ける機会があれば足を運ぶようにしています。
旅の目的はひとそれぞれだと思っていて、自分が満足できるなら、推し活がきっかけでも全然いい気がするんです」
7. 篠原一騎さん「ぼくにとっての聖地は、ひとに会いに行く場所」

声にならない声を拾い上げるため、政党へのロビー活動や街頭演説など、幅広く発信活動を続ける17歳。
「普段から政治の活動に取り組んでいるぼくにとって、聖地巡礼はアニメの舞台ではなく、国会や地方議会、政治家の事務所などに実際に足を運ぶことです。
SNSやネットの情報だけでは見えない、そのひとの考えや人柄に直接触れたいから。たとえ意見が合わなくても、その考え方に至るまでの背景を知ることで共感できることもあるんです。
だからこそ、聖地巡礼は、場所というよりも、ひとへ会いに行くことなのかもしれないです」
8. 中西眞緒さん「好きに導かれる旅は、それだけで価値がある」

シンガーソングライターとして、曲づくりやライブ活動を積極的におこなう19歳。
「推しのために旅をするほど夢中な存在はいないのですが、美味しい食べ物や景色を目的に行ってみたい場所はたくさんあります。最近特に惹かれているのはイタリアです。ジェラートをお腹いっぱい食べて、美しい街並みを歩きながら、のんびり過ごしてみたいと思っています。
自分の好きに導かれる旅は、とても素敵なことだと思うので、旅の目的が推しであっても、まったく違和感はありません。自分が心から楽しめることが、一番大切だと思います」
聖地巡礼は、ただの観光とは違う特別な旅。推しをきっかけに、自分の「好き」を確かめる時間であり、世界を広げるきっかけとなっているようです。これからも10代の関心ごとや、彼らのリアルな視点と声をお伝えしていきます!
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano